「息子ドラゴは恐怖不足」クリード 炎の宿敵 takfさんの映画レビュー(感想・評価)
息子ドラゴは恐怖不足
ロッキー4におけるドラゴと言えば、人間離れした体格で見た目からすでに只者ではない異様な雰囲気があり、ドラゴンボールにおけるフリーザのごとく圧倒的な強さを誇り、なおかつターミネーターのような冷酷さで、リングで対峙しただけで絶望感すら漂う、もはや、どうやって倒すのか、というより、生きて帰れるのか、と思ってしまうレベルのモンスターとして極めて強大な敵であった。だからこそ、勝利のカタルシスも半端なく、賛否両論はあれど優れたエンターテイメント作であったことは間違いない。
それと比べると本作の息子ドラゴは人間臭くもあり絶大なる恐怖の対象としては少々役者不足に思えた。ゆえに、肝心の試合におけるドキドキハラハラ感、勝利の喜びといったところはやや弱いと感じる。ハングリー、野獣という点ではロッキー3の彼の方が数倍も恐ろしかったし、やはり対戦相手としては物足りない。
しかし、試合の結末は良かった。
結局、勝敗については最初から見えているので、どのように、というところが論点になるわけだが、息子ドラゴのファイトと父ドラゴの決断には胸を打たれたし、ロッキー4との繋がりを思えばより一層感慨深いものがある。一気にドラゴ親子に感情移入させられ、応援したい存在として昇華した瞬間であった。
主人公の息子クリードはキャラクターとしては地味で今いち乗れないので、次回はクリード改めドラゴを期待したい。彼こそロッキーの遺伝子を継ぐ不遇のファイターであり次の物語を観たいと思う。今作限りではもったいない。
ロッキー4にそれなりの思い入れがある人は必見。
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