「少ない線で最大の効果を発揮する、芳醇なアニメ表現」大人のためのグリム童話 手をなくした少女 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
少ない線で最大の効果を発揮する、芳醇なアニメ表現
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映画.comのレビューには「印象」のアイコンがいくつも用意されているが、恥ずかしながらこの映画の印象を、三つ選べるとしても、何かに限定することができない。しかし、この映画には本当に心を揺さぶられたし、単純なようでいて奥行きがあり、時に官能的なビジュアルに魅せられずにいられなかった。
「クリプトキノグラフィー」という監督が編み出したアニメ手法については、ネット検索すると多くの記事が解説してくれている。専門的なことまではわからないが、とにかく最小限の線だけで、こんなに豊かな世界が作れること、残酷さも美しさも等価に描けること、作品を味わうのにいささかの不便も感じなくなったことに驚いた。誰にでもできることではない。本当に絵を動かせるひとだからこそ成し得た省略なのだろう。
そして、原作であるグリム童話から逸脱していくラストに込められた「解き放たれてどこまでもゆけ!」という想いに心底感動させられたのです。
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