「マーキュリーフェニックストラスト財団の宣伝効果抜群。」ボヘミアン・ラプソディ Maple Mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
マーキュリーフェニックストラスト財団の宣伝効果抜群。
全編、クイーンの各楽曲のエピソードとなっていて、バンドの成り立ちからライブエイドまでの軌跡を追う事で、曲を通してしか知らなかったクイーンを、エピソードを通してもっともっと知りたくなる作品。
ブライアンとロジャーに教え込まれた、俳優陣のひたむきな楽器習得と演技への真剣味がより、クイーンのエピソードに真実味を与えている。手元も全て吹き替えなしで演奏していてすごい!
もちろんフレディもすごい!尋常でなく仕草や動きが似ている。
パキスタン系(本当はインド系)×出っ歯×ゲイという、有名人になるにはあまりに叩かれやすい要素が揃った弱みの塊のフレディを、メアリーもメンバーも、こんなにもまるごと根底から尊重し理解し愛し、その上で甘やかすことなくハッキリ伝えながら取り巻いていたんだなと、豊かな人間関係が魅力的だった。
だからこそ、音楽についてもフェアに議論をとことん重ねられるから、良い作品が沢山産まれたんだなと思ったし、規格外の集まりといえど、愚連隊ではない。それぞれは根が真面目で知的でまともな人間性の集まりだから成功したんだなと思う。
デビューや楽曲発表や損得のために人に擦り寄る事もしないし、お互いへの理解も深く、自分や自分たちや、周りの人間の尊厳を大切にできるメンバーだったから、自分達の心を掘り下げ、人々の心に寄り添う生きた曲を作れたんだなと思った。
それでも、フレディは周りとは違うアイデンティティに悩み、孤独ゆえにお酒に溺れ蝕まれていく。お金と反比例に信用できる人が寄らない。
フレディの変遷、バンドの変遷、全てが作品と歌詞にリンクした流れになっていて、多少美化されているのかもしれないが、ますますクイーンが好きになった。
ブライアンもロジャーもジョンもイメージ通りにキャラが最高!ロジャーの女装姿も実際に引けを取らず可愛かった。
改心し再結成を求めるフレディに、罵詈雑言浴びせる事もなく、心の中では許しつつも厳しくあたるところが、まさに家族だったんだなと、お互いへの踏み込み方がとても美しいバンドだなと思った。
フレディが心の揺れや様々な出会いと別れを通し、エイズにもなり、最後に多くの人々に心からの声を届けて元気付ける存在に変わるところがまさに不死鳥であり、マーキュリーフェニックストラストの真骨頂だと思った。
グリーンは、ロゴといい、クイーン前身のスマイルから発想を得ていたんだなと気付いた。