「アニメ未視聴でも楽しめた」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメ未視聴でも楽しめた
私はアニメは観ていません。この映画が、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の完全なる初見となります。
テレビ版アニメが私の入会している動画配信サービス(アマプラとdアニメストア)で配信されていないという理由から本当は観る予定はなかったのですが、「完全初見でも面白かった」というレビューが多かったことや☆4.4という異常に高い評価を見て、今更ながら鑑賞することにいたしました。
結論から言えば、非常に良かった!!
初見の人にも分かりやすいような世界観の説明があったため、テレビ版未鑑賞でも全く問題なく観ることができましたし、京都アニメーションの代名詞とも呼べる圧倒的な作画の美しさがこの作品でも冴え渡っていました。背景やキャラクターの作画が良いことはもちろんですが、キャラクターの一挙手一投足、表情筋や眼球の僅かな動きで感情を表現するような細かな心理描写。京都アニメーションの強みでもある「生きたキャラクター」がこの作品でもしっかりと描かれていました。テレビ版アニメ未鑑賞の私でも涙腺に響くシーンがいくつもあったので、テレビアニメからのファンの人は号泣でしょうね。劇場のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきました。本当に素晴らしい作品でした。
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かつては兵士として道具として、愛を知らずに育てられた少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデン(石川由衣)。終戦後は手紙の代筆を行なう「自動手記人形」という職業に就き、その卓越した才能から広く名を知られる存在となっていた。彼女は戦争中に行方知れずとなった彼女を大切に世話してくれた恩人であるギルベルトという男性に対する思いを胸に仕事を続けていた。ある日ギルベルト(浪川大輔)が書いたものと思われる手紙が宛先不明でヴァイオレットの働く郵便社に届けられたことから、彼女はギルベルトを探すため、手紙が発送された島へ向かうことになった。
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ヴァイオレットは愛を知らず道具のように扱われ育てられ、戦争によって心も身体も傷つき、大切な人さえも失った。そんな彼女が「自動手記人形」という手紙の代筆業を行なっていくうちに、様々な「愛」に触れ、ギルベルトが最後に残した言葉である「愛してる」の意味を探していく。
今作ではまず時系列がテレビアニメの数十年後から始まり、ヴァイオレットに代筆の依頼をした女性のひ孫にあたるデイジーが、祖母の遺品に残されたヴァイオレットの手紙と新聞記事を元に、ヴァイオレットの足跡を追うような形で描かれます。現在(デイジーの時代)と過去(ヴァイオレットの時代)という2つの時系列から描かれます。
また、過去の時系列では、ギルベルトの所在が判明して、ヴァイオレットと郵便社社長のホッジンズが辺鄙な島へ向かう話と、ヴァイオレットが手紙の代筆を請け負った余命幾許もない病気の少年の話が同時並行で描かれます。この2つのストーリーが絶妙にリンクしている部分があったりして、比較して観てみるのも面白かったです。
テレビアニメのファンの方がレビューで「テレビアニメで観たシーンを繰り返し流すのでテンポが悪い」とおっしゃっていましたが、私のような完全初見の人間からしてみれば世界観の説明やヴァイオレットとギルベルトの関係を知るためには絶対必要なシーンでしたので、私はむしろ高評価です。多少しつこいくらいヴァイオレットがどれだけギルベルトに恩を感じているのか、ギルベルトに特別な感情を抱いているのかを過去の回想を交えて描写したからこそ、ラストシーンで私はあれほど感動したのだと思います。
最近は新海誠監督作品とか鬼滅の刃とか、アニメ映画が映画業界を台頭しているように感じます。良質なアニメ映画がたくさん作られるのはアニメオタクである私にとってもこれは非常にうれしいことですので、今後もどんどん今作のようなハイクオリティのアニメが増えてくれることを願っています。
本当に素晴らしい作品です。オススメです!!