「素晴らしいと感じたその分だけ裏切られた気持ち」ボヘミアン・ラプソディ doronjoさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしいと感じたその分だけ裏切られた気持ち
最後のライブは圧巻で、心が揺さぶられた。
生のライブではないのにそこに生命を感じるほどに音楽の力が引き立っていた。
凄い映画だ! と楽しんだ。
一方で、嫌な予感があった。
同じスタッフが絡むグレーテストショーマンなど、史実を基にしたハリウッド映画が、裏切りと感じるほどに映画のテーマの根幹となる部分を事実を歪めて映画に色をつけていたことにがっかりした経験が何度もあったからだ。
今回はそうでないと信じて調べたが、結果は「がっかり」の方であった。
最後のライブシーンは素晴らしかった。
でも、その場でメンバーが背負っているものをその前の展開によって知らされていたから、観客の胸は熱くなったのではないだろうか。
もし、「背負っているもの」のほとんどが、実際には当時存在していなかったとしたら…
フレディが自分がエイズと知っていなかったら…
バンドに仲違いなくブランクもなかったら…
家族にゲイであることを受け入れてもらっていなかったら…
全然違って見えたはずだ。
このフィクションは完全に裏切りだと感じた。
エンターテイメント映画としては素晴らしいので、★1つとかにはできない。
でも、史実映画としては口パクライブ以上の嘘であり悲しい。
音楽の力と史実で十分に力強い映画は作れたと思うので、極めて遺憾である。