「映画一本が壮大なフルコース」Diner ダイナー ゆっこさんの映画レビュー(感想・評価)
映画一本が壮大なフルコース
美しさしかない…!
美しさを突き詰めたらこんなにも鮮やかに綺麗なものができるのか
冒頭のカナコの独白の時点で、あぁこれは普通の映画ではないって自己紹介をされる。孤独の演出すらも劇的に見える。
計算しつくされたプロップスタイル、構図、キャラデザ、セリフ、名前のテロップ、アクションシーン…作り上げた世界観って主張がすごい。
人がたくさん殺されるのになぜか鑑賞後元気や勇気をもらえる
殺し合いのシーンは花が飛び交いひたっすらに美しい。全ての場面を写真に撮って飾りたいくらい洗練されてる。
本郷君をまたとても美味しく扱ってくれたなぁ…最初かわいさ(本郷君にあんなかわいさがあるなんて!)を存分に味わわせてくれた後、待ってましたのゲスキャラ!最高!
ポップでキュートな部屋が似合う。
窪田君も柔らかい雰囲気と狂気のギャップが秀逸…スフレ食べてる時の恍惚感が絶対やばいと思ってたんだ…でも狂い方がとても切なくて悲しい。
真矢様は出てきてからあまり目立ってなかったのはラストの華やかに暴れ回るための演出だったのね。本当に強い人はいつもクールでクレバーなものだよね。
藤原さんとの戦いのシーンは本当に美しかった…あれは真矢様でなければならないって必然の美しさだった…
「お前がずっと逃げてきたものは逃げ続けるほど大きくなり逃れられなくなる」
「自分を最も必要としてるのは自分自身だ」
「自分がいたいって思える居場所は自分でしか作れない」
しっかり大切なことも伝えてくれてる。
最近カナコのような自分の存在意義に疑問もってるようなタイミングで見れてよかった。
自分が必要ないんじゃないか、なんて、死ぬ気で戦ってから言ってみろ!って自分に言ってやりたくなる力をもらった。
なんでここで歌う?てとこでカナコが歌うとか、あんな爆発で生きてるとか、スプリンクラーの水強すぎて豪雨みたいじゃんとか、リアリティなんてしゃらくさい!美しければそれでいい!
圧倒的に計算された美しさは物凄い説得力と大きな力を与えるんだなぁと思った。
最後現れた藤原さんは幽霊なんじゃないかな…死者の祭りの日に黒い服で現れたし、死ぬと覚悟したからこそ料理を教えたんだし。
でもきっとあの店で人生を変えるような美味しいご飯を彼は味わうんだろうなと思う。
帰りにハンバーガーが食べたくなった。もりもりのやつ。