「田中守との同一化願望」愛がなんだ imymeiさんの映画レビュー(感想・評価)
田中守との同一化願望
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テルコにとって、マモちゃんへの愛は執着のようなものだった。現代人すべての人にとって、愛=執着と相対化することはできないけれど、物語中では、そのような愛が多数派で描かれることから、そのような人は少なからずいる、それは意外にも多く、ということだろう。
テルコの「田中守になりたい」という言葉が印象的だった。デートのときマモちゃんが思いつきで言った「33歳になったら、象の飼育員になる」という過去の言葉を受け、テルコは最後に象の飼育員になろうとする。田中守になるために。しかし、それは虚の田中守を模倣することにしかすぎない。テルコはやっぱり田中守になることはできないのだ。
執着を手放したふりをし続けること、これこそが最も残酷なのではないかと思った。
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