「昔も今も、ハリウッドと映画へ捧げる、タランティーノのラブレター」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
昔も今も、ハリウッドと映画へ捧げる、タランティーノのラブレター
タランティーノ!
レオ&ブラピ!
マーゴット・ロビー、アル・パチーノら初参加組、カート・ラッセル、ブルース・ダーンらお馴染み組の豪華キャスト!
舞台は1960年代、魅惑のハリウッド黄金時代!
フィクション×ノンフィクション!
映画内幕コメディ、男二人の友情ドラマ、実際に起きた衝撃事件のサスペンス!
これでもか!…と、たっぷりの話題性と面白味を詰め込み、期待するなと言う方が無理!
今年の期待作の一本!
大満足の160分!
だって、これはタランティーノ映画!
何と言っても、タランティーノが1960年代を舞台にハリウッド内幕劇を撮る。
どれほどのネタがブチ込まれていた事か!
分かったのもあれば、まだまだ気付かなかったのも沢山あり。こりゃレンタルになったら、二度三度四度と気の済むまで再見しなければ!
実際の映画/TVや劇中劇が面白い。ここら辺のディープなチョイスがタランティーノらしい。
あの大物監督にあの大スター、伝説のスターら実名さん、あの名子役(現・名女優)を彷彿させる人物も。
ロケやセットなど、まだ産まれてもない/知りもしない1960年ハリウッドにタイムスリップさせた気にしてくれる。
映画通でなくとも、映画通なら尚更!
選曲はいつもながらgood!
無駄に長いシーンや台詞は勿論。(←褒め言葉です)
いつもよりバイオレンス描写は控え目だが、これは最後にお楽しみ♪
タランティーノの才気/センス、エンタメ性、そしてオタクっぷりにはひれ伏したくなるほど。
やっぱ、アンタは最高にクールだぜ!
そして、超話題。
遂にこの二人の共演を、スクリーンで観る日がやって来た!
レオナルド・ディカプリオ×ブラッド・ピット!
開幕早々から、豪華贅沢にツーショットで登場!
再度確認するけど、合成やCGじゃないよね…?
役柄がまたまたハマってる。
レオは、かつては映画スター、今はしがないTV俳優のリック。
再び映画の世界に返り咲こうとするが、酒に溺れ、せっかく貰った仕事も台詞を忘れ…。
その惨めさ、情けなさ、落ちぶれっぷりは哀愁たっぷり。
と同時にハイテンション演技で、ユーモアも。
が、俺はリック・ダルトン。やる時はやる! TV西部劇の悪役で、凄みのある演技。やり切り、安堵したのかうっすら浮かべた涙に、見てるこちらも思わずジ~ンと…。
言うまでもない、レオの熱演!
ブラピは、リックのスタントマンのクリフ。
運転手もやり、その他雑用もやり、時にはアドバイス/サポート/フォローで公私の境無くリックを支える名パートナー。唯一無二の親友でもある。
ただ、ちょいと問題児。トラブルが幾つか。
トレーラーハウス暮らしで、向上心を秘めつつ、常に陽気でポジティブ。
役柄の旨味もさることながら、ブラピがカッコいい男の魅力やセクシーさを炸裂。
ちらほら囁かれているオスカーへの期待、こりゃひょっとすると、ひょっとするかも…!
それから、クリフの愛犬も。
奮闘する売れない俳優とスタントマンの物語がユーモアたっぷりに、男二人の友情ドラマが味わい深く描かれる中、もう一つ展開するストーリーが、
実在した若い女優、シャロン・テート。
演じるマーゴット・ロビーがKO級の魅力を振り撒き、こりゃ堪らん…。
60年代ファッションがキュート、映画館で自分が出演してる作品を見る嬉しそうな表情がこれまたキュート。
ホットパンツやミニスカートから覗く眩しい脚線美は刮目せよ!
足フェチタランティーノ、健在なり!
シャロン・テートと言えば…
当時、ロマン・ポランスキー監督夫人。
売り出し中の若手女優。
でもそれ以上に、今尚ハリウッドで語り継がれる衝撃的なアノ事件…
2つのドラマは同時進行で始まるも、ほとんど接点ナシ。
が、クリフがヒッピーのコミュニティを訪れた辺りから不穏なムードが。
そして遂に、アノ事件当日。
フィクション×ノンフィクションが果たしてどんな結末を迎えるのかと思っていたら、
予想の斜め上を行く、意外な展開に!
もっとハラハラドキドキの実録サスペンスや“シャロン・テート事件”の真相に迫る話を見たかった人には不満だろう。あの予想外のオチは賛否分かれるだろう。
でもそこは、“確信犯タランティーノ”。
もし、アノ事件がこうなったら…。
何かの評で、これまでで最も優しいタランティーノ映画とあったが、なるほど然り。
凄惨な事件を起こした奴らに制裁を与えつつ、
シャロン・テートと、スター/無名問わず映画の世界で奮闘する人々へ捧ぐ。
映画愛エンタメに満ちた、タランティーノのラブレター。
ご存知の通り、タランティーノは10本映画を撮ったら引退と公言。
本作が9本目。後一本。
本人が決めた事で、意思は尊重するが、
だけどやっぱり、まだまだタランティーノの映画が見たい! 我々を楽しませてくれる映画を撮り続けて欲しい!
だけど、宣言通り引退したら、こう語り継がれるだろう。
昔々、ハリウッドにタランティーノという天才が…。