「父・蜷川 幸雄 氏 に捧ぐ… なのかな?」Diner ダイナー 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
父・蜷川 幸雄 氏 に捧ぐ… なのかな?
花、水、そして印象的なポートレート…
写真家で(も)ある蜷川実花監督が好むモティーフを
やはり本作『Diner ダイナー』でもみてとれます。
ビビッドに、感性に訴え掛ける作風が彼女の信条。
その手法からなる写真・映画に関わらず
それらの作品群は、鑑賞者による
感性の違いから生まれる、好き・嫌いが
別れるのもまた当然なのでしょう…
ですが明らかに、
『さくらん』『ヘルタースケルター』
の過去作と比べて観てみると
本作はビビッドな色調を抑えられているように
思いました。
それは、映画的手法と言うよりは
〈舞台演劇〉を意識したからのことなのでしょう。
つまりは、
【演劇に人生を捧げた、父・蜷川幸雄】に対する
オマージュを作品に込めたかったからだろうと
わたしは解釈しました。
論拠1
蜷川氏から薫陶を受けた藤原竜也さんの
「オレわぁー、ここのぉー、おおだぁー!!」と
演劇を思わせる節でのケレン味たっぷりの
登場シーンだったり…
論拠2
蜷川氏がおそらく手掛けた舞台の引用だったり…
(わたしにはシェークスピア作ハムレットの
オフィーリアの部分しか分かりませんでした…
どなたか知識の明るい方、補足願います)
論拠3
極めつけは、かつてのボス “ デルモニコ ” として
父・蜷川幸雄 氏本人を登場させたり…
そんな演出を随所に意図して織り込んだ理由としましては…
父への感謝とお別れ、
そして蜷川実花さん自身が
これから表現者として
歩んで行くことへの新たな決意を
本作で表明したのだろうと
わたしは受け取りました!
どうしても同年代として実花さんを
肩入れして応援したくなる!
活躍を期待してしまう!わたしですが
今回は少々、矛盾点やツッコミどころが多く
うまくいってない部分が
チョット目に付いてしまいました…
去年、実花さんの写真展を拝見して
わたし自身が感じてしまったのですが…
たぶんそれは、
偉大な功績を持つ父の存在の下で
実花さん自身、表現者としての矜持と
商業的な成功を強いられることへの
《 迷いと葛藤、そして重圧 》が
本作における違和感として
出てしまっていたのではないかと
わたしは思ってしまいました…
とは言え、作品を彩る〈ルック〉は
どこを切り取ってもやはり!の
“ 蜷川ワールド “ は健在!
キャスト陣も蜷川 幸雄・実花 共に
ゆかりのある役者陣が揃って豪華な顔ぶれ!
ついでに、解説も写真も内容充分の
パンフレットは絶対に「買い!」ですよ!皆さん!
今回はいち、実花さんファンとしての発言ゆえ
平にご容赦下さい…
次回作『人間失格』では新しい実花さんが
観られそうな予感! 期待してます!!