「一声(世)風靡」ボヘミアン・ラプソディ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
一声(世)風靡
ミュージシャンの伝記映画は多いが早逝したとはいえ半生を2時間程度で網羅するのは土台不可能ですし、誰に聞くかでも人物像は変わりがちです。ドキュメンタリーではないので脚色も当然あるでしょう、むしろどう切り取って見せるかが製作者の才能とセンス、そういう意味ではネガティブというか微妙な側面もあまり深堀せず、伝説のライブ・エイドをクライマックスに配置して盛り上げるプロットは絶品ですね。
ちょっと危ない面も否めませんがロックからバラードまで広い音域と魅力のミックスボイス、愛猫家で日本贔屓、愛猫の歌(デライラ)や日本語の歌(手を取り合って)まで歌っていたフレディ、お茶目で勉強家、ファンを大事にする稀代のパフォマーであったことは間違いありません。もちろんQueenの魅力はブライアン・メイのサウンドにもありますね、天文学の博士で動物保護の活動家でもあるそうな、もう少し彼のエピソードが入っていてもよかった。
劇中の歌唱はマスターテープからの本人の歌声、ラミ・マレックとの合成、マーク・マーテルによる吹き替えなど良く再現されていました、ただラミ・マレックはフレディ似というより蛙男のような顔立ち、特殊メークはやり過ぎでしょう。その辺を我慢できれば名曲、名唱の数々にしばし時を忘れさせてくれる力作、知らず知らず床を踏み鳴らしてしまいました。