500ページの夢の束のレビュー・感想・評価
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人が物語を欲する理由
「サピエンス全史」で著者のユヴァル・ノア・ハラリは、人類は「現実には存在しないものについて語り、信じられる」ようになったから進化したと語っている。国や宗教、経済システムなど全ては虚構であり、その虚構を皆が信じるから価値が本当に生まれる。これを認知革命と彼は呼ぶ。
人はフィクションを信じる力によって発展したのだ、とハラリは言っているわけだが、本作も、スケールは小さいが同じことを言っている。主人公のウェンディは「スター・トレック」マニアで脚本コンテストのためにベイエリアからLAまでの旅に出る。自閉症の彼女にとって一人での旅が不安がたくさんあったが、スター・トレックとその物語を自分が書くという物語を信じることで勇気を持って進み続ける。物語という虚構が彼女に力を与えているのだ。
そしてそんな彼女を助ける者も彼女と同じスター・トレックファンだったりする。ケースワーカーとその息子だったり、クリンゴン語を話せる警官だったり。人はなぜ物語を欲するのかについて鮮やかに描いた素晴らしい作品だ。
スタートレック万能伝説が始まったな
スタートレックは映画を一本観たことあるくらいの知識しかないけど、それでも大丈夫だった。
もしかしたらスタートレックに詳しいともっと面白いのかもしれないけど、本作を観る前にまさかそんな知識が必要とは思わないもんな。
アメリカのスタートレック人気恐るべしだね。
この作品は妹ウェンディと姉オードリーの再生の物語で、自閉症の主人公というのは実はそんなに重要なテーマではないんだな。
わりとポップであたたかい気持ちになれるのも良かった。
主人公ウェンディは人との関係を構築するのが苦手だ。姉オードリーはそんな妹ウェンディとどのように接すればいいかわからずにいる。施設の院長スコッティもまた息子との関係がうまくいかずにいる。
しかし問題の本質は、どのように接するかではなく、相手の気持ちを見ること、知ること、知ろうとすることだ。
スタートレックが好き。その一点だけでも人はわかり合える。
スタートレックは院長スコッティと息子との距離を縮め、ウェンディと見知らぬ警官は心を通わせることもできた。
ウェンディは自分と姉を、スタートレックのスポックとカーク船長に置き換えて物語を紡ぐ。それはウェンディのから姉オードリーに伝えたい言葉、伝えたい物語。いわゆるウェンディなりの愛情表現なのだ。
大好きな姉オードリーを綴った大好きなスタートレックの脚本を届ける旅はウェンディにいくつもの初めてを与える光の旅だった。
その旅はウェンディにも大きな成長をあたえたと思う。
帰ってきたウェンディは毎日のルーティーンから外れるストライプのセーターを着て、職場の同僚との関係構築にも努力している。
映画会社からの手紙は姉オードリーからウェンディに向けた言葉。もしかしたらオードリーが書いた手紙なのかもしれない。
どこかへいった光の粒は二人の心の中に。
シナボンが食べたくなります
プライム・ビデオ鑑賞
スタートレックが好きなちょっと拗れた女の子の冒険物語。
表情や佇まいがかなり出来上がっており、ダコタの演技の幅が感じられます。
原稿を届けにいく。そんな彼女の殻を破る“冒険”は序盤からハラハラさせられます。
派手な演出はないのですが、中々に見応えのある作品です。
それと、何だか久しぶりにシナボンが食べたくなりました。
【”結果よりも自分が好きなモノ、書いたモノを見て貰いたいという、動機、プロセスが大切なんだよ。”自閉症の若き女性の自分の夢を紡ぐためのロードムービー。】
ー ロードムービーって、何で面白いんだろうと時折思う。
今まで数作観て来たが、ロードムービーで面白くないと思った作品は皆無である。
この作品では、その”解”の一つが描かれていると思う。
■自閉症のため、スコッティ(トニ・コレット)が運営する施設に入居しているウェンディ(ダコタ・ファニング)は、家に戻りたい気持ちを抱えつつ、大好きなスタートレック(特に好きなのは複雑な感情を持つ異星人、スポット)の脚本を執筆する日々。
そんな彼女が気付いた、スタートレックの脚本コンテストの広告。
今、2月14日だが、2月16日のPM17:00までに、ハリウッドに届けないとイケナイ。郵送では間に合わないと気づいた彼女は、数百キロの旅に出る決意をする。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作は、他人とのコミュニケーションがうまく取れない自閉症ながら、機知に富んだ独創的な作家の“魂”を宿す主人公・ウェンディを演じたダコタ・ファニングの演技に尽きると思う。
・彼女を心配し、探すスコッティや姉オードリー(アリス・イヴ)の善性溢れる姿もよい。
・道中、盗難に遭ったりしながらも自力でハリウッドの出版会社に辿り着いたウェンディ。編集者のツレナイ規則に従った態度にもめげず、無事脚本を投函する。
<今作のラストは清々しい。
落選通知を受けたウェンディだが、晴れやかな顔で姉オードリーの子に会いに行くのである。
人生は結果が全てではない。
目標を達成しようとする強い想いと、実行する過程が大切なのである。
きっと、ウェンディはこの旅を通じて、多くの人に出会い、世界観が広がったのであろう。
今作は佳き作品であると思います。>
アメリカ人は英語以外にクリンゴン語も話す!
ありえないファンタジーとして見れば、凄く面白い。日本人受けするな。
閑話休題
スター・トレック 本当に面白いのは、
キャサリンジェーンウェインのヴォイジャーだなぁ!
DS9も面白い。最初の宇宙大作戦がアメリカ人は好きなのかなぁ?
カプラ
序盤は少し単調に思ってましたがパラマウントを目指してからが本番って感じでした。
道中は仕組まれた様に不運続きでちょっとリアリティに欠けるかなとも思いましたが警官とのクリンゴン語での会話は最高でしたね。
そこまでは、あんまりスタートレックといいつつも脚本の内容ぐらいで、そんなにスタートレックスタートレックしてませんでしたが、ここに来て、かなり胸熱な展開だったと思います。
あのシーンはシリーズ観てる人でないと良さはわからないでしょうね。
パラマウントに着いてからも一悶着ありましたが、無理矢理原稿投函する場面もウェンディの機転が効いてて好きなシーンでした。
あのスタッフはパラマウントのスタッフなのかな?
スタートレックに携わる人ならもっと融通効く気もするんですがあんな杓子定規なスタッフいるんですかね?
大筋は自閉症の女性が奮闘するというありがちな展開ではありましたが、スタートレック ファンにはグッと来るものがあると思います。
掘り出し物
自閉症で癇癪持ちのウェイディがLos Angelesで開催される『スタートレック』コンテストに辿り着く迄のロードムービー。
スタートレックは存じ上げてなかったが、ヲタク連帯感が凄く好きでした。
警官とのクリンゴン語のやり取りや、犬のピートの言動、ウェイディが紆余曲折を経て目的地に向かう姿。
どのシーンも嗜好に刺さるもので、素朴な温かさを感じられる作品でした。
期待値、大幅超えです🥊
休日の映画鑑賞にまたリピートしたいと思います
自閉症の女の子の冒険
主演のダコタ・ファニングが良かった。
原題は’Please Stand By’
自立支援施設で学んだ、高まりやすい感情を抑えるための、自分で自分にかける号令。
これをお守りに、何度も実際に使いながら、スタートレックのスピンオフ脚本コンテストに応募するための旅をする。
なんのために物語を作るのか、どうしてそんなに危険な目に遭っても旅を続けるのか。
終盤、その理由が明らかになり、周囲の皆が主人公の心情を理解する。よかった!
自閉症をうまく捉えており、納得しながら見入ってしまった
非常に素晴らしい作品であったが、何よりも自閉症(今回は軽度の知的障害だと思われる)を実に見事に捉えていて、その実を見事に作品内に落とし込んでいる所。
それを驚くぐらいに自然に魅せているのも、ダコタ・ファニングの演技の素晴らしさが相まってのこと。
「アイ・アム・サム」での演技でハートを鷲掴みにした彼女ですが、大きくなっても群を抜いた演技力で非常に素晴らしい作品を作り上げてくれています。
自分はかなり長い間、自閉症を含む障害を持つ方と関わる機会が多く、動きや視線の向け方、言葉のセレクト(これは字幕や和訳とのニュアンスがあるかも)も非常に自然であり、見ていても違和感を感じなかった。
自閉症の事がわからない人も非常に多いと思います。
今回のウェンディはアスペルガーに近く、自立した生活がある程度送れる人のようで、脚本の構成を作り上げたりとどこが違うのか難しいとは思いますが、自閉症特有の感覚過敏であったり、また対人関係の形成の難しさ等が描かれています。
しかしそれをスタートレックと言う大好きな物が乗り越えさせてくれる。
自閉症の方にとっては経験したことのないことは自分たち健常者に比べるととんでもなく大きな壁であり、日常の日課が出来ないことももちろんだが、交差点一つ渡るのもそれは非常に勇気のいること。作中では勇気と表現されていたが、そう言う概念を超えた位置にある感覚さえ支援している中で感じます。
だから物事や行動の一つ一つがとても大きく、すごいことなんだなーと思って見ていただくと感じ方が変わるかもしれません。
ロードムービーとして取って付けたような内容がいくつかありますが、そのシーンはいるのか?ってのもあったな。
今作の中で出てくるセリフは色々と心を打つ台詞が多く、おばあさんの自閉症の孫の話で「世界一優しい子、でも物事の理解に苦労してるわ」の表現がとてもステキだと思った。
誰しも心のなかにスター・トレック(大切なもの)があり、その事に対する共感で気持ちが豊かになったり、力をもらったりといった事があると思うが、今作はそんな大切なものの素晴らしさを映画いているし、どんなに困難であっても「前方」に向かって進む大切さを描いていた。
自分はスター・トレックについては深夜にやっていたのを流し見してたレベルなので「おー、そういうことかー」とはならなかったが、劇中に描かれていたやり取りで隠されたステキなものがあったかもしれない。
ダコタ・ファニングを久しぶりに確認しようと見た作品であったが、思った以上に良い作品であり、多くの人に自閉症への理解が広がり、少しでも住みやすい世の中になればと思った。
脚本にかける熱意と行動力。
障害をもった少女ウェンディ。
自分にとって大好きなスター.トレックのオリジナルの脚本を書き上げる。コンテストに応募したいが時間がないそこで自分で届ける事に。
初めて一人で行動する不安や怖さが体中に感じながらも脚本を届けたい一心で誰にも言わずに実行する。
たくさんの困難に会いながらも経験しながら届ける事ができた。脚本を届け終わった時はやり遂げた感があって清々しさが残る。
周りの人たちの協力と優しさを感じた温かな作品です。ウェンディを通してやりたいことへの情熱を感じた。
私も何か情熱をもてるもの。みつけて。
良い作品です
ダコタファニングは、子供時代は天才子役として名を馳せ、大人になって少し肥ったが、やはりダコタファニングはそのまま素晴らしい俳優だった。そう痛感する作品である。しかもこれはロードムービーでもある。軽度の知的障がい者と言う演技ではかなり制限のかかる役どころを見事に演じている。つまりレインマンやトムハンクスのフォレストガンプの様な役どころは逆に障害が重いため演技し易い。しかしこの作品での知的障がい者は軽度。そうなると役作りにかなりの理解が必要となってくる。それを演じれたのはダコタファニングの天才的な側面があったからだと思われる。その点をよく観て欲しい作品であると言えよう。オススメです^ ^♪
どうなるか気になって最後まで見てしまう
ダコタ大きくなったなぁ。
話の構成が『天才スピヴェット』によく似ている。届け物のための一人旅をするには、経験や判断力が足りず、正しい手段を知らないために、しなくていい苦労をする。非常にじれったいお話し。
このストーリーの興味は3つある。
・ウェンディは望み通り、パラマウントに脚本を届けられるのか?
・さてその脚本の評価は?
・断絶した姉との関係は修復出来るのか?
まあ、見てのお楽しみということで、詳しくは触れないが、実に丁寧に語ってある。特に途中で出会う人たちが、まるで実在しているようなリアルさで、誰かと出会うたびに、「ウェンディの人生がここから好転するのかな?」なんて微かな期待を抱いてしまう。誰もがすごく思わせぶりな登場の仕方をするのだ。個人的には、ウェンディが特に美人でもないことや、お姉ちゃん役の俳優さんの演技がすごく上手だったこと、それから勝手についてくる犬のエピソードなんかが気に入ってます。
特に、『スタートレック』関連のエピソードには、思わず吹き出してしまった。心憎い演出をしてくれる。
2018.10.29
障がいがあろうがなかろうが
苦手な事はある…そう思った。
面会にきた姉にウェンディの要求が噴き出すシーンで
家に帰りたい。
ここでは脚本が書けない。
赤ちゃんの世話も出来る。
自分の世話だって出来る。
彼女は出来るようにと彼女なりに努力を重ねてきた。
我慢しながらだ。
それは所謂健常者でも同じだ。
やりたいことと実現可能な事が解離しているのは、誰だって同じ。
そう言う意味ではウェンディの要求は自然に出るものだ。
だが受け入れられない姉オードリーの気持ちも分かる。
判断力、見当識、どうしても不安を感じる共生となってしまう。
勿論、強い愛情はあるのだが、それだけで拭える不安ではないのだ。
施設のスタッフスコッティも“クセ”のある入所者の生きる場所や社会で生きる力を育てている。ただ、ひとりひとりに完全なフォローなど出来る筈もない。
施設を飛び出したウェンディを探しにいくが、ウェンディの脚本を読んでおらず、息子に呆れられる。
この作品は障がいへの理解を描いている訳ではないと思いたい。
誰だって苦手な事がある。
発達障がいがあり単独生活すら危うい人でも、そうでない人でも、苦手でやりたくない事はある。
それを乗り越える為に努力したり、夢中になったものに励まされながら前進するのだ。
終盤の“外国語”を話すお巡りさんにはニヤニヤが止まらなかった。
オタクの共通言語は強力(笑)
カバンのマークを見てクリンゴン語が飛び出すとは、横にいたガサツな女性警官とは対照的だった。
でも好きなものが支えになるって素晴らしい。
目的のパラマウントへ入り込み、「わたしを知ってる?」と啖呵を切り、信号無視しながら帰ってきたウェンディの笑顔は良かった。
誰もが幸せになりたい…度を越えた幸せでなくていい…。
優しいラストに物事の解決は求めないがそう思える作品だった。
大きな冒険
設定がすごく良かった。
ストーリーもとてもいい。
ウェンディは多分発達障害なんだろう。説明はなかったけど。
そんな彼女がスタートレックの大ファンで中でもスポックが好き。
脚本の募集に一生懸命になり500ページの大作を書き上げる。
締め切りの時間がなくそれでもなんとか届けたい彼女は
自らロサンゼルスまでひとりで行くことに。
普通の人であれば難なくこなせる毎日の着替えや横断歩道などが
ウェンディにとってはすごく勇気のいる行動。それがロサンゼルスともなれば
大冒険。凄い困難なことは起こらないんだけど、ちょっとしたことがハラハラドキドキ、
そしてちょっぴり成長していくウェンディにホロリ、、
ほんの日常が大冒険になってしまう目の付け所や、設定、ストーリーなど
自分の趣味ではないがとても温かい気持ちで見ることができました。
ウェンディがスタートレックにハマってるって設定も面白いが
その理由がスポックは感情に振り回されてしまうというところがウェンディが共感できて
ハマっているというのも面白い。
こんな感じの映画は普段見ることはまずないんだけどとてもいい映画に出会ったと
思います!
スタートレックオタクの冒険記
自閉症を抱える、スタートレックを愛してやまないウェンディが、一人でスタートレック脚本コンテストの期限までに現地に行って提出するお話。
台詞が挿入されているので、スタートレックを観たことなくても内容としては全く差し支えありません。
【離ればなれになった友達】というのがキーワード。
彼女の書いた脚本が彼女自身を表しているのかな?
ロサンゼルスで男性警官と会話するシーンが凄く心に残ります。
その勇気ある行動が掴んだ幸せ
超大作500ページに及ぶスタートレックの続編。入賞で終わるようなチープな作品じゃ無くて良かった。
決死の大冒険は本人が望む最高の願いを叶えたね!
最高のエンディングに感動🥺
それにしてもピート可愛いな、助演男優賞ものの大活躍だね
有用な無用
個人的にはどちらかといえばダコタだが出演作目白押しなエルにくらべるとあまりない。
Brimstoneは加虐趣味な狂人と復讐をあつかっている。理不尽で重くダコタファニングの起用は意外だった。
ワンスアポンにもクレジットされていたので、どこに出てくるか探していた。ピッピーたちの里親みたいな汚れ役だった。漠然とした想像のなかでタランティーノとダコタファニングは繋がらない人脈だった。
若い女優だが、子役から数えるとき、既に20年超の大ベテランなわけである。可憐な役とはちがう方向性を模索してもふしぎはない。
Please Stand Byは相応しい役だった。ウェンディはおそらくアスペルガー症候群だと思う。スタートレックのことは知らないがスポックが地球人の感情を理解することと、彼女自身の立場が交叉している。
脚本をうしなったウェンディがじぶんなりに解決策を導き出そうとして「Captain, there is only one logical direction in which to go : Forward.」と言うところがいい。これは彼女が自作したスポックの台詞である。
日本語で「船長、論理的な行き先は一つ、前方です」と言ってしまえば、なんとなく狭義的だが、英語だと、前進するしかありません──みたいな教訓が加味される。
原題の待機して下さいは、恐慌の発作におちいったとき、自分自身に言い聞かせる言葉である。いわば「おちつけわたし」という意味だ。邦題は500ページの夢の束となっているが、脚本のコンペティションは主題ではないし、心因性の癪を持っている人の話にキラキラした夢見女子なタイトルを付けてしまうのは不誠実である。いつもながら。
警官役のパットンオズワルトが異星語で説諭する場面が白眉だった。人を理解するとき、無用な知識が役に立つことがある。
ところでプロモーションスチールの手はVulcan Saluteと言うそうだが、どうしても片手ができなかった。
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