「作品は素晴らしい。けど、この結末でよかったのかなぁ〜」劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
作品は素晴らしい。けど、この結末でよかったのかなぁ〜
このアニメの最大の魅力はヴァイオレットの凛とした美しさ。私の独断と偏見では、2次元ナンバーワンの美しさだと思います。
それはヴィジュアルはもちろん、彼女のクールで合理的でありながら、心の機微を捉えた仕事振り、誠実と潔白、こうした要素が相まっての美しさだと思います。
それが、このエンディングで良かったのだろうか?単にエンディングの演出というか、この物語のテーマ、ってどうだったっけ?という疑問です。
冷静沈着なヴァイオレットもギルベルト少佐のことでは感情を制御できず、最後は船からダイブ! ようやく再会したラストシーンでは「わたしは、私は・・・」と何も言えず泣きじゃくる。感動的でしたよねぇ〜。そして自らのキャリアを捨てて、小さな島で愛した男とひっそり暮らす。
確かに、男目線というかオタク目線とすると、これで良いのです。安定なんです。だって、純粋無垢の幼女育てて、超絶美少女に成長して、ボロボロになった自分のもとに帰ってくるんですよ〜。そりゃ、キュンキュンしますわ。
私も嫌いでない「お約束展開」ですし、王道に外れ無し、です。けども、敢えてケチを付けると、別の展開だって良かったのでは?と。
ヴァイオレットは、戦時中は一騎当千の兵士、戦後は売れっ子ドール、と「女性活躍」の象徴である訳です。一方、ギルベルト少佐は「負け犬」ですよね。まあ、もう少し良く言って「ビルマの竪琴」で森に去っていった水島ですよね。
まあ、兄貴のディートフリートも軍人生活から抜け出せずにいて、ホッジンズは郵便社を起業し成功していても昔を引きずったまま。と、まあ、着実に前に進んでいるヴァイオレットに対して、周りの男どもは、みな後ろ向きなんですね。
この物語を「少女の成長」をテーマに置くならば、ラストは「心の師」であるギルベルト少佐への想いを封じて、大人の女性として自立する、で良いのです。
ギルベルト少佐への「愛」は師弟愛であり、ヴァイオレットは少佐から巣立つことで、無垢な少女から自立した女性へと成長する。
戦争という過去を引きずったままの3人の男(ギルベルト、ディートフリート、ホッジンズ)は、彼女の巣立ちを助け、見守り、少し寂しく想い、自分たちの青春後期を駆け抜けた美少女を遠くに見る。というエンディングかな〜。これはバッドエンドではないけど、萌えないエンディングですかね。
京アニ作品って、劇場版や蛇足的な2期って、恋愛重視の甘々にする傾向ありません?「中二病でも恋したい」の2期や「たまこマーケット」の劇場版、境界の彼方もそうだし、ユーフォも直近劇場版で、久美子&秀一をぶっ込んできたし。。。やっぱ、こういう甘々なオタクのお約束を外さないのが京アニらしさなのかも。
原作とは違う展開なので、あまり無理を言っても仕方ないが、、、せっかく、クラーラ・アン・母・娘、(すみません、映画版の母娘の名前は忘れました)、と4代の母娘を出して語らせた割には、この世界の歴史観というものが感じられなかった。そこを丁寧に描くと物語設定のリアリティが生まれ、最後の切手も納得感が出るのだが、、、。
まあ、京アニに宮崎駿や富野のような設定を求めるのはお門違いかな。そんなことを抜きに、京アニの良さが十二分に出ている傑作だと思います。
コメントありがとうございます。虚淵玄の作品なら、こうはならないでしょうが、これは京アニ作品。まあ、色々と考察して、違うエンディングを妄想する楽しみ方があっても良いですよね。
今日観ましたが、エンディングについて共感です。
ちょっとうまくいきすぎてるのが、まぁ、そうなって欲しいかった部分もあったけど、
もう一つ人生の切なさや彼らの不器用さがあっても心に残るエンディングにできたのではないかと思います。
よかったのですが、引きずるものがなく、終わったんだなーと呆気なさを感じています。
コメントありがとうございます。おっしゃる通りですね。あの若さで「余生」では寂しいですが、老人と子供ばかりが残った島で、どのような手紙で愛を伝えていたのか、興味深い話です。そんな外伝をまた見てみたいですね。