「★7つです、個人的に。」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン PeICさんの映画レビュー(感想・評価)
★7つです、個人的に。
ドルビーシネマで12回。
普通の映画館で1回。
合計13回鑑賞しました(これからまだ行く予定です)。
【感想】
<全体>
まず、「間」をとても大切にしている作品です。
一番長いところで10秒くらいの「シーン」とした間があります(他にも随所に)。
その辺りに情緒性を感じます、この辺りが深く心に染み渡るといいますか。
監督が特に「レイアウトに力を割いた」とおっしゃっているように、
カット割りが深々しい。
シーンとシーンのオーバーラップ(重ね合わせるようなトランジション)がドラマティックです。
こちらはほぼ、ほとんどのシーンで使われているのではないでしょうか。
<自己犠牲的な愛が随所に散りばめられている>
脇役の演出も見逃せません。ここにも愛(自己犠牲的な愛)をテーマに描かれているように感じます。
たとえば、
・アイリス・カナリーが、自分の実績になるかもしれない手紙を書くという欲求を抑えて、いけ好かない電話を提案するシーン。
・郵便社前でヴァイオレットに敵対的に腕を掴まれた大佐が、船上では逆に助ける仕草で腕を掴むシーン。
・「ワシらは助かるがの」と言った、おじいさんの真意や眼差し。「み~んな傷ついとったんじゃ」という表現からは、ヴァイオレットとホッジンズ(ライデンという敵国の人)が現れた後に感じた表現として印象的(敵国人への感情移入)。
<オーケストラの生収録が最高>
この事実はCDを購入して知りました。なんと、ドイツにあるスタジオ(施設が良いらしい)に出向いて、わざわざテイクされているとのこと...(この機械音時代に、なんという手縫い感。。。><)また、音楽全体にとても一貫性があります。歌を含めて編曲に(ほぼすべて?)エヴァン・コールさんが入っておられる点は見逃せません(こうした、一貫性のある介入は非常に良く感じました)
<お一人おひとりが自分の役をしっかりと果たしておられる>
監督、脚本、世界観設定、演出、演者、音楽、原画、色彩...これらすべてが見事なハーモニーを醸し出しているように思います。まさに「作品」です。