ブレッドウィナー

劇場公開日:2019年12月20日

解説・あらすじ

タリバン政権下のアフガニスタンを舞台に、過酷な日常を生き抜こうとする少女とその家族の姿を描き、第90回アカデミー長編アニメーション賞にノミネートされた社会派アニメ映画。原作はカナダの児童文学作家デボラ・エリスの小説「生きのびるために」。監督は「ブレンダンとケルズの秘密」のノラ・トゥーミー。両親や姉、幼い弟と暮らす少女パヴァーナへは、戦争で片脚を失った父と一緒に露店を出して日銭を稼いでいた。そんなある日、父親が突然タリバンに連行されてしまう。女性だけでの外出は禁じられており、一家は食料も買うことができず窮地に立たされる。そこでパヴァーナへは髪の毛を切って男装し、街へ働きに出るが……。2018年「26th キネコ国際映画祭」で上映され、長編グランプリを受賞。Netflixでは「生きのびるために」のタイトルで配信。

2017年製作/94分/G/アイルランド・カナダ・ルクセンブルク合作
原題または英題:The Breadwinner
配給:チャイルド・フィルム、ミラクルヴォイス
劇場公開日:2019年12月20日

スタッフ・声優・キャスト

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受賞歴

第90回 アカデミー賞(2018年)

ノミネート

長編アニメーション賞  

第75回 ゴールデングローブ賞(2018年)

ノミネート

最優秀長編アニメーション映画賞  
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(C)Cartoon Saloon

映画レビュー

5.0 この作品が伝える「言葉」

2025年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

社会派作品なことは分かっていたけど、想像以上にディープでハードな内容でしたね。
序盤の父が連行される理由からして中々凄まじい。
女に本を読んだ。女に本を読んだ。女に本を読んだ。衝撃すぎて3回も書いてしまう。

とはいえ、この地における女性の扱いについてのような単純な話でもない。
そもそもは冒頭で父が話してくれる支配者の話にあるように、常に外敵からの侵攻にさらされ、荒らされまくった地を守るため、そこに生きる女性を守るため、ムスリムの教えに従うことを決めたのがタリバン。
行き過ぎた女性保護はいつしか融通のきかない本来の目的を見失った、もはや暴走とも言えるような過激さをおびていくが、彼らが言っている私なんかにとっては無茶苦茶に思えることはムスリムの教えにのっとっているのだ。

その地で暮らす人々が「教え」をよしとしているのならば、そよの文化的宗教的習慣に私たちがとやかく言うべきではない。
誰も手を出さずほおっておけばこんなことにならなかったのでは?という問いを残す。

構成は主人公パヴァーナの父を助け出す物語にパヴァーナが語る物語が内包されていて、感覚としてはギレルモ・デル・トロ監督の「パンズラビリンス」のようだ。
パヴァーナの物語も、物語の中の物語である少年の物語も終盤に向かうにつれて本当に怖くなっていくんだけど、その中で少年が追われている謎の怖いものの正体がちょっと面白いと思った。

単純に忍び寄る死なのか、終盤になりアメリカの飛行機が見えるが外からの攻撃なのか、内から出るタリバンによる支配なのか、パヴァーナが感じている漠然とした恐怖なのか、死者の呪いなのか、それとももっと違う何かなのか。
つまり、観ていると何らかの恐怖を覚えると思うが、それが人によって違っても、少年が追われている謎の怖いものが自分が考えている恐怖になれるということだ。
謎の怖いものの正体は謎の怖いものなんだ。

少年の物語の中に出て来る3つのもの、光るもの、捕らえるもの、なだめるもの、が、現実のパヴァーナの物語とリンクするかなと期待したのだが、それは曖昧で混ざらなかったように思えて残念だった。
ただ、3つ目の「なだめるもの」は少年の物語でもパヴァーナの物語でも同一とみていいと思う。
ネタバレになるので書けないがスリマンが語る僅か二行ほどの出来事に何も感じない人はいないはずだ。
観ていて感じる恐怖に少なからず干渉しているし、それは具体的だが曖昧でもあり、しかし未来に向けて何とかしなくちゃならないという気持ちを芽生えさせる。
これこそがこの作品が伝える「言葉」であり、幸せな話なのか悲しい話なのか決めるのは、この時を見るか未来を見るかで変わってくるように思う。

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つとみ

3.0 タリバン政権下の実状

2025年8月13日
iPhoneアプリから投稿

難しい

アニメだけど、内容は真実に近いのだろう。
イスラム教自体を否定しないが、何故タリバンはイスラム法を自分達の都合のいい解釈に纏め上げて厳格な統治をしようとするのだろうか。
この国の人々のために井戸を掘り、農地開拓に尽力した中村哲医師を銃撃したのは何故なのだろう。
11歳のパヴァーナが大黒柱(breadwinner)にならざるを得ない状況に苛立ちを覚えた。甚だしい男尊女卑にも呆れてしまいが、これがタリバン政権下のアフガニスタンなのだろう。
のほほんと生活している日本人には理解できそうにない。

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ちゃ坊主

5.0 狂った世界

2025年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

理不尽と尖った正義が大衆に突き刺さっていく様を適確に表現しているのです。〜せねばならないという人達にこそ見て欲しい作品です。

が、現実はこれ以上に狂気のあふれる世界なんだろうことは想像できました。

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zem_movie_review

3.5 ☆☆☆★★ 一言だけ 平和ボケした日本人からしたら、本当に信じられ...

2024年3月19日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★

一言だけ

平和ボケした日本人からしたら、本当に信じられない描写の数々。
でもこれが現実の世界なんですね。

2021年9月26日 キネマ旬報シアター/シアター3

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松井の天井直撃ホームラン