「孤独中男が初めて知る家族の温かさ」それだけが、僕の世界 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
孤独中男が初めて知る家族の温かさ
面白かった!
笑えるところが満載の心温まるヒューマンドラマ
イ・ビョンホンの演技力を改めて感じた作品だった
主人公のジョハ(イ・ビョンホン)は40歳の落ちぶれたボクサー
そんなジョハは、長い間離ればなれになっていた母と偶然再会し、自閉症の弟 ジンテの存在を知る
そこから、ジョハが、自分の人生や家族と向き合って成長していく姿を描く
ジョハは、かつてはチャンピオンを取ったこともあるボクサーだ
しかし、40歳になって落ちぶれてしまい
ネットカフェに寝泊まりするような日々を過ごしていた
そうやって、それまで孤独だと思って生きていたジョハに、突然、家族が現れるのだ
そのことに戸惑いながらも、ジョハは、今まで忘れていた家族と向き合い、そして自分の人生を立て直していく
もしも、30年も前に自分のことを捨てた母が目の前に現れたらどうするだろうか
本当だったら、殴ってやりたい気分だろうし、それまで言っても言い切れないぐらい辛いことがあっただろう
しかし、ジョハは、そんな捨てた母に対し強く出ることができない
それは、その日暮らしをしていて、立場がないせいもあるし、自閉症の弟ジンテのことで母が苦労していることを知ってしまったということもある
その上で、ジョハには、それでも捨てきれない母への愛情があって
久しぶりに再会したことで、今まで隠していたその愛情と向き合うことになったのだ
その、戸惑い、困惑、甘えたい気持ちなどの繊細な感情をイ・ビョンホンはとても表情豊かに、表現している
どんなに憎んでも、どんなに苦しんでも、やっぱり家族は家族なのだ
戸惑いながらも、ジョハは家族の存在を受け入れていく
そしてサヴァン症候群で、ピアノの天才のジンテのおかげで、ジョハの世界も広がっていく
ジョハは、家族に捨てられたと思って生きてきたが
そうして、家族と再会することで、家族に救われ、世界が広がっていく
ジョハは、もう二度と家族を離すことはないだろう
その思いが、とても温かい映画だった