「公民権法制定を行ったのは、南部出身のジョンソン大統領という歴史的事実の重み」LBJ ケネディの意志を継いだ男 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
公民権法制定を行ったのは、南部出身のジョンソン大統領という歴史的事実の重み
ロブ・ライナー監督による2017年公開の米国映画。脚本はジョーイ・ハーストーン、撮影がバリー・マーコウイッツ。主演がウディ・ハレルソン(リンドン・B・ジョンソン)。その他、ジェフリー・ドノヴァン(ジョン・F・ケネディ)、マイケル・スタール=デヴィッド(ロバート・ケネディ)等が出演。
なぜ、米国民に人気乏しいジョンソン大統領を、取り挙げたのか最初分からなかった。ただ今だに根強い黒人差別の現状が存在。そういった中で、ケネディ大統領が始めた公民権運動、更にそれを引き継ぎ1964年の公民権法制定にまで持ち込んだ、ジョンソン大統領の活動を再度見直そうということだったかと理解。
期待度が低かったこともあって、興味深く面白く見させてもらった。
ケネディ暗殺時、ジョンソン副大統領の行動は、すぐ後ろの方にいたことさえ知らず、今回初めて知った。 ケネディ死亡時に病院内におり、何とダラスからワシントンに戻る飛行機の中で大統領に就任したんだ。
南部人で大統領目指しながら粗野で無能に見えるジョンソンが、ケネディの銃殺後、突然の大統領就任に戸惑い悩みながらも、優秀なケネディスタッフの活用や大物議員・企業人の懐柔等、ヒト使いと粘り強い交渉力で有能さを発揮していく様が描写される。それを演じたウディ・ハレルソンの俳優としての力量、ロブ・ライナー監督の計算された演出が光った。
公民権法の必要性を、自らの黒人料理人(妻の次に長く一緒に過ごす)の南部での恐怖経験を通して語るジョンソン大統領には説得力を感じた。
就任前も後もことごとく対立するロバート・ケネディ、その彼も納得させた議会でのハレルソンによる演説が、米国の良心に力強く訴えて素晴らしい。その展開というか、脚本も上出来であった。
今晩は。
いつもありがとうございます。
今作は、歴史上では余り名前と実績が喧伝されていないリンドン・B・ジョンソンの、急遽大統領になったシーン(飛行機内での宣誓シーン!)など知らなかった出来事(多少の脚色はあるのでしょうが)と実績をウディ・ハレルソンが(増量していたのかな‥)貫禄たっぷりに演じていて、とても面白かった作品でした。思わず、パンフレットを購入した事を今でも覚えています。
映画って、娯楽ですが、教養にもなるなあ、と思った作品でもありました。では、又。