ソローキンの見た桜のレビュー・感想・評価
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正統派美女の阿部純子がピタリとはまった好企画
不勉強ゆえ日露戦争時四国にロシア兵捕虜収容所があったことを知らなかったが、実に興味深い題材で、現代的なテーマも加わる。欧米列強から一流国に見られたいとの明治政府の思惑から、ハーグ協定を守り捕虜を大切に扱ったという当時の事情が、悲恋の物語に恰好の舞台を提供した。
阿部純子は良い役を得た。現代パートのやや冷めつつも自分探しをしている風のディレクター、明治パートの切実で懸命な看護婦、ともに細やかな感情表現で演じ切っている。ロシアの二枚目俳優と並んでも見劣りしないどころか、凛とした美しさが彼によって一層引き立つほど。確かな演技力はもちろん、正統派の美女を改めて印象づけた。本作のような国際的な企画でどんどん活躍してほしいと願う。
ラストで桜子がロシア兵捕虜の子孫たちに面会する場面はドキュメンタリー風で、虚構と現実の境界が曖昧になる感じもいい。原作はラジオドラマだが、こういう演出は映像の強みだ。
不幸な戦争が為し得た純愛
松山には98名のロシア兵捕虜の墓があるそうな。しかし捕虜は99名いた。阿部純子扮する高宮桜子はその1名ソローキンについて調べる事になった。
日本兵にもロシアのスパイがいたんだね。阿部純子扮する桜子の元英語教師祖母武田ゆい(二役)は看護の仕事で 捕虜のロシア兵の面倒をみていたがゆいの弟はソローキンの船に殺されていたのだった。
敵であっても治療に務めた気持ちは尊いね。ロシア兵にとっては母親の様な無償の愛だ。国際的な恋愛も不幸な戦争が為し得た純愛だね。
阿部純子は初めて観たが、戦時中の日本女性の役は良く似合うね。山本陽子や斎藤工らベテラン俳優が脇を支えて重厚な雰囲気をかもし出していたね。
桜が似合う街
先日、松山を旅して、
松山にロシア人捕虜の収容所があったことと、
この映画の存在を知った。
早速、鑑賞してみることに。
戦争がなければ
2人は出会わなかった…
けど、出会わなければ、
引き裂かれることもなかった…
やっぱり戦争は嫌だ、
誰も幸せにならない、私はそう思う。
「日本の女性は、自分の言いたいことを言ってはいけない」そんな時代だったんだな。
なんて窮屈なんだ………
それほど、はるか昔の話ではないのに、
時代は随分変わった。
これからも、
もっともっと変わっていくだろうな、
お互い認め合い、自分らしく生きられる世の中に。
イッセー尾形さん、
いい味出してたなー
クスッと笑わせてくれて
和んだ(^∇^)
松山は
桜が似合う街だな。
満開の桜を従えた松山城が美しい。
今度は桜の季節に
松山を訪ねよう^o^
やっぱり
現代はよいですね✨
ハーフの芸能人も多く国際結婚も多くなってる。
この時代は結婚、いや面会すら簡単に許されない。
やっぱり戦争反対💦
好きな人と一緒にいたいもんね😃
通常、知ることのない事が知れて良かった。
情、それは人類共通の良心
戦時下にあった日本とロシア
猜疑心が残り、傷痕が乾かぬさなか
両国の間に咲いた、小さな愛の花…
その花はいずれ…
国の美意識に象徴されるように
見るヒトの心を映すように
願いや想いを届けてくれたかのように
やがて樹木と成長して、多くの小さな花を咲かせる…
そんな想いを〈桜〉に込めた作品。
戦争はいつも
国の偉い人たちが始めて、そして終わる。
民衆の心も、体も、置き去りにして…
ヒトという生き物は、自分以外のヒトに恐怖する。
自分じゃないヒトは、分からないから
信用できないから…
本作『ソローキンの見た桜』の劇中で
あるロシア兵が言います。
「ロシア人は自分自身でも分からないほど繊細だ」と…
ですので異国民に対しては尚更分からないでしょうし
また猜疑心も深くなるのも当然でしょう…
そしてその心は、誰の中にもある。
ヒトたちの心が、引き起こした事に過ぎない。
だとしたら、わたしたちに関係ない
戦争なんて、ない。
だがそれは、あまりに大きすぎる…
我々に出来る事は、いつだって目の前の事だけだ…
だから、敵味方関係なく目の前の
傷ついたヒトたちに、できうる限り手を差し伸べる。
“ハーグ条約”とは関係なく、ヒトの心情でもって…
国と国とが接するその以前に
直に接するのがヒトとヒトである以上
相手を尊重し、信じる心をもってさえいれば
きっと、争い事もなくなる。
そんな希望を与えてくれた、骨太な作品でした。
ロシアの文化といえば、
トルストイ、ドストエフスキーに代表される文豪や
チャイコフスキー、ムソルグスキー、ラフマニノフ
プロコフィエフといった作曲家などが
日本ではよく知られていますが
こと芸術に関しては
あまりピンと来ない印象なわたしでしたが
少し前に開催されていた絵画企画展
「ロマンティックロシア展」に足を運んだ際
その叙情的な表現に
日本人の感性に通じるモノを感じました…
その展覧会のアイコン的作品
イワン・クラムスコイ 作 《忘れえぬ女(ひと)》
のイメージが、ヒロインの〈ゆい〉と重なり
感慨もひとしおでした!
(もちろんこの絵にはモデルがいるらしいですし
もろロシア女性ですが)
クドクド書きましたが、わたしが言いたい事は
つまりはこういう事です。
「人類共通の文化的な言語を用いて
ヒトとヒトとが理解し、共感し合える。
そんな世界であったらいいな!」
2019/03/25、劇場にて鑑賞
外人男に股開く反日売国女が視聴者を不快にさせる反日映画
気持ち悪い外人男と交際して雑婚する反日売国女が視聴者を不快にさせる反日映画
日本人男性と外人女の恋愛、結婚は当時も今も数多く、日露戦争後に日本人男性の元に嫁ぎにきたロシア人女性は結構いた
しかしこれはわざわざ日本人女と外人男の恋愛を描いてるのが気持ち悪い、しかも話を捏造までして
自国の女が外人男に取られる映画とか不快だし反日丸出しだな、日本人男性に対する許されない侮辱であり差別
逆パターンならまだしも日本人女と外人男の恋愛とか昔も今も日本の恥、タブーだろ
企画が
たしかにその後のソ連から日本が被った仕打ちを考えると、一方的に日本がロシアへしてあげた美談だけこうして切り取っても日本人として複雑な気持ちになるのは分かる。それだけ、日露関係・日ソ関係は複雑だと心得たほうがよい。
第一、日露首脳会談で安倍首相がプーチンにロシア人墓地の話をしたところで、プーチンの心は1ミリも領土問題解決へと動かせないのだから…。
それに比べポーランドはどうだろう。かの国では今でも、シベリア抑留孤児を助けたことを教科書に載せてある。ポーランドの日本本研究は世界で二番目に古く、ポーランドは日本語を勉強する人口はアジア地域以外では一番多い親日国家で、現に日本人とのハーフも意外と多い(土屋アンナ、加藤シルビア、藤田ニコルなど)。
当時ポーランドはロシアの支配下にあり、松山に収容されたロシア兵はポーランド人とロシア人がいて、むしろ投降したのは日本と戦う気のないポーランド人のほうが割合的に多かったのだから、ロシアよりポーランドと合作して映画を作るべきであったのではないか。日本はポーランド人とロシア人と分けて収容し、そのことは後々までポーランド政府から感謝された。またその決定に広田弘毅が大学生のときに関わったとして、東京裁判では彼の無罪を連合国側にポーランドは働きかけた。日本が国際法を遵守して捕虜に対して手厚く保護をしたことの証明はポーランドと日本との交流史でシンプルに伝わるし、映画ってそういうことを広める目的を持って作られてもいいと思う。
この映画にあるロシア人兵士と日本人看護師の恋愛沙汰が事実ではないことから、少しファンタジー要素が強すぎる感じがあった。そうなると、歴史的な史実を大事にしようとしている流れが少し勿体無いかな…。
付随して日本の当時の家父長制の悪い側面を強調しても、日本人の心にはあんまり響かないし、本当の感動も生まれない気がします。
ロシア革命に身を投じるのも、当時のロシアの社会的背景を描写しないとなかなか共感しにくいところでもあります。ただ日本はこれを影で支援してロシア帝国の転覆をはかろうとしたのは事実なので、ここのところを深く掘り下げて物語にもう少し細かく組み込んでも面白かったかもしれません。
以上を踏まえて、企画段階から練り直したらさらにいい映画になったと思います。
凄く良かった❗けどちょっと複雑な心境になった映画❗
星🌟🌟🌟🌟斎藤工が出てたので観たのですが…凄く良かったです❗この映画で日露戦争で捕虜が松山に収容されてた事も初めて知りました❗最初はソローキンの役者さんが金髪で青い目なのでロシア人と言うよりイギリス人かフランス人に見えてちょっと違和感があったのですが中盤から面白くなり全然気にならなくなりました❗主役の阿部純子が上手に明治の女性を演じており現代では斎藤工や山本陽子明治時代では六平直政 が上手に彼女をサポートして良い作品に仕上げていました❗ただ映画を見終わって思ったことなのですが太平洋戦争でソ連が捕虜の日本兵にした過酷なシベリア抑留は如何なものか⁉と複雑な気持ちになりました❗日本はロシアの捕虜に優しくしてるのに…
心が洗われる佳作
露日戦争時の日本を舞台にしたヒューマンドラマである。20世紀を迎えて間もない頃が舞台だが、世界の政治家たちのやっていることは、19世紀から続いている覇権争いだ。武器も兵器も船舶も日進月歩だから、戦争による被害は等比級数的に増大し続けている。
明治維新の政治家たちが今の政治家よりも優れていたみたいな誤解があるが、そんなに変わりはしない。むしろ維新の人間たちは粗野で暴力的で、自分の意見を通すために簡単に人を殺していたイメージがある。そこにはヒューマニズムは存在せず、意見の異なるナショナリスト同士が争っていただけだ。暴走族同士の争いと大差ない低レベルの出来事が明治維新なのだ。
そんな政治家のレベルとは裏腹に、西洋文化と交流した民間の人々の知識レベルは格段に向上した。しかしいつの時代も、民間の知識や技術の向上は常に政治家によって悪用される。但し軍需産業だけは、悪用されることを前提にしている訳だから、そもそも悪用という言葉は当たらない。ちなみに軍需産業というとアメリカの専売特許みたいに思っている人がいるかもしれないが、日本にも軍需産業の企業はたくさん存在する。三菱重工や東芝は有名だが、トヨタや日産も利益の一部は軍需によって得ている。全部で数百企業に及び、日本の防衛費という名目で間接的に国民の税金を搾取している。
維新後の政治家たちが何をしたかというと、尊皇攘夷、富国強兵である。その成果を確かめるように日清戦争を起こし、日露戦争を仕掛けた。本作品はそんな維新の残党のクズ連中が牛耳る日本では、人々が精神的にも国家主義に蹂躙されていたことを伝えている。ロシア人捕虜に向かって殺してやると叫ぶ子供は、心の底からロシア人を憎んでいるわけではない。時代のパラダイムがロシア人憎しという感情を強制しているだけである。
そんな中でパラダイムに縛られずに自由な精神を持つことがどれほど大変だったかは想像に難くない。阿部純子演じる主人公武田ゆいは、稀に見る自由闊達な精神の持ち主で、国家主義のパラダイムの中にあってヒューマニズムを貫いた立派な女性である。ソローキンでなくても好きにならずにいられない。
ソローキンもまた、絶対王政から政治を民衆の手に取り戻す社会主義革命の活動家であり、ゆいのヒューマニズムに共鳴したのは自然の成り行きである。脚本はとても優れていて、無理なく納得できる。
阿部純子は役所広司主演の映画「孤狼の血」で松坂桃李のカウンターパートを上手に演じていたのが印象的だったが、本作品では一段階進んでいる。封建主義と国家主義の環境下で、ヒューマニズムと恋愛感情に揺れる乙女心をわかりやすく、そして美しく演じて見せた。名演と言っていい。
脇役陣はいずれも上手に作品を盛り上げていて、特にイッセー尾形の役どころの所長がいい味を出していた。もしかしたら日本の役人も捨てたものではないかもしれないと思わせる、人間味に溢れる演技は流石である。
ラスト近くからのチェロの儚い音色が桜の美しい映像と相俟って、悲恋の物語の最後に余韻を残す。ヒロインの思いが怒濤のように押し寄せてくるようで、涙を禁じ得なかった。心が洗われるような佳作である。
戦争の悲しみが主題かな
日露の男女それぞれの日記から、読み解いてわかった昔の話。
いろいろ都合良すぎる展開はある。
特に、憎んでいたところから、お互いに好きになる過程がかなりすっ飛ばし気味で、なんで突然?と思いもし。
しかしながら、恋が物語の軸ではなく、戦争がもたらす別れの悲しさや、先祖たちがいて今があるといった家族の歴史への想いが中心なので、これでいいのかな、と。
現代風の顔立ちな美女とイケメンに、この時代にこんなタイプいないよ!と、いう点の方が気にかかってしまった。
そんな中で、イッセー尾形の顔の説得力が素晴らしい。
桜
あまりお目にかかれないロシアとの合作。
桜の描写がホントに綺麗だった。
4K対応とかそんなカメラなのだろうか、絵になんだか湿りを感じる。
話の展開自体は既出感を拭えないのだが、そこはもう仕方がないところだと思う。
ただ、まぁ、ちょいちょい強引な展開もあり、その都度つっかかる。
カメラが迷うのか、監督が迷うのか、的確ではなさそうなカットもしばしば。
ロシア将校と彼を担当する看護師が軸にあって、前半は特にお国柄の対比とか描かれる。
流暢な英語を操り、日本語よりも自然な芝居に、やはり英語ってのは芝居がしやすいのかと考えてしまう。
驚愕だったのは、録音部の状態があまり良くなくて安定しない事だ。雑な仕上がりだった。
まぁ、悲恋の物語なのだけども、最後に捕虜達の子孫と邂逅を果たすとこなんかは感動もする。戦争という環境にありながらも、人道的な配慮ができていた事に敬意を抱く。奪われた命たちであったのかもしれないのだ。
そして、緒形さんは曲者だった。
ロシアの国民的俳優がリーダー的な将校を演じてるのだけど、全く意に介せず我が道を往く感じに感服した。
脚本的には王道な作品ではあるのだけど、編集だったりアングルだったり、強引な意味付けだったりで、損してる感じだったかなー。
ソローキンが母国語のロシア語で書いてあるだろう日記を読めてるような演出とか…萎える。
異国の子供を身篭った娘を普通に嫁にもらうとか…旦那側には何一つメリットがなかろうに。
悲恋なだけではない、終盤愛に溢れる!
戦争での捕虜が松山市にあんなにたくさんいて、今でもお墓を中学生たちが掃除をしているということや、色んな史実に基づいたことも盛り込まれ、終盤は色んな愛に溢れていて、ホロリときました。
最近の映画の中で、誰も悪者がいない、綺麗な終わり方というものを見ていなかったなぁと思い出させてくれました。
パンフレットは、作品にまつわる情報盛りだくさんなので、手にとってみてから楽しむこともおススメです。
一途な純愛が激しく美しくて素敵なお話
美しく慎ましくたくましい昔の日本女性をよく描いていて。その覚悟がとても美しく切なく描かれていて、とても素敵でした。
厳しい時代の中で、やさしくて、力強くて、一途な純愛が激しく、駆け抜けた二人が切なくて泣けました。
本当に美しくて素敵なお話でしたが、1つだけ、音楽の編集だけは好みじゃなかったです。
美しい余韻に浸っていたかったところでばっさりぶつ切りになる音楽は。。。転換の切り替えなのはわかりますが、ちょっと;
個人的には前のシーンの余韻をじんわり味わいたかったので、その点だけマイナスにします。
桜咲くこの時期にぜひ!
本作の中心となる松山捕虜収容所について何も知りませんでしたし、当時の国際情勢についても学校の歴史の授業程度のことしか知りませんでしたが、それでも十分楽しめました。
鑑賞後に少し調べてみると、主人公ゆいはフィクションらしいですが 、ナカの金貨のくだりは事実をもとにしたものらしいです。当時のロシア人捕虜と看護士の間には、本作で描かれたようなロマンスがあったのではないかと、想像がふくらみます。
ですが、家長絶対の当時の日本で、女性が自らの意思で結婚相手を選ぶことなど許されません。そんな中、ソローキンへの思いと家族を見捨てることのできない思いの板挟みに苦しむ、ゆいがとにかく切ないです。そんなゆいを、主演の阿部純子さんが凛としたたたずまいのいい演技で見せてくれていたと思います。
現代と明治を何度も行き来する構成でしたが、スムーズな転換で違和感がないのもよかったです。クライマックスまで起伏の少ない展開が続きますが、この構成がいいアクセントにもなっていたと思います。終盤の展開は興味深く、特にラストは、ほぼ予想どおりとはいえ、それでも涙があふれてきました。
ただ、家族の敵であるソローキンに、ゆいがどうしてそこまで惹かれたのか、そんなゆいの結婚がどうして破談にならなかったのかが、いまひとつ理解できないというか、腑に落ちませんでした。そのあたりをもう少し丁寧に描いてくれていたらと思います。あと、斎藤工さんの存在も意味ありげだったのに、最後まで見ても何かスッキリしませんでした。
とはいえ、桜咲くこの時期にぴったりだし、日本人として知っておくべき内容のある一本なので、興味のあるかたは見て損はないと思います。
史実を使った、悲恋の様式美で、観客の涙腺を緩める。
いまから約100年前の日本。日露戦争(1904-1905)さなか、"愛媛県松山市にロシア人捕虜収容所があった"という、あまり知られていない史実を軸にして、日本人の女性看護師とロシア人将校の美しく悲しい歴史ロマンス。
身分や国籍の違い、または社会的所属グループの垣根を超えたロマンスは、本作のコピーにもあるように、さながら、"ロミオとジュリエット"構造の映画となっている。
元はラジオドラマを原作とする創作なのだが、史実のウラに隠された悲恋という、典型的な様式美を使っているという意味では、「タイタニック」(1997)が代表格だ。なので、あとはアレンジ展開で観客の涙腺を緩めるだけ。
本作も現代の松山市から物語は始まる。駆け出しのテレビディレクターである桜子は、捕虜ロシア兵墓地を取材することをきっかけに、自身のルーツである歴史的な事実を知ることになる。
明治維新から38年しか経っていない日本は、欧米の大国に追い付くため必死で、"ハーグ陸戦条約"の批准に向けた取り組みの中で、戦争捕虜の扱いについてもそれを遵守していた。
松山市の寺を利用した捕虜収容所では、ロシア兵捕虜にアルコールの購入や、外出許可などが認められていた。
兄弟をロシア戦で亡くし、ロシア兵を憎みながらも、看護師のゆいは博愛思想のもと、懸命に収容所での仕事に打ち込んでいた。そんななか、ゆいとソローキンは惹かれあい、やがて運命的な恋に落ちていく。
しかしソローキンには密命があり、ロシア革命に参加するため、計画的に収容所を脱走することになっていた。
ソローキンは、ゆいを一緒にロシアに連れて帰ろうとするが、ゆいには家業のために親の決めた婚約者と結婚しなければならなかった。
そして悲恋の行方は、現代の桜子が解き明かすことになる。
阿部純子が、ヒロインのゆいと桜子の2役を演じ、日ロ共同制作で、ロシア人キャストともに、100年の時を越えた運命のつながりをドラマティックに描いている。
エンディングで、松山からロシアを訪れた桜子が、初めて出会うロシア人捕虜の子孫の子供たちとシーンが感動的だ。桜子をテレビディレクターという報道に携わる職業に設定したことで、フィクションなのにリアリティを引き出している。
イッセー尾形が捕虜収容所の所長役としてキーマンとなるほか、"仕事を断らない"(笑)、斎藤工がこれにも出ている。
(2019/3/26/角川シネマ有楽町/ビスタ)
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