劇場公開日 2019年1月11日

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「面白いのは、面白い」蜘蛛の巣を払う女 R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0面白いのは、面白い

2025年4月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

面白い作品ではあると思う。
ドラゴンタトゥーの女から始まったシリーズだが、今回の作品では登場人物たちの気持ちに配慮した作りとなっていた。
背景設定も悪くない。
まるで007のようなオープニングにもこの作品に対する力の入れようが伺える。
しかしながら、
やはりここに来て初めてリズベットに双子の姉妹がいたことにした是非は残ってしまう。
第2作3作で明かされたリズベットの父親、ここに妹がいなければならない。
さて、
ミレニアム誌
ミカエルの記事のタイトルが作品のタイトルとなっている。
ミカエルはジャーナリストとして事件の真相を記事にするのが仕事だ。
過去もそうだった。
しかしその記事はリズベットからすれば「モノとカネ」であり、心ではないと感じたのだろうか。
事件の解決とミカエルの記事によってリズベットの容疑が消えたように思うが、リズベットが唯一心を許した相手がミカエルだったのだろう。
同性愛というのはリズベットにとって、仮の自分の姿なのかもしれないし、彼女もまた自分探しをしているのかもしれない。
そして今回は、過去という過去を焼き尽くすところがフィナーレだったのは、リズベットとして生き抜いてきた原点に立ち、すべての清算を終え、その中にはおそらくミカエルも含まれたのだろう。
ミカエルは特ダネを記事にせずに消去する選択をしたのは、リズベットのチクリとした言葉と彼女の真実を知ったことで、彼女の本心に触れたからかもしれない。
それは決して他人に話して言いことじゃないというごく普通の感覚を覚えたのだろう。
それにしても今回のハッキングは凄すぎるというか、度を越えているように感じる。
ただ、
物語としては十分楽しめるし、クライアントの設定も良かった。
リズが、強制送還されそうになっているニーダムを逃がすあたりの先を読むセンスは凄いが、瞬間に計算ができるアウグスト少年はその先を行く。
しかし、死んだ父の携帯からの着信に出るというのは子供だからなのか?
若干疑問だった。
ランボルギーニも見た目は良いが、雪の降るストックホルムでの走行などできるのだろうか?
さて、、
ファイアーフォールというソフトを開発したバイデル
彼は依頼主であるUSAからシステムを奪還しようとした。
彼は最初からスパイダーズに狙われていた。
彼らがその情報を知り、システムに興味を持った。
そもそもとんでもないシステムだが、個人がそれを持っている方が怖い。
バイデルはNSAに騙されたと言った。
NSAからそれを盗み出してほしいという依頼でリズが動き始めた。
ここがすべてのスタートだが、バイデルの良心の呵責と実際にそれを盗み出したことはアメリカにとって一大事なわけで、ニーダム一人がのこのこスウェーデンに行くことなどありえない。
ここが若干苦しかったように思う。
スパイダーズという組織も、実際には何を目的にしているのかわからない。
そして、
物語は最初からリズの過去に焦点を合わせている。
第2作と3作で父とのことが描かれていたが、ソ連の元スパイの異常な父というだけでその人間像は理解しがたいものだった。
また、父を殺そうとしたという過去と、今作でベランダから落ちたシーンとは随分雰囲気に差がある。
その理由が監督が違うというものだろう。
第2作3作の監督だけが一緒で、あとはすべて違うことで視聴者には感覚として話の筋が違って感じるのだろう。
これは仕方のないことかもしれないが、納得しにくいことでもある。
また、作家は3部作を書いた後死亡し、他の作家が続編を書いたことも影響しているのだろう。
面白さと難しさが同居してしまうことが、なんとも言えない。

R41
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