劇場公開日 2018年11月9日

「誰向けに作ったのか?」ボヘミアン・ラプソディ alalaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0誰向けに作ったのか?

2021年6月5日
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鑑賞方法:TV地上波

単純

興奮

最初に言っておくと、自分はQUEENのファンでも何でもなく、もっと言うとQUEENってナニ?ダレ?レベルの情弱どころじゃない人間なので、以下は地上波でやった時に「有名な映画だから見とくか」くらいの気持ちで見た奴のレビューです。

イギリスの伝説のバンドQUEENのボーカル、フレディ・マーキュリーを中心にバンド結成からアフリカ支援のLIVE AIDまでを描いたストーリー…だそうですが、だいぶ駆け足でした。歌はほとんど本人の歌声を使っているそうで、主演のラミ・マレックは一部しか歌っていないそう。
カテゴリとしては伝記なんだそうですが、ほとんどフレディが(有名バンドものでありがちな)あれだけ成功してたのに実は物凄く孤独でしたってことしかわからない、かなりのダイジェスト版。自分のようなQUEENを全く知らない人間からすれば、「よくわからんけど歌が良かった」くらいのことしかわからない映画でした。
何というか、QUEENの何周年かの記念に、CDのベスト盤とかライブDVDとかを売りさばくためにちょっと気合入れてPRしたくて作った映画…みたいな…(disりすぎや)

なので、QUEENの大ファンからしたら物足りないと感じる人もいたんじゃないかと思います。
というのも、歌はほぼ本人の音源を使っているので、大ファンなら探せば恐らく元の音源を持っているということになるんでしょうし、かといってストーリーは、全然QUEENのことを知らない自分でさえそこまで「目新しい、今まで隠されてきた、仲間内しか知らなかった内容が描かれている」というような印象は受けませんでしたから、この映画を見て大ファンが「そうだったのか…!」なんてことも恐らくほとんどないのではないかと思います。
そうすると、全然知らない自分のような「ゑ?くぃーん?ダレ?」レベルの奴にはフレディが「売れっ子だったけど孤独だった」というありがちストーリーで、大ファンにとっては「コレクションにそれっぽい映像がついた」というだけの映画になってしまっていたのではないかなと。
この映画の主軸になっているフレディの孤独感についても、ありがちな話なだけに、他の映画でキャラクターの孤独感を表しているシーンを色々思い浮かべて見ると、本作はかなり軽めの描写で、ただフレディ本人が「孤独なんだ…」と繰り返してるのが印象的でした。映像作品なんだから、映像でもっと表現してほしかった…

とはいえ、QUEENなんて名前くらいしか知らなかった自分や家族が「あっこの曲知ってる」「これも聴いたことある」「これCMで使ってた」と盛り上がれるくらいには有名曲がたくさん出てきますし、フレディの子供っぽくてちょっと変わってる性格や、孤独だったんだなーということは伝わってきましたから、主旨が「フレディ・マーキュリーの概要を伝える」ならこれで正解だったのかも。でもそれなら、この映画はファン向けではないってことなんでしょうね。

恐らくですが、この映画を支持しているファンは「ほぼ本人の音源でフレディの人生概要を2時間でおさらいできる」という教材的な意味で好ましく思っていて、支持しないファンは「歌も本人の音源で、内容もダイジェストみたいなファンなら誰でも知ってるような内容しかないなら、ウチにあるライブDVDでも見てりゃー事足りるわっ!」という感じなのではないでしょうか。
で、自分のようなQUEENをよく知らない奴ら(若い世代は特に知らないよな)、に対しては「フレディ紹介動画」的な意味合いで人気を博したのかなと思います。
歌を度外視して、純粋に映画として見るなら、☆はそこまで多くないと思います。実際、自分もこの映画でQUEENの歌は良かった!と思えたので☆半分~1つ追加してますが、もし歌がなく、ただ映画としての評価をするなら、☆3~3.5くらいにしていたと思います。

映像作品として決して劣っているわけではないのですが、フレディに焦点をあて過ぎたのか、やや時間経過がわかりにくく、正直ぼーっと見てると数か月の間の話だと思ってたらいつの間にか相当時間が経ってたような口ぶりで、「え、そんなに時間経ったの?いつの時点でどのくらい時間経ったの??」と謎ばかり。ある程度QUEENについて知ってる人なら逆にそんな説明は鬱陶しいのかもしれませんが、フレディ何歳、とか、何年後、とかのテロップは全く作中で出てこないので、知識がない人にはここが混乱のもと。
何かいきなりフレディがゲイになってて、婚約者は出てったのにいつの間にかまた仲良くやってて、いきなりバンド解散の危機になってて、いきなり病気になってて…という感じで、伝記としてありがちだし仕方ないとはいえ、流れは決して丁寧とはいえず、とにかくフレディの人生を映画にしたかったけど、本当は3時間くらいの作品にしたかったのに上に言われて必死に2時間に抑えました!という感じだったのかなと思ってしまうほど。

2019年のエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』の方は(2匹目のどじょうを狙ったのか何なのか?)評価としては本作より低いようですが、主演のタロン・エジャトン本人が歌っているうえ、その歌に対するエルトン・ジョン本人の評価も高かったので、個人的にはこちらの方がファンの食いつきも良かったのではないかなぁと思うのですが…やっぱり本人の音源の方が良いって人も多いんでしょうかね。フレディが亡くなっているせいもあるのでしょうが。
自分はタロン・エジャトンが好きなので、『ロケットマン』の方が興味はあったのですが、未だに見ておらず…
こういうライブ系のミュージカル(?)映画は初めて見ましたが、QUEENの良さを教えてくれた作品としてちょっと評価高めにしておきます。
あくまでQUEEN初心者~歌しか知らない人達に、フレディの人生ダイジェスト版ということでお勧めします。

…猫が可愛い!!!(大声)

alala