ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのレビュー・感想・評価
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色濃く描かれるキャラクターとその日常。生み出される因果。
○作品全体
作品の中に積み上げられていく小さな物事がやがてすべて因果関係があったように作用していく。何気ないシーンや設定に対するこだわりがその説得力を生んでいるかのような作品だった。
例えばリックの過去の作品群。過去の栄光とだけするならば、あれだけ尺をとってその作品の一部を映像にする必要はない。「この過去作品の映像はなにか関係があるのか?」と疑問を持ちながら、膨大な情報量で作り込まれた過去作品を観客は見ることになるが、それだけでその作品群がリックを有名にさせてきたという根拠になる。また一方で過去の栄光にすがりついている今現在のリックという存在も浮き彫りにする。
クリフで言えば愛犬・ブランディだろうか。作品中、初めてブランディが登場するカットは少し特殊な画面だった。クリフが優しい声で自分が帰ってきたことを告げるところは、観客はクリフの帰宅を待つ妻に向けたものだと錯覚するだろう。しかしいつまで経っても部屋の中に踏み込んでこないクリフ。最終的にそのクリフを映したカメラは寝転がって愛犬を抱きしめる姿だった。きちんとしつけがなされているブランディとクリフとのやりとりは面白くはあったが、その一方で「中年男性が妻子を持たず、犬と孤独に暮らしている」というシチュエーションを浮き立たせる。
こうしたキャラクターを取り巻く何気ない要素たちがラストシーンでどれだけ大暴れをしたか、というのは一目瞭然だろう。キャラクターに付加価値を与える「だけ」のモチーフやシチュエーションは、色濃く描かれることによって「だけ」では終わらない要素として際立たされていた。
こういったリックとクリフが置かれた「落ちぶれ」としての状況や陰の部分の表現はいくつもあったが、「落ちぶれ」であるからと言って必ずしも作中で凋落の一途を辿るわけではない。事実、クリフ自身はフルタイムでのスタントができなくなったという「落ちぶれ」はあれど、組み手の腕が落ちているわけではなく、クリフなりの日常を生きている。リックもそうだろう。敵役ばかりになってセリフもドジることはあれど、ベテラン役者としてアドリブを駆使し、その役割を期待以上にこなすこともできる。誰しもがある日常のアップサイドダウンの中で、自分が気づかないうちに未来を変化させる何かを掴んでいる。そういったドラマティックでない風景について、ある種、執着するかのようにじっくりと時間をかけ、観客に意味のある風景ではないかと思わせる説得力がタランティーノ監督のもっとも特徴的な部分なんじゃないかと、本作品で改めて思わされた。
これがもし、それこそ「ハリウッド映画」だとするならば、「落ちぶれ」の描写はもっと極端で、ドラマティックなストーリーにあふれていただろう。リックは見せ場もなく、ヘタしたらギャグかと思うようなどうしようもないミスを見せていたかもしれない。クリフで言うのであれば、自分はまだできると思っているにも関わらず力は衰えているようなスタントマンとして描かれていたかもしれない。ブルース・リーにも負けていたんじゃないか。そしてリックとクリフ、二人の関係についても、もっとわかりやすく紆余曲折を構築するだろう。女性の存在が急浮上したりして、あからさまな喧嘩をして仲違いをする、そして仲直りして絆はより強固なものに…というような、退屈で見飽きた中盤の山場を作っていたかもしれない。
ただ、タランティーノ監督はそういうことをしなかった。誰しもある日常の中での山と谷を見せつつ、劇的でないままキャラクターたちの置かれた状況を変えていく。しかし変化するシチュエーションをじっくり、ねっとりと小物やキャラクターの表情で見せて、何気ないシチュエーションに意味を積み上げていく。こうして積み重ねていったからこそ、ラストの非日常に溢れたエキゾチックな雰囲気が際立つのだろう。
しかし、それでも、ラストの出来事を経ていてもリックとクリフの関係に変化を生じさせることはない…いや、もしかしたら事件後の二人の関係は今までと違う展開を見せているのかもしれない。しかし、それをわかりやすく作品中で映すことはしなかった。救急車に乗ったあたりでリックが「君を倍の額で雇い直そう」なんて言って、信頼関係はより強固に…という感動的な出来事にすることもできたはずなのに。ただ、タランティーノ監督はそれをしない。タランティーノ監督が最後に映したのはお隣のビッグネームと偶然知り合うことができ、親睦を深めようとするリックだ。まるでちょっとしたことをキッカケに始まる新たな交友関係の風景のように、日常にあるアップサイドダウンを切り取っただけのように、リックたちとその物語は終わっていく。その先にきっと待っているであろう、数々の因果が再び衝突する瞬間を予感させながら。
○カメラワーク
・回想シーンへの持って行き方が面白かった。普通なら現在のシーンと回想のシーンをつなげるときってフェードアウトとかオーバーラップを使って視覚的に時間を分けたり、もしくは「○年前」とかテロップを出してわかりやすくするはず。この作品で言えばアスペクト比を変えるってのも一つの手だと思う。ただこの作品ではまるで場面転換でもするかのようにパッと画面が変わるだけで、それが回想シーンだと気づくのはシーンが終わった後のキャラクターのセリフによってだったりする。もちろん全部がこういう分かりづらい回想シーンへの導入ではなかったけど、クリフがブルース・リーを殴っちゃうところなんかは、全然回想シーンだと思わずに見ていた。すごくシームレスで淡々と場面転換しているようでありながら、一つ一つのシーンが濃密なのがまた面白い。
○その他
・シャロンが映画を見に行くあたりの芝居の可愛らしさが印象的。体を傾けてポスターや劇場入り口を見たり、上映中のスクリーンへ目線を送るときのワクワク感のような肩の揺らし方。
・ブラッド・ピットの芝居がほんとにかっこいい。遠くを見ているような視線が、揺るぎない優位性のようで、クリフの腰の座った感じがよく出てた。かと思えば終盤でラリったクリフが銃口を突きつけられながら笑うときの笑い声。ケラケラと笑う声が凄い好き。
・西部劇映画で人質となった少女役、ジュリア・バターズの芝居もすごく良かった。リックと会話するシーンで見せた流し目と人質になっているときのあどけなく笑う表情。
ヴァイオレンスな雰囲気や描写、キャラクターの設定についてはもちろん承知しているけども、映像演出的な意味ではいまいち掴みどころがないなと思っていたタランティーノ監督。今作品でなんとなく掴めそうな気がする。そういう部分もあってか、タランティーノ監督作品で一番好きな作品と言えるかもしれない。
私は好きな映画でした
元になった事件のことを調べてから観ました。
最後に結構ショッキングなシーンがある割には、それ以外の部分がずっとほのぼのしている印象。
むかしむかし、から始まって、本当にめでたしめでたしで終わるような物語。現実はそんな風に終わっていないのがこの事件なので、全体を通して感じるこのほのぼの感はあえて強調されてるものなんだろうなと感じた。
1番印象に残ったのはやっぱり犯人たちをぶちのめすシーン。コミカルだけどちゃんと残酷で見ててスカッとする、丁度いい塩梅でさすがだなあと思った。レオ様は避難したのかと思いきや火炎放射器持ってきてめちゃくちゃ笑いました。自分がもし大切な人を理不尽に亡くした体験をもっていたら、きっとこの映画を見てめちゃくちゃ泣いて最後は笑って、こんな映画を作ってくれてありがとうと思うだろうなと思った。
シャロンが自分の映画を観に行って楽しそうにしているシーン、守られたのはああいう日常なんですね。あのシーンも好きでした。
こんなことができるのがやっぱり創作者はいいですね。観てよかった!
率直に言って期待はずれ
まずディカプリオとブラピを起用したことについて疑問を感じた。別に彼らじゃなくてもよかったんじゃない?確かに、ディカプリオの演技は素晴らしい。劇中劇のシーンで、セリフをとちる演技は、どこまでが演技かわからないほどで、子役の女の子との絡みはずっと見ていたいほどに相性がいい。
でも、彼がこの映画に残した足跡はそこだけ。プールにぷかぷかと浮いていただけで、恐怖におびえるでも、命がけで戦うでもなく『ジャンゴ』の時の怪演は見られない。
ブラピに至ってはそれに輪をかけて存在感のないスタントマン役で、腕っぷしに自信があること以外取り柄がない。
この二人が組んだことで『イングロリアス・バスターズ』と『ジャンゴ繋がれざる者』という大傑作をもう一度!という期待感が、これでもかとばかりに膨らみ切っていた。それなのに話題は、「時代背景を忠実に再現している」とか「売り出し中のブルース・リー」とか「シャロン・テート役のマーゴット・ロビーにセリフの少なさを質問した記者にタランティーノがキレた」みたいな、本編と関係のないものばかり。
ついでに言えば、字幕の担当は個人的にファンの松浦美奈さんだった。
これ以上ないほど自分好みの条件がそろった映画だったのに。結果は、何とも後味の悪いスッキリしないものに仕上がってしまった。
タランティーノは、本当に「10作撮ったら引退」するつもりなのだろうか?これが9作目になる。最後の一本はもう見たくない。出来がひどいことが今から予想できる。
最後に、何がダメだったのか一つだけ書いておく。
お話が、つまらなすぎる。
シャロン・テートが隣に住んでいる必要性なかったし、あたかも、当時の殺人事件の顛末を追ったような演出も…無関係だったし、クスリでトリップしたヒッピーが不法侵入し、同じくトリップした状態のブラピと飼い犬がそれを撃退するということだけ。映画の中で起きることといえば、本当にこれだけだ。
長いけど飽きない作品
タランティーノなのに、とても暖かい作品でした。
友情や挫折など感情表現が豊かに描かれ、古めかしい世界観という事もあって飽きずに見ることができた。
最後の事件もタランティーノらしくダイナミックで面白かった。
キャラクターに愛着が持てた作品だった。
ドックフードをボテッと落とすシーンが印象的だった。
また、解説動画を見るとその光と闇や、殺人事件の史実などもわかりより一層楽しめる仕様になっている。
感想メモ
ブラピとディカプリオの初の共演作
スタントマンにしては似てなくないか
落ちぶれたとはいえ元スター俳優の裕福な暮らしとスタントマンのキャンピングカー暮らしがかなり対照的に表現されている、スタントマンって給料どれぐらいなんだろうな
俺はリック・ダルトンだと演技で魅せるシーンはカッコ良過ぎて泣いた、ハリウッド俳優としての意地とプライドを感じたね
天才少女ちゃんかわいい
実際に、カルト教団がシャロン・テートというハリウッド女優を殺すというショッキングな事件があったらしい
ラストはそれに対するアンチテーゼというか、やり直しの物語
鑑賞時はその事件のことを知らなかったので、今まで話すこともなかった隣人が野次馬根性で話しかけに来たな〜、程度にしか感じなかったが、その背景を知ると、シャロンに会いに行くというラストは必然であると思う
カルトヒッピー達とのバトルをコミカルに表現しているのも意図を感じる、火炎放射器で丸焼き
底抜けに明るい画面と、切なさに満ちた二人
「シャロン・テート事件のことがわかれば面白く観られる」みたいな言説は、全くもって根拠のない妄想だね。なぜなら知ってても特に面白い事はない。ラストシーンくらいかな、意味があるのは。
むしろ1960年代のハリウッド映画をこよなく愛する気持ちが重要。特に「ローズマリーの赤ちゃん」を観ていた方が、思うところはあるのかもしれない。
私自身は、1960年代なら日本の時代劇の方が好きだ。洋画にも名作とされてる作品は多いけど、残念ながら懐古主義ではないので、今の方が面白い映画・魅力的な映画は多いと思う。
というわけで、作品の前半でノスタルジックな想いに浸れる訳もなく、相変わらずスタイリッシュな絵作りには惹かれるものの、特に面白いとは思わなかった。
ようやく面白いかも、と思ったのはスパーン牧場のシーンが完全にクリフをヒーローに見立てた西部劇だったあたりである。
それでも最後まで観ていられるのは、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの持つ圧倒的な「存在感」と、タランティーノがこだわりにこだわり抜いた美術ワークの素晴らしさ。この二点だろう。
めっちゃクオリティが高いから、面白いと感じなくてもダレずに観ていられるのは、良いことなのか悪いことなのか。
エンディングのマンソン・ファミリー襲撃は、クリフがLSDで見た幻覚である!と私は見ている。「シャロン・テートを救ったタランティーノのパラレルワールド」という意見もポジティブで良いと思うけど。
安物のLSDで見た安物の夢。その夢の中では、表舞台に立つことのないクリフは紛れもなくヒーローだった。
リックにも感謝されるし、ポランスキーとの交流から再びスクリーンでリックが輝くようになれば、まだまだ仕事も続けられるかもしれない。
そんな安物の夢でも、リックと二人、映画の中で活躍したいと願うクリフは可愛らしくも思えてくるのだ。
2回目の鑑賞。 出鱈目ならここまで出鱈目であってもらいたい。 でも...
2回目の鑑賞。
出鱈目ならここまで出鱈目であってもらいたい。
でも、水死事故って確か
『ナタ◯◯◯ウッド』で1981年だぜ。
シャロン・テート事件は覚えているが、良し悪しは別にして、1969年の夏は『月面着陸』に西側諸国(?)は湧いていた。
言うまでもなく、ポランスキーの門は開かなかった訳であり、アメリカ版『異人たちの夏』である。
『ヘルタ◯◯スケルター』を登場させないで、アメリカのサブカルとメインストリームをぶっ壊したって感じかなぁ。
僕はこの頃、アメリカへは行っていないので、この頃のアメリカ文化をテレビとか映画でしか知らないが、B級か退廃的な感じだった。そう記憶する。アメリカのニューシネマをサブカルと捉えれる事には賛成するが、ベトナム反戦から来るヒッピー文化からだけではないと思っている。つまり、この時点でアメリカの文化は戦争に関係なく、枯渇していると考える。それは何時からだ。1950年代初頭だと思っている。つまり、ビング・クロスビー、ジーン・ケリー、ジュディー・ガーランドの全盛は既に終わっている。そのつまらなくなった退廃的なハリウッドの姿だと思う。だから、ポランスキーの家の門が開く時。何故か涙がこぼれてしまう。
追記
イ◯ストウッドさんは使わずにマックウィ◯ンさんを使うのはやはり忖度かなぁ?
イ◯ストウッドさんとタランティ◯ノさんには共演、共作してもらいたいと思うけどねぇ。
余談だけど、この頃の日本人でいちばん有名な名前は『カトウ』だった。はずだ。『グリーン・ホーネット』と『宇宙大作戦』
でも、『宇宙大作戦』の『カトウ』は日本版だけだったかなぁ?
いずれにしても、映画の地盤沈下はTVの影響だと思う。
そして、今、TVをPCが凌駕して、AIだのCGだのと物事が全て『イット』になっちまってる。
『勝つか負けるか』しか無いスポーツを担ぎたす羽目にまで文化が沈下して、感情が二進法になってしまっている。一か八かじゃなくて、ZEROかONEの賭け事と同じだよね。作られる映像は『泣けるか』『ハラハラするか』だけ。
そうだよ。
BETばかりしてないで、たまにはBATを振らなけりゃ、
「フランク・シナトラ」さんと
「ジーン・ケリー』さんが泣くよ。
午後3時07分
午後5時33分
なんか早く鑑賞が終わったと思ったら、1.2倍速で見ていた。
むかしむかしハリウッドに、ニコルソンみたいな顔をしたおじさんとやけにムキムキなおじさんがいたそうな…。 これぞタラちゃん流、夢と希望のおとぎ話✨
1969年のハリウッドを舞台に、落ち目の俳優リックと彼のスタントマンであるクリフ、そして新進気鋭の女優シャロン、三者三様の人生を描き出すサスペンス・コメディ。
監督/脚本/製作は『パルプ・フィクション』『キル・ビル』シリーズの、名匠クエンティン・タランティーノ。
かつてのテレビスターで今は落ち目の俳優、リック・ダルトンを演じるのは『タイタニック』『インセプション』の、オスカー俳優レオナルド・ディカプリオ。
リックのスタントマンであり親友、クリフ・ブースを演じるのは『セブン』『オーシャンズ』シリーズの、名優ブラッド・ピット。
リックの隣人である新人女優、シャロン・テートを演じるのは『アバウト・タイム 愛おしい時間について』『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビー。
ヒッピー集団「マンソンファミリー」の中心人物、テックスを演じるのは『シャーペイのファビュラス・アドベンチャー』『デッド・ドント・ダイ』の、名優オースティン・バトラー。
マンソン・ファミリーのメンバー、スクィーキーを演じるのは『I am Sam アイ・アム・サム』『オーシャンズ8』のダコタ・ファニング。
映画プロデューサー、マーヴィン・シュワーズを演じるのは『ゴッドファーザー』シリーズや『オーシャンズ13』の、レジェンド俳優アル・パチーノ。
マンソン・ファミリーのメンバー、フラワー・チャイルドを演じるのはテレビドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のマヤ・ホーク。
テレビドラマ「グリーン・ホーネット」のスタントマン・コーディネーター、ランディ・ミラーを演じるのは『ワイルド・スピード』シリーズや『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の、名優カート・ラッセル。
マンソン・ファミリーのメンバー、スネークを演じるのは『アンダー・ザ・シルバーレイク』やテレビドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』のシドニー・スウィーニー。
👑受賞歴👑
第92回 アカデミー賞…美術賞/助演男優賞!✨
第77回 ゴールデングローブ賞…脚本賞/作品賞(ミュージカル・コメディ部門)/助演男優賞!✨✨
第85回 ニューヨーク映画批評家協会賞…脚本賞!
第45回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…美術賞!
第25回 放送映画批評家協会賞…助演男優賞!
第73回 英国アカデミー賞…助演男優賞!
オタク界のレジェンド、タランティーノ。映画ファンから絶大な支持を集める彼の作品を私はほとんど観たことがない。学生の頃、『ファイト・クラブ』(1999)のブラピに惚れて彼の作品を漁りまわっていた時に出会った『イングロリアス・バスターズ』(2009)。「ブラピvsナチ!?絶対オモロい奴やん!!」と喜び勇んで鑑賞したのだが…。
まぁこれが退屈で退屈で😅今なら別の感想が生まれると思うのだが、当時は本当につまらないと思った。
この時かなりしんどい思いをしたのでずっとタランティーノ作品は意識的に避けていたのだが、ついに彼の作品に挑戦してみることに!!
率直な感想を述べると、やはり今回も退屈だった。
ラスト15分までは本当に物語が動かない。ただただ、リック、クリフ、そしてシャロン・テートの日常が描き出されるだけ。
ストーリー映画を観ているというよりも、むしろ彼らのホームビデオを観ているような感覚に近かったかもしれない。
確かに退屈だったのだが、だからと言ってこの映画をつまらなく感じたかというとそれはちょっと違う。
ストーリーを排し、キャラクター描写に注力。リックとクリフ、この2人にグッとフォーカスして見せることにより、呼吸や心音すら伝わってくるような親密さを彼らから受け取ることが出来た。
本作の作劇方法は、従来のエンタメ盛り盛りなハリウッド映画とは一線を画す。どちらかと言うと、「日常系」とラベリングされる日本の漫画やアニメに読後感は近い。
実はこの作品で描かれているのはたった3日の出来事。たった3日で、リックのこともクリフのこともシャロンのことも、みんなみーんな好きになっちゃった💕
出来る事なら『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』のように、いつまでも彼らの日常を眺めていたい♪
日常系と称したが、これは「何気なくとも幸せな日々」を描くような腑抜けた作品ではない。
1969年8月9日、ヒッピームーブメントの終わりの始まりとも言える「シャロン・テート襲撃事件」に向かい物語は前進していく。マーゴット・ロビー演じるキュートなシャロンが画面に映るたび、そして不穏な陰を忍ばせるマンソン・ファミリーの姿が映るたびに、怖い怖い恐ろしい恐ろしい気持ちに観客は誘導される。
誰もが認める本作の最も素晴らしく、そして最もスリリングな場面はクリフがヒッピーの女の子に連れられ彼らのねぐらへと足を踏み入れるところ。旧西部劇の撮影所に現れたアウトローの男と、彼を取り囲む無法者たち。ここで空気感が完全にウェスタン映画に変わる。
西部劇の撮影をするリックのパートから、本当にウェスタン的な状況に陥るクリフのパートへのシームレスな移行は嫌味なほどに上手い。リックの演技が生み出した緊張感を引き継ぎ、そこにクリフvsヒッピーが生み出す緊張感を更に上乗せする。そのことにより生まれるこのシークエンスの一触即発の雰囲気はもう凄まじいものがある。
さすがクエンティン・タランティーノ。そりゃ人気もあるはずだわ。
この映画が伝えてくれるのは、太陽が昇るためには夜空の星は沈まなければならないのだということ。
この諸行無常な理を全く悲劇的ではない形で描いているところに、タラちゃんの優しさというか映画への愛が詰まっているような気がします。
そして、もう一つ。本作にはお仕事映画としての側面もある。
自分の出演作を観客が喜んで鑑賞している。新進気鋭の女優シャロン・テートはその光景を観て満面の笑みをこぼします。
ベテランのリックは自らの演技を追究する。不甲斐ない自分を叱咤しながら、ついに渾身の演技を披露することが出来た彼の満足気な表情、そしておしゃまな子役の女の子に褒められた時の泣き笑いに、彼の役者人生の全てが表れている。
キャリアも立場も違う2人の役者のそれぞれの達成。それを並列して見せることで、演じるということに人生を賭ける者たちへの讃歌を高らかに歌い上げることに成功している。
クライマックス、クリフはヒッピーの襲撃により足を負傷してしまう。スタントマンにとっての生命線でもある足を傷つけられたクリフは、おそらくこの先今の仕事を続けていく事はできないだろう。本人もその事は自覚しているはずである。
今回の襲撃はリックがテックスたちに絡んだからであり、クリフは完全に巻き込まれた形である。普通なら自分の商売道具がダメになった怒りをリックにぶつけたりする展開がありそうなものなのだが、担架で運ばれる彼の表情は晴々としている。
役者の危険の身代わりとなるのがスタントマンの仕事。その仕事に誇りを持つ彼だからこそ、リックの身を守った自らの行いに胸を張っているのである。クリフを観客誰もが好意を寄せるであろうタフガイとして演出していることに、スタントマンという仕事に対するエールと感謝が込められているように思う。
ラスト15分は完全にコント。そんな都合よく火炎放射器があるわけねーだろっ!🤣🤣
おふざけを我慢できないというタランティーノの性格もあったのだろうが、観客の誰もが覚悟していたあの悲劇を「そういう悲しいことは描きたくありません!!」とでも言わんばかりにスカして見せたのはやはり彼の優しさ故なんじゃなかろうか。
露悪的なまでに暴力的ではあるのだが、だからこそ伝わってくる残虐な行いへの怒り。IF展開を描かずにはいられなかったのは、シャロン・テートへの鎮魂ないしは恩返しだったのかも知れない。
とっても可愛らしい好みのタイプの映画ではあるのだが、やはり160分オーバーというのは長すぎる。流石に冗長に感じてしまった。
また、物議を醸しているブルース・リーの描き方は確かにちょっと問題ある気がする。
大絶賛というテンションではないのですが、今後タランティーノ作品を掘ってみようかしらん?と思えるくらいには好意的な印象を持つ事が出来ました♪
…若い世代の観客だと、シャロン・テート事件について知らないということもあるかも知れない。そういう人がこの映画を観た時にどう思うのかはちょっと気になります。そこを知らないと全く意味不明な映画だよねこれ。
マンソン・ファミリーについては沢山映像化されているんだろうけど、自分が観たことあるのはデヴィッド・フィンチャー製作のNetflixドラマ『マインド・ハンター』(2017-2018)。このドラマを観ていたおかげで、テックスが登場してきた時に反応する事が出来ました。
獄中のマンソンとテックスが登場し、なぜ犯行に及んだかを語るこのドラマ。本作と併せて鑑賞すると良いかも知れませんよ!!
…にしてもブラピは相変わらずムキムキだねぇ。全然脱ぐ必要ないところで脱いでたよねぇ…。もうほとんどギャグみたいになってる。ハリウッドのなかやまきんに君だ。
そしてレオ様はどんどんジャック・ニコルソンに似てくるねぇ。もうあの美男子だった頃の面影は一切無し。レオ様主演で『シャイニング』(1980)をリメイクしてみて欲しい。レオ様vsニコルソンの顔芸対決が見たい!
タイトルどおり、ワンスアポンアタイム・イン・ハリウッドという感じ。
格好良いアメリカ、その頃のハリウッド、という感じのセンスの良い映像。
史実を利用し、それを変えてエンターテイメントのストーリーにしてる。
色々と、その頃の俳優を出してるし、分かるほど楽しいというマニアックな内容にもしていると思う。
史実だと、隣の家の女優の妊婦さん<シャロン>に押し入って殺してるけど、変えていて良い感じのストーリーにしている。
ブルース・リーも出てくるし(本人ではない)、あの俳優の少女は誰だったのだろう。
また、分かるように名前を出さない様につくってるけど、調べて分かると楽しいと思う。
遊び心もあり、161分もあるけど、飽きずに、楽しめる。
映画業界人の「こうだったらいいのにな」を満たす
劇中劇にはマカロニ・ウェスタン愛が込められ、「なんでも好きなものを登場させる」楽しみが、マルチバースにも似る。
スタントマンは映画の主役になる夢を叶える。
「俳優は嘘の存在。本物のヒーローじゃない」という人には、俳優がリアル・ヒーローになる映画を。
本当は亡くなってしまうシャロン・テイトも夢の中なら救えちゃう。
業界人が抱く「こうだったらいいのにな」を叶えていく、業界人のための映画
60年代ハリウッドという時代と、映画業界・映画製作の現場を内包しながら...
タランティーノ特有のウイット
(ちょっとネタバレをはっきり書きますのでご注意ください。)
終始ニヤニヤさせられた。
ディカプリオのファニーな役柄にもニヤニヤしたし、ブラピのかっこよさ、古き良き時代の描き方、随所の台詞回しのオシャレさ、ずっとニヤニヤさせられていた。
この空気の中、あの事件を描くのかと。
どんな展開になるのか、特にシャロンテートが出てくる度に緊張感が高まり、一体あの凄惨な事件にブラピとディカプリオがどんな絡み方をするのか。
彼らが出ている以上、一定以上はフィクションになるわけだが、それがどういうかたちに落ちるのか。興味深くスリリングに見ていたが、ラストでなんと決定的に笑かしてくれた。
ラストシーンは圧巻だった。
2時間もかけて、事件を知る者をハラハラさせた挙句、その緊張感がピークに達したところでタランティーノが笑いながら尻出して逃げていったようなオチだった。
曲がりなりにも人が襲われたり死んだりするシーンである。
私は痛い系、特に女性に対する暴力シーンなどが大の苦手なので、まさか自分が
女性が執拗に顔面を叩きつけられたり火炎放射器で燃やされるという悪趣味なシーンで声を出して笑う日が来るとは思わなかった。よくあの仕上がりに調理したものだと感心した。
プールでディカプリオが「WTF」を叫んだシーンは思い出し笑いの域まで来ている。悲惨なシーンのはずなのだが。
また、犬に合図するところを筆頭に、ブラッドピットの信じられないカッコ良さもこのシーンに強烈な色を塗っている。
これだけ予想外の事だけが連続するとんでもないシーンを描いて、主人公の友情を描いてラストっぽくしたかと思いきや、最後3分程度でとんでもない生ぬるさで締めくくる。
タランティーノの美学が本質的にユーモアに支えられていると実感できる名作だと思う。
軽くない爽快感
観終わった後最高に気持ち良い映画です。
細かい小道具や装飾が少し大袈裟だけど細かくて、リックの家やクリフのキャラバンの家具や内装も良かったですしシャロンの部屋にあったミュシャの絵の飾り方も可愛かったです。
私がタランティーノ監督の作品で好きな点の一つにカメラワークが挙げられるのですが、ワンハリでもそれは健在でシャロンと夫の初登場シーンや彼女がレコードをかけるシーンは印象的でした。
危険なコミュニティ系のストーリーが入る作品はどうしても苦手だったのですが、今回はクリフの絶対に死なないと思わせてくれる安心感とコロコロと変わるリックの喜怒哀楽で程よく中和されていて怖さはあまり感じませんでした。
クライマックスもテンポ良く進んでいくので最後まで長ったらしくなく気持ち良く鑑賞できました。最後に出てきたヒッピー一族のアジア系の子の車の中の話を白熱させていくシーンや家の中で狂い暴れるシーンは本当に狂気を感じました笑
いつものごとく血みどろでワーキャー言っている感じも好きです。
言い忘れていましたが、クリフのペットのブランディちゃんも可愛くて間違いなく見どころの一つです。
観終わった後の爽快感は最高で幸せな感じで1日を締め括ることができました。
無知は決して「恥」ではないのだ
敢えて軽薄な言い方をしますが、レオ様とブラピの夢の共演な訳です。観てきました「Once Upon A Time in Hollywood」。キル・ビル Vol.2以来15年ぶり、久しぶりに観るタランティーノ作品は、シンプルにカッコよく、意味のない日常が淡々と綴られる相変わらずの世界観。最上級の緊張と緩和が秀逸で、音楽が超かっけー。それが観終わった感想でした。十分に楽しめました。そう、何も知らなくとも。
他の人たちの感想を調べると必然的にこの名前が挙がってきます。「シャロン・テート」。
映画を観終えてますから、その名は知ってます。レオ様とブラピの隣人ですよ。でも、もう少し調べていくとこんな単語が検索結果で出てきます。
「シャロン・テート殺害事件」
さっきまで観ていたシャロン・テートが殺された?いやいや、シャロンって映画の中の人でしょ?続編??頭はもうパニックなわけです。そのまま検索を続けると、映画の根幹にあるとんでもない背景と、本作の本当の意味が浮き彫りになってきます。
一般的には「シャロン・テート殺害事件」ぐらいは予習していけとの意見が多数ですが、まっさらな状態で観て、その後検索して真実を知って、体感したことのないレベルのサブイボを味わうのもまた一興。アメリカでは知らない人はいない事件らしいので、観ている人が結末を知っていることを前提にタランティーノは撮ったらしいですが、別にいいじゃん。うちら日本人だもの。知らなくたって恥じゃないし、知らないから得られる楽しさは絶対ある。断言できる。
予習するしないは個人の自由。何にせよ以下、壮大にネタバレします。
んで、この作品って、ある意味シャロンが主人公でリックとクリフは真のヒーローだよね。つか基本の世界観は藤子・F・不二雄が描いた「SF(すこしふしぎ)」であってさ、足枷外した「T・Pぼん」みたいな?ある意味タイムパトロールだよ。1時間以上かけてダメな印象をダラダラと植え付けて生まれた輪郭も、藤子・F・不二雄ライクなヒーローだよね。そうそう、リックが「マクラスキー 14の拳」で火炎放射器ぶっ放した相手ってナチだったじゃん?チャールズ・マンソンの写真見ると額に鉤十字を彫ってるんだよね。これって絶対狙ってるよね。あとさ、いろいろうるさい日本だったら「実名」で実際あった事件を180度違う結末で描くなんてできないよね、不謹慎だ!なんて言っちゃって。くだらね。でも、この作品は実名で描くことが重要なんだよ。モチーフとかそんなヌルいものじゃなく、あの事件がこうなることが直接示されてることに意味がある。今回ほどエンターテイメントの「力強さ」を感じたことはない。映画って凄いわ。もう一回観たら、エンドロールで泣くかもな…。でもリックのあの広告があるからやっぱり笑うか。以上!
想定外のラスト
ラスト近くになって、シャロン・テートたちの動向が時刻の表示とともに、テレビの再現ドラマ風に展開され、いよいよあの事件の再現かと思いきや、まんまと騙されました。
1969年が舞台で、その当時の映画、映画俳優、ヒットしていたポピュラーミュージック等がふんだんに使われていて、映画好き音楽好きにはたまらない映画でした。多分私位しか感動しなかった場面かもしれないが、映画「ジョアンナ」の看板が出ていたことだ。画面に釘付けになってしまった。日本ではあまりヒットしなかったと思うが、アメリカではそれなりにヒットしていたのかなあと、ちょっと感慨深いものがあった。
レオナルド・ディカプリオ演じる俳優が、以前は大スターだったが現在少し落ちぶれていても、演じることに誇りを持っている生き方、俳優魂が素晴らしかった。それを演じた彼の演技も同時に素晴らしかった。
同時進行で女優のシャロン・テートが出てくるが、シャロン・テート事件をリアルタイムで知る私にとっては、おなかの大きくなったシャロン・テートが残虐に殺されることになるのかなと、いかにもタランティーノ的だなと思いつつ見ていたところ、完全に裏切られてしまった。ただ、いい意味で裏切られたので後味は悪くはない。誰かのレビューに書いてあったけど、タランティーノ監督にとっては、シャロン・テート事件はなかったことにしたかったのかな。つまりシャロン・テートは殺されなかったと、夢であったかのように。
私自身、シャロン・テートはよく知らない女優であるので似ているのかどうかはよくわからなかったが、夫のロマン・ポランスキー、友人のスティーブ・マックイーンやミシェル・フィリップス、ママキャス、ブルース・リー、チャールズ・マンソン等は実際の人物によく似ていた。
映画の中では、マカロニ・ウェスタンやブルース・リーを馬鹿にしている感じだったが、多分タランティーノ監督は結構好きだったと思う。
この映画の全てのシーンは何らかの事実を反映しているようだ。例えば、シャロン・テートが書店で夫のプレゼントのために「テス」の初版本を買うシーンがあるが、これは後にポランスキーが「テス」を監督したきっかけとなったかのかもしれない。また、彼女が出演した映画が上映されている劇場に行って、自分が出演しているので観ていいかと聞くシーンがあったが、これももしかしたら本当かもしれない。
一つ注文があるとすれば、殺人 場面のバックで流れていた曲が、ヴァニラ・ファッジの「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」であったが、できればビートルズの「ヘルター・スケルター」のほうがよかったのではないか。チャールズ・マンソンは、この曲が殺人を連想させた曲だと言っていたようなので。
自分には評価が難しい
大きな予備知識なく見ると、大きなストーリーがなく、ラストまでダラダラと感じる。
やはり一定の時代を追いかけてきた人が見ると、また知識があると面白いのだろう。
出てくるキャラクターもロマン・ポランスキーやスティーブ・マックイーンやブルース・リーはしっているけど、マンソン・ファミリーの事も知らなかったし、「え、え?」といった感じであった。
また実話と監督の妄想が混ざっているのか、実在する俳優なのか、本当の話なのか?が観ながら混乱していたw
時代背景や当時のハリウッドを取り巻く環境等を注視してみれば面白いのかもしれない。
自分はダルトンやクリフをメインとしてみていたので、特段大きな変化もなく、ダラダラと感じてしまった。
今までのタランティーノ映画の感覚で観ていたらたのしめないかもしれない。
今回はバイオレンス感は低め。
マンソン・ファミリーの事だけでも予習しておけばもっと楽しめたと思う。
ほんとにタランティーノ?
妙に知的で抑制が効いていて、ほんとにタランティーノ?っていうのが第一印象。最後のマンソンファミリーやシャロンテート事件をもじったあたりからいつもの凶暴性がでてきたが女性をああまでズタボロにするのは異常でしょう、もっとも火炎放射器まで出してきたのでブラックジョークと分かりましたがね。
落ち目の俳優と付き人のようなスタントマンの友情物語風なのだが1960年代あたりのカウンターカルチャーの潮流を織り込んでタランティーノが妙にノスタルジックに時代をえがいています。
マカロニ・ウエスタン、特にセルジオ・レオーネ監督をリスペクトしており交流も深いようです、反面、ブルースリーが嫌いなのはよく分かりました。実話エピソードも数多散りばめているのでしょうが誰のことやらは殆ど読めませんでした。
さすがに2時間40分は要らないとおもいますが、ブラピとディカプリオ共演ですからオーラだけでも持ちこたえるところがキャスティングの妙ですね、子役のジュリア・バターズちゃんは良かった、タランティーノもお気に入りで若いメリルストリープと絶賛していたようです。ワンコもご主人を守って大活躍でしたね、映画初出演、雌のピットブルテリア3歳でサユリという名だそうです。
ブラピがイタリアに行っている間どうしたのか不安に思っていたらペットホテルのシーンがちゃんと出てきました、タランティーノってそんな気遣いのできる人とは、見直しました。
好奇心と、正義感~タランティーノを形作るもの~
全部の作品を観た訳じゃないんだけど、タランティーノは好きだし(キル・ビルとか)、前評判もそんなに悪くなかった気がするので、失望させられる可能性は低いだろうと、期待はしてました。
結果・・・とっても、よかった。ラストがやっぱり(タラちゃんだけあって)すっごく怖いんじゃねぇかと内心ビビりまくっていたんだけど、「いやいや(女の子)叫びすぎや」とか「いや火炎放射器なんで持っとんのや」とか、内心ツッコミを入れながら、時には笑っちゃう余裕すらあった。
前評判通り、60年代ハリウッドとアメリカの空気感が全編を通して画面から匂い立つようだし、ディカプ&ブラピの演技も最高。ディカプ演じる落ち目の俳優の哀愁が「パない」。腕っぷし自慢のブラピの筋骨隆々ぶりと、ラスト付近の「キマッてる」シーンが特に最高(脚本がいいってのもあるんだけど)。
ただ――指摘し尽されたと思うけど――あの(高名な)ブルース・リーがあんないけ好かない奴で、なおかつ、一介のスタントマンとのタイマン勝負でフルボッコされるなんて展開、あっていいんでしょうか・・・。
ま、何はともあれ、思うんです。タラちゃんの映画作りのモチベーションについて。タラちゃんって、好奇心の強い人なんじゃないかって。なぜ、殺されなければならなかったのか。なぜ、殺したのか。あの時、もし、隣に腕っぷしの強い、ラリった男が居てくれていたら・・・?
これはタラちゃんなりの鎮魂歌で、ある意味、マカロニウェスタンなのかも(マカロニウェスタンをよく知らないので、全然違うかもだけど)。作中、ビビりながらもヒッピーに蹴りを喰らわすイタリア人妻のたくましさは、そのまま、タラちゃんを立派に育てたお母さんのたくましさなのかも(キルビルも、元マタニティーママの「一大壮絶復讐劇」だし)。
あったかもしれない、もう一つの幸せな現実。ラストは少し、ウルッとさえきました。「夢見がち」って、悪いことじゃない。好奇心も、正義感も。やや冗長で残酷で、でも、人柄がしのばれる。そして、洒落のきいた小粋な脚本。私にとっての、タランティーノ。
ブラピがいい (^-^)!
トレーラーハウスに戻りワンちゃんと自分に夜食を作るシーン好きです(笑) ラストで侵入者を返り討ちにするシーンはスカッとしました! 不快に感じる方もいたでしょうが、僕は「ざまあみろ!思い知れ!」と思いながら観てました。 イカれた奴らは話したってわかりませんし、だから「狂信者」って呼ばれるんですから。
これは史実…
と思わせといて、ラストはタランティーノ炸裂という、悪をギッタギタにバイオレンス満載。ブラピ強過ぎ、ディカプリオの火炎放射器って。マーゴットは添え物?無事で良かった。途中まで古き良きハリウッド?落ち目のTV役者とそれに付き添うスタント兼世話役の話で、方向性が見えなかったけど、最後は楽しめた。マンソンのアジトに踏み込むブラピのシーンは緊張感あった。オスカー受賞のディカプリオより、ブラピの方が存在感があった。
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