劇場公開日 2018年11月9日

「映画という媒体を介し、ロック史上に残るパフォーマンスが時空を超えた」ボヘミアン・ラプソディ ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画という媒体を介し、ロック史上に残るパフォーマンスが時空を超えた

2018年11月10日
iPhoneアプリから投稿

血が沸いた。作り手の才気が漲ることなどなく、伝記映画として新しいことは何一つしてないのに。とはいえベタは熱い、何よりクイーンの音楽があればそれだけで最高。フレディの孤独と情熱を体現したラミ・マレックのパフォーマンスと運動神経(芝山幹郎リスペクト)にも拍手

「ラブ・オブ・マイ・ライフ」をバックにフレディとメアリーの破局を描いたシーンなど見るべきものはいくつかあるが、兎に角ライブ・エイドのステージを再現したクライマックスに尽きる。抗いようのない高揚感、正にロックされた。映画という媒体を介し、ロック史上に残るパフォーマンスが時空を超えた

最近の音楽系の伝記映画でいうと『ストレイト・アウタ・コンプトン』とは好対照。イージー・Eがエイズで死ぬまでを描き、ラストカットはドクター・ドレーの「アフターマス」という言葉であるように、全てが終わった後での終幕。寂寥感や喪失感を覚える

対して『ボヘミアン・ラプソディ』は彼らにとって最高の瞬間で幕を閉じる。フレディのその後は字幕で処理され、エンドロールも「ドント・ストップ・ミー・ナウ」「ショウ・マスト・ゴー・オン」で熱は帯びたまま。俺はAmazonでアルバムを早速購入した

ヒートこけし