1922のレビュー・感想・評価
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キング作品にありがちなホラーとヒューマン系の話がごっちゃになったメリハリのない作品
スティーブン・キングの小説の魅力は何と言ってもその語り口にあり、つまらないこと、不自然なことでも、彼にかかったらとてつもなく面白く感じてしまう。
逆にその文章を除いてしまうと、ストーリーの強引さやキャラクターの退屈さが見えてきて、威光が消えた後に残るのは無残な残骸の山ということになりかねない。
キング原作映画に当たり外れが多いのも、恐らくこんなところに理由があるのだろう。個人的には1986年の"It"辺りから面白くなくなってきて読むのを止めた。本作の原作は2010年発表の中編小説で、小生は読んでいない。
予備知識なしに見始めると、どうやらこれは女房殺しをした男が転落していく話だが、その後、幽霊が出てきたり、ネズミが出てきたり、不運の連続による落魄があったりして、ホラーなのか教訓譚なのかよくわからないまま何となく最後までたどり着き、ようやく「なるほど。キングの中期以降によくあるホラーとヒューマン系の話がごっちゃになったメリハリのない作品なのか」と理解できる。
中途半端な話を中途半端なまま忠実に描いたからだろう、まったく怖くも恐ろしくもないw 男の転落ぶりは面白いから、それを丹念に描けばよかったものを、こちらも中途半端だから何とも物足りない。
「セル」とか「骨の袋」よりはマシだが、退屈なことに変わりはないといったところだろうか。
暗い
息子が言うように、他に方法があったのか?
とにかく終始暗い。
正直気持ち悪い。
ネズミが嫌いな人には最悪である。
妻を殺してまでそこに住み続けたかったほど執着があったのかな。
妻によるパワハラ・モラハラに勝てなかったかわいそうな夫。
もっと可哀想なのは息子と彼女だが。
そんな風に見えてしまう。
南部訛りなのか、口を開けないで喋るのが気になってしまった。
よかった
奥さんを旦那さんと息子が殺す。なんでナイフを使うかな。息子が言うように枕でいいし、なんなら首を絞めるでもよくて、掃除が大変なナイフで殺す。奥さんも気性難な人物なのだけど、殺してもいいことは何もない。お化けに悩まされるし、片腕になる。子どもは恋人と駆け落ちして強盗になって挙句に死ぬ。欲に振り回されてはならないというメッセージが強い。
農作物がけっこうな収穫だったのにお金がないなんて、農家も大変だ。
ひとつの過ちが生む不幸のスパイラル
マグノリアホテル1923の懺悔。
内容は、スティーブンキング著の1922を元ネタとしたNetflixオリジナル実験映画。舞台はアメリカ🇺🇸ネブラスカ州にある遺産相続により獲得した広大な農場所有者家族3人と近隣住民とそれを取り巻く人々の暗雲立ち込める様な暗い感じの物語。好きな言葉は『1922年 男の誇りは土地と息子だった』そう1人語る主人公父親の視点で終始進んでいく話の出落ち的な部分が印象的だと感じた。原作未読なのですが、ドストエフスキー『罪と罰』の様な様々な殺人心理が革命に描かれているらしいので、また積読本土が増えそうです。ホラーティストの暗雲や風景や妻への募る憎しみが色調に現れ重低音が余計な不安を煽る効果があり怖かったです。背丈以上もある広大なトウモロコシ畑。そして光の当て方もおどろおどろしく不気味で不安を煽るいい演出だと思います。『どんな人間でも心の中にもう1人の人間がいる』『自分の中の見知らぬ誰かがしきりに持ちかけてくるのだ!』この言葉も石森章太郎先生が好きそうな言葉で人間の闇の部分に光を当てる様で好きな表現でした。好きな場面は、最後の方で1922年の1年間でお互いこれ程落ちぶれてしまったと隣人と会話する場面。時代背景はアメリカ黄金時代の華麗なるギャッツビーや様々なバブリー時代と対照的に描かれる仄暗いストーリーが違った見方で見え楽しかった。今から100年前のアメリカは、こんな時代だったんだろうか?!少し怖い気持ちで一杯です。テーマは、因果応報や罪悪感といったところか?!登場する誰もが二面性を持っていてそれは、あなた自身かも知れませんよと言われている様で恐ろしい。もっと深い心理描写を原作で味わえると思うと楽しみです。
スティーブンキングの傑作
愚かな父
自分自身にかけた呪い
鼠はどこまでもつきまとう
勝手にスティーヴン・キング特集その24。
今回はホラー風味のサスペンスドラマ『1922』をご紹介。
なお、申し訳無いことに本作は、動画配信サービスNetflixのオリジナル映画。
ネット環境のない方はご覧いただけない作品である旨ご了承ください。
あらすじ。1922年、ネブラスカ。
主人公ウィルは、妻アルレット、息子ヘンリーと共に農場を営んでいたが、
ある日アルレットが「土地と農場を売って都会へ引っ越す」と主張し始める。
夫の反対をよそに、土地の売却と息子を連れての引越しを準備し続けるアルレット。
自分の土地と農場を誇りにしていたウィルは妻の殺害を企て、ついにそれを実行。
死体は井戸に捨てて埋め、妻が家出したように見せ掛ける偽装工作も周到に用意。
彼女の家出を疑うものは現れず、すべては思い通りに進んだはずだった。
だがその日から……井戸の中で妻の屍に集(たか)っていた鼠たちが
農場のあちこちに現れては害を及ぼすようになり始める。
そしてさらには、殺し埋めたはずのアルレットの気配も――
原作は文春文庫から出版されている中篇『1922』。
南部農業地域版『黒猫』とでも呼べそうな、陰鬱で不気味な作品。
しかし、あらすじだけ読むと亡霊の復讐譚かと思われるかもしれないが、
そういった超自然的な要素は少ない。“幽霊ホラー”と呼ぶより、妻殺しの
罪を犯した男がずるずると転落してゆく様を描くサスペンスドラマという感触か。
原作ではアルレットと鼠の超自然的な繋がりが描写されていたが、そこも映画では控えめな印象。
だが物語の流れも雰囲気も、原作との大きな差異はないと思うし、キング原作映画の中でも
かなり良い出来では、というのが個人的な意見だ。1900年代初頭の雰囲気も良い感じ。
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初っ端から、主演のトーマス・ジェーンにビビった。
キング原作の『ドリーム・キャッチャー』『ミスト』でも主役を務めている彼だが、
最初は彼だと全く気付かなかった。どぎつい南部訛りや、のっそりとした外観と所作がスゴい。
どちらかといえば武骨な印象の人ではあるけど、まさかここまで南部の農夫に化けてみせるとは。
物語は彼の独白で進行する。暗いバイオリンの音色と共に、淡々と語られる事件の顛末。
……まあ、あまりに淡々とし過ぎていて後半眠くなってくるのが本作の難点なのだが……
いたずらにショック描写に頼らない語り口は好みだし、思わず顔が引きつるほどに無残で
恐ろしい描写も少なくない。井戸の中のアルレットと鼠たちなんて、夢に出そうなおぞましさ。
登場する怪異も、モンスター映画のようにウィルをずたずたに引き裂いたりはしない。
その代わりに恐怖と罪悪感を植え付け、生き続けることの苦痛を味あわせる。
ひとおもいに殺すよりも、よほど怨恨の深さを感じるやり方だと思う。
(ちょっと日本の幽霊の怖さに近い感覚さね)
...
土地と自身の価値観に固執するあまり、金も、友人も、
それまでの生活も、愛する息子の心までも失っていくウィル。
自業自得と言ってしまえばそれまでだが……なんとも憐れにも思える。
その愛する息子ヘンリーと恋人シャノンの迎える結末もやるせない。
ヘンリーの終盤のセリフは、ウィルが息子にそう“言わせてしまった”
という点で、ウィルの深い深い後悔を表している台詞なのだろう。
「僕はもう神様に祈れない。祈ったら僕は神様に打ち殺される」
ひとつの罪をきっかけに、周囲の全てが瓦解してゆく。
鼠たちは――腐臭を放つ過去のあやまちは――どこまでも後ろをついてきて、
決してこちらを放してくれない。結局、誰も自分の犯した罪からは逃れられない。
...
前述のとおり語り口が淡々とし過ぎているとは思うし、ウィルがどれだけ
土地と息子を愛していたかが少し伝わり辛いのが不満点だが、それでも面白かった。
見て損ナシの3.5判定で。
<了> ※2018.10鑑賞
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余談:
Netflixに加入した一番の理由は、キング原作である本作と『ジェラルドのゲーム』が観たかったから
(あと『空飛ぶモンティ・パイソン』と『ポプテピピック』も)。
『ジェラルドのゲーム』も悪くない出来だったが、残念ながら
現時点でここのサイトのデータベースに無いのでレビュー不可。
ちなみに『ジェラルドのゲーム』の監督マイク・フラナガンは、
『シャイニング』の続編『ドクター・スリープ』に抜擢されている。
映画版と原作の『シャイニング』は正直まったく別物なのだが、
前作とつながりのある部分を映画版『シャイニング』に寄せるのか、
それとも原作に寄せるのか、気になりますねえ。
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