斬、のレビュー・感想・評価
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斬というより無残、残念
何をしたいのでしょう、何を見せたいのでしょう。 殺すの怖いけど、殺されそうなら殺す、それだけ。 殺陣を見せたい割には、みんなへたくそだし、カメラを揺らしてごまかしてるし。 死人のまぶたはピクピクして、道ばたにはプラゴミ落ちてるし。 そりゃ、監督、脚本、撮影、出演で一人何役もしてるから裸の大様状態ですね。 演技指導、演出なしですから池松も蒼井優もいきいきしてました、昔の人には見れないですが。
塚本晋也監督は、何故に海外の評価が高いのか を少しだけ考えてみる
誰もが知っている事だが、塚本監督作はエンタメ色は薄い。 古い言葉で言えば、「日本アート・シアター・ギルド(ATG)」の色合が強いと私は思う。 (ATGは初期のアート系作品から後期はヒットした「家族ゲーム」を生みだしながらも、徐々に衰退した。が、その後の邦画を担う多くの映画人を育てた功績は大きい。) だが、塚本は初期傑作「鉄男」から、アート系の色合いの強さはそのままに、その類稀な映像美で世界レベルの審美眼を持つ人々に熱狂的に受け入れられた。 私は彼が海外のアート系映画祭で受け入れられた要因はその特異な映像美であると考える。 そして、この作品である。 時代は江戸最後期、舞台はほぼ寒村。その寒村を襲う、無頼者たち。志を遂げるために腕の立つ剣士を探す塚本演じる剣客、澤村次郎左衛門。 若き剣士都築杢野進(池松壮亮)と寒村の娘ゆう(蒼井優)と侍になりたい弟、市助との関係性が淡々と描かれる。 そのトーンから一転して、澤村と都築の腕試しのシーンの迫力や澤村が無頼者たちを無表情に切り捨てるシーンの残酷ながらも魅入ってしまう妖しげな美しさ。 杢野進とゆうの壁超しの指吸いシーンのエロティックな美しさも忘れ難い。 塚本晋也の監督・脚本・撮影・編集・制作 という一人でどこまでやるの?という部分も含めて、塚本ワールド全開であるし、その特異な暴力的な映像美が海外では評価されるのであろうなあ、と思った作品である。 <2018年12月6日 出張先にある映画製作に熱心な街のミニシアターにて鑑賞>
声が小さい!!
と主人公達にツッコミを入れたいこの映画。 冒頭から「刀効果音など後で追加したろ」とか丸解り。またまたツッコミも入れたくなる。 ストーリーは動乱続く江戸時代末期。農村で木刀にて剣術を鍛錬する若者が見知らぬ浪人と出会い、江戸に誘われ心に変化が表れる。 別作品「野火」同様この作品もツッコミを入れたくなるくらい監督色が強い。カメラブレブレが嫌。 「ある農村での、主人公の揺れ動く情緒を堪能出来るか?」と期待して観ていたのだが、内容薄い。 また野火同様、自ら置かれている状況下での人間性の変化を魅せたいらしいが、演出が騒いでいるだけ。 (この監督の作品はこういうマスターべーションパターンばかりなの?) 殺陣のシーンも残念、演出にこだわり過ぎて。 シリアス路線なら、ボロ棒vs真剣など長い時間観たくない訳であります。十数秒だろ普通。 シリアスの割には中身が無い脚本であって、予算が無いから仕方ないと思う人もいるかも知れないが、それで済ませて欲しくは無いな。 ただの演出ごまかし映画だと思いました。
人を斬るということ
それは尋常じゃない精神力が必要ということ。この時代では当たり前かもしれないけど、やっぱり人を斬る、ということは異常なことだ。決して主人公は弱い人間でなく、普通の人間で、煩悩もある。剣術は練習と実践では大きくちがう。覚悟して本当に人を斬った時、彼の何かが壊れ、普通には戻れなくなってしまった。そうしなくては武士としては生きられないこの時代の儚さ。殺陣のシーンのカメラワークが早すぎてよく見えない。宮本から君へと同じコンビ、そっちも楽しみ。
「野火」の続編で前日譚
塚本晋也監督の前作「野火」は、戦争という巨大な理不尽に翻弄され、(ある意味)怪物にされてしまった男の物語だった。 対して本作はそんな前作「野火」の(精神的)続編であり、舞台設定的には前日譚とも言える作品で、“怪物に憧れる男が怪物になるまで”を描いた「裏・七人の侍」と言えるかもしれない。 侍や剣豪をヒーローとしてではなく殺人者として、日本刀を暴力装置として描く塚本監督の試みは「野火」で描かれた本質をより掘り下げる形になっていて、その視線は非常に現代的。 まぁ、そもそも時代劇は、「時代劇」という形の中に現代性を反映させるモノなので、そういう意味で 本作は時代劇として非常に正しいし、前作「野火」から塚本監督の映画に対する意識みたいなものがハッキリと切り替わっている。 それは何かと不穏な現代社会に対して、塚本監督が感じる危機感の表れでもあり、警告でもあるのだと思う。
塚本晋也監督の初時代劇「斬、」は問いかける映画
人が人に暴力を振るう時、ヒトには一体どんな衝動、何が起きているのか、この映画は観るものに繰り返し問いかけて来ます。 映画の中で描かれる人々が人を躊躇なく斬り、時間をかけてなぶり殺すような凄惨な殺人場面から、ラストに向かって話が一気に加速するに連れ、私達の日常において繰り返される殺人的行為、例えば昨今注目のあおり運転のような暴力まで、私の頭の中で、様々な事件がグルグル回り始めます(^o^;) これはもしや、塚本晋也監督からの時代劇のシチュエーションを借りた社会学的な挑戦、問いかけか?と、はたと思い至りました ( ´_ゝ`) つ~わけで初めての時代劇を撮ってもやはり、塚本晋也監督の味わい炸裂です。観たことも聞いたこともない凄い時代劇が出来ました。ブラーボ!オススメです(≡^∇^≡)
切る為の刀。。。
人を切るべきで切らないといけない浪人が人を切るための話?
低予算感が漂う時代劇。
画面が汚い。
意図してるんだろうけど。
ですごく艶かしくもある。
なんだろう。
既読感溢れる、リアルな活劇。
蒼井優役不思議。
盗賊たちにやり込められるは自業自得感溢れるし。
池松が言うことはその通りだと思う。
仕返しや復讐は違うとは思う。
でもそれに固執をなぜしてしまうのか。
最後の決闘。強い。
彼女の慟哭は何を意味するのか。
切らないで欲しかった?
行かないで欲しかった?
色々解釈できすぎてよく分からん。
まぁ映画館で見てよかったかも。
暗闇で刀の音を聞くべし。
“ 刀 ” という暴力装置
確かに、ナニかを守るために振るう刀もあるのでしょう。 本来刀とは、ヒトを殺傷たらしめる装置以外の ナニモノでもないということが、 本作『 斬、』を観て改めて思い知りました… 正義の名のもとに処断を下すのも、また “力” 力無き正義などあり得ない… 「剣は凶器 、剣術は殺人術。 どんな綺麗事やお題目を口にしてもそれが真実…」 …と、漫画『るろうに剣心』を思い出したのは、 わたしだけでしょうか? 時代を創るのは「刀」ではなく、それを扱う「人」であると語った 『るろうに剣心』の主人公は〈弱きを守り、強きを挫く〉 一種の【ヒロイズム】を提示している作品だと思いますが… 本作『 斬、』ではそういったヒロイズムをいっさい廃し ただ、ただ、噴出する暴力装置としての“刀”という 位置付けで表現していたのが印象的でした。 池松壮亮さん演じる都築杢之進の、 斬るべきか斬らざるべきかの葛藤… 塚本晋也 監督自身が演じる剣豪・澤村の ためらいの無い、他者への斬撃! そのふたりの一線を超える基準は 一体なんだったんでしょうか? 勧善懲悪の時代劇も好きですが、 少しモヤッとする終わり方も、 余韻が残り作品の奥行きが増してく感じ… たまりません! ですが、わたしには少々難易度が高かったことを隠せない 作品でしたので、もう少し時間をおいて 再度視聴したいと思います。
迫力はあるんだけどね。。
映画の滑り出しはとてもいい感じ。池松の殺陣も良かった。腕の立つと侍を集めている塚本晋也の登場でより期待が高まった。戦闘シーンには一貫して迫力がありとても良かった。ただ、主人公がこれほど腕は立つのに人を切れないという苦悩、愛する女は守れないけど自分の命の危険の場面では刀を抜くんだ、みたいなところにちょっと魅力半減。せっかくだからもっとしっかり吹っ切れた感じを出して終わって欲しかった。
それでこそ澤村を見事に切り倒したシーンが生きるのではないかなぁ。
面白かった!
切り取り不可能な多様な価値観を内包した森に、時空を超えた「どこでもドア」で案内されたような体験だった。 人間の「弱さ」が持つ小さな「偉大さ」という対比を感じた。小さなてんとう虫は大きな自然界、宇宙に匹敵するのだ。 不完全な肉体を持つ人間の思考や感情が媒介する限り、状況は常に逆転したり反転する。 どこにも馴染めず、自分自身とも折り合いの付かない池松。ラストの、無限の森を彷徨う息づかいに自分が重なった。
重く響く時代劇
オープニングからその音楽にやられます。 もうとにかく格好良い。 長年連れ添った石川忠の音楽。映画完成前に亡くなってしまったのは本当に残念でした。 しかし残された音を監督自ら編集していることもあって、マッチングが素晴らしいのです。 いつものように空気感が良く、少し張り詰めた感じが良く出ていました。 鋼の音も効果的で、刃の重みも伝わってきたのが個人的に良かったです。 物語は勧善懲悪な復讐劇などではなく、望まぬとも巻き込まれてしまう人間の業や輪廻のような世界を良く描いていました。 主演の池松壮亮も初めて見た「銀と金」を思うととても成長が見られ、雰囲気がとても良くなっていました。 ただ周りを囲むキャストが凄いので、やはり少し軽さを感じます。 意外だったのは刀がテーマな割には血しぶきがなかったことでしょうか。いつもならもっと吹き出していると思うのですが、やや控えめな印象。 ラストの置き方はとても監督らしく、鑑賞後はとても心地よかったですよ。そしてエンドロールでの石川忠のクレジット、このオマージュたっぷりの演出に少し泣きそうになりました。 いわゆるチャンバラ映画とは違いますが、切り取り方がとても面白く実に塚本作品です。 腹に響く時代劇でした。
斬る男、斬らせる女
本作、80分とさほど長くないのが非常に効果的。 絞り込んだテーマと舞台設定で、タイトルのごとく切れ味鋭く見せてくれる。ピンと張り詰めた短編小説のようである。 時代劇だが、テーマは現代的。ゆえに登場人物は「私」「君」など、舞台の江戸末期にはあり得ない言葉を使う。 塚本監督らしい手ぶれカメラに、大きな音の効果音が被さる。剣を抜く音、空気を切り裂く男、そして人を斬る音などが容赦なく耳に入ってきて、よくは見えなくても、また、目をそらしたとしても、殺気が伝わってくる。 浪人の杢之進(池松壮亮)は農家に居候しつつ食い扶持をつないでいる。時は幕末。江戸に出て、漠然と活躍することを夢見ている。農家の息子の市助は武士の杢之進に憧れ、木刀で剣の稽古を付けてもらっている。市助の姉のゆう(蒼井優)は杢之進に想いを寄せている。 ある日、腕の立つ剣士の澤村が村にやってくる。彼は京に上ろうとしており、仲間を探していた。そして、澤村は杢之進と市助を仲間に誘う。 その頃、村には、ならず者の集団が流れ着く。 ゆうはたびたび杢之進に「死ぬの?」と尋ねる。彼への想いゆえである。弟に対しても、澤村といっしょに行かないでほしいと願っている。 ところが彼女は、両親と弟をならず者達に殺された途端に、杢之進に「仇を取りに行け」と強く迫る。 蒼井優、「彼女がその名を知らない鳥たち」に続いて、女のダメなところをダメダメに演じていて見事だ。観る者が男でも女でも嫌悪感を覚える行動なのに、「自分が彼女の立場だったら、こうしちゃうんだろうなあ」と思える説得力ある演技を見せている。 杢之進は真剣を嫌い、ならず者たちとの闘いでも木刀を使う。 ところが、本人が望まないにも関わらず、最後には真剣での決闘に追い込まれて行く。 女は剣を持たない。しかし、男を闘いに向かわせる。 望まないのに闘いに巻き込まれていく、という構図は昨今のネット世論なども想起させ、不気味である。
退屈
軟弱な若者と屈強な老人。若者は話合いで問題を解決しようとするが、痺れを切らた老人が災いを持ち込んで、若者がその尻拭いをさせられる、って感じだと思うが、テーマが凡庸すぎる。
演出も盛り上がれないし、カタルシスもない。
葛藤()で気が狂ったフリとか観てられない、席を立とうかと思った。
刀の音がすごい
日本が開国するかしないかの瀬戸際に生きる侍の話。冒頭から刀の音の重量が普通の時代劇とは違う。池松壮亮の迫力もすごい。 . けど、この迫力でこの侍がやり手の侍だと勘違いしがちだけど、実は江戸時代の平和の中に生きてきたから人を実際に切ったことはない。 . なのに、謎の侍のやられたらやり返す精神でトラブルを持ってきちゃって殺し合いが始まる。主人公のやられても自分はやり返さないっていうスタンスめちゃくちゃかっこいいのに。 . 今の日本だったら同盟国が戦争をしても自分の国はやらないって言えることって大事なのにね。 . 全体的に良い映画なのは分かるんだけど、私は好きなタイプの映画ではなかったなぁ。 自慰シーンとか蒼井優が指舐めるところとか何見せられてるんだろうと思うし、あとちょっと狂ってる演技も多いんだけどやりすぎじゃない?って思っちゃうんだよね。私は男の人が作る泥臭い映画は苦手や🤔. .
映画監督塚本晋也
「鉄男」を初めてみたときの塚本晋也 「六月の蛇」「ヴィタール」何度心踊ったことか。 変わらないカタルシスが心地よく やりすぎギリギリの音楽が心地よく NHKでダンボールのロボットを着せられていた姿に涙したことを振り返り、映画監督塚本晋也が見れて本当に良かった。
鋼(はがね)な感じ
シュールな映画だった。 徳川幕府がいよいよ終わろうかという時代に、農村に用心棒的に雇われている腕の立つ浪人のまわりに起きる出来事の話。 主人公は、剣の腕に見所がある農家の青年と毎日のように修業をしながら、農作業にも参加して暮らしていた。 人を斬る修業を毎日続け腕は確かなものになったが、なぜ人を斬るのかがわからないままでいる主人公。 そこに現れる2つの存在。ひとつは、ならず者集団、もうひとつは、幕府の一大事に、腕の立つ者を集めて江戸へ馳せ参じようという、凄腕の浪人。 さまざまなことがあって、ラストで人を斬ることができた主人公は、この後どうなったのか、誰にもわからないまま映画は終わる。「人を斬る」とは一体なにか? 主人公と同じ苦悩に観客である我々も巻き込まれていく。 緊張感を強いる大きめの音楽や効果音。そして何にもまして、真剣が鞘から抜かれた瞬間から、チリチリと鳴る金属音。構えただけで音がするはずはないのだが、この音が「人を斬るための、剣」という存在をはっきり意識させる。すごいセンス。 おびえる村人に、ならず者達の退治を期待されるも、彼らの懐に入って酒を酌み交わして交流を果たし、村人たちに「彼らも真から悪い奴らではない。だから、依頼されたら、農作業を手伝わせてやってほしい」と伝える。現代人である我々から見れば、それ自体は心優しい、美しい活動に見えるのだが、主人公自身は、"人を斬れない自分" が不面目極まりない様子。時代というのは、難しいものだ。 塚本監督の「鉄男」を未だに見ていない。今回の映画を見て、監督の鉄への思いを感じると、やはり「鉄男」を見ずにこの監督は語れないように思う。 自分が若き頃に公開され、当時の情報誌「シティロード」を中心に、「鉄男を見ずに映画を語るな」的なカルト人気を築いていたのはダテではなかったのだな。
池松くんは堪能できるが話はよーわからん。
横顔の池松壮亮の鼻・唇・顎のラインが好みすぎて、結構そのラインが見える画が多くて悶えました。
そして着物のあわせから見える胸元も涎が出る感じで…
ご当人に対して送ると絶対セクハラ認定されるよこしまな気持ちをダダ洩れにしてみました。
あと声。いいわー。若さがあるのに落ち着いた低音がたまらんです。
生物・池松壮亮の美貌を味わう、その点においては100点でした。
後は、蒼井優とのなんだかよくわからないけど多分お互いむらむらしてるんやろな―っていう関わりもまあわるくないし、
侍に憧れる弟くんの若さゆえの愚直さも悪くはないと思いました。が。
主となるテーマがなんのこっちゃわからんと思いました。
あと、おそらく意図的だと思いますけど、バトルシーンでの揺れるカメラね。
酔いますし、よそ者の悪者(ということになっている)軍団のアジトで澤村と都築が戦うシーンなんて、わたしには何が写っているかもよくわからなくてね。
これも意図的なのかもしれないですが、衣装が背景の保護色過ぎて、同化して見えるので、画の中のどれが人物かもよくわかりませんで。
ゆうが凌辱されているのだけが辛うじてわかりました。絵ではなく状況から。
また、都築の2度の自慰シーンは何なんですか?あれ?いる?
や、わたしは池松くんが大好きなので、あの声を聴けていいんですけど、すけべ心を横にうっちゃると、意図が見いだせなくってね。
そして、都築の人が切れない理由も不明。まあ不明でもいいけど、
じゃあどうして動乱に身を投じようとしたのか、切れないならばなぜ剣を磨き続けるのか、「わたしも人を切れるようになりたい」という叫びは何を意味するのか、そして結局澤村を何で切ったのか。
都築は何を体現しているのかさっぱりでございまして、はまりませんでした。
現代社会と暴力の比喩だってのを後で人の評で読んだのですが、腑には落ちませんねえ。
暴力の連鎖が産む悲劇、多分村の百姓は善良ということになっている市民で、かれらに潜む悪の凡庸さや恐れという名の差別を断罪しているのだろうと思うけれど、あの舞台装置で語る意図が分かんない。
そんな感じでした。
蒼井優もよかったです。
映画館で塚本監督が書いたというクリスマスカードを来場者特典でもらいました。
おりしもクリスマスだったので、もう25日は終わりますがしばらく部屋の壁に貼っておきます。えらくかわいいイラストでなごみます。
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