七つの会議のレビュー・感想・評価
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現代日本が抱える問題
原作未読ですが、上手くまとめられていたと思います。
劇中では、八角が情報をリークしたことで隠蔽が発覚しましたが、現実ではとても少ない例なのかもしれません。
言わなければバレない、バレなければ問題はない。しかし言うと、自分が仕事を失う、自分の家族にも苦労を強いてしまう、自分の同僚をも巻き込むかもしれない、身内からは反感を買う。
いくら人命がかかっていても、自分や周りを犠牲にしてまで、言える人は少ないだろう。でも不正が明るみに出ないと決して良い社会にはなりません。
悪いことは悪い当たり前のことが言えるような社会にしていかなければいけません。
ネジは佃製作所に発注すべき
やっぱり、池井戸作品はハズレがないですね。
前作の『空飛ぶタイヤ』も面白かったけど、2時間ドラマ枠でも…と思いました。しかし、本作は映画で大正解。
何と言っても、日本映画界の大御所男優さんが総出演。野村と香川を軸にしながら、北大路をピラミッドの頂点として、鹿賀、橋爪、愛之助。そして、最後に役所さんまで。まぁ、それだけでも豪華だし、出演料がハンパない。
原作では大手企業ソニックの下請けとなる中堅企業「東京建電」でしたが、映画では大企業名がゼノックス。どちらも聞いたことのあるような、ないような…(笑)
ストーリーは、企業の癒着やパワハラ、そして、次第に見えてくる会社ぐるみの隠蔽工作を、窓際族の八角が、嫌な上司に立ち向かい、会社の取引に関わる不正を暴いていく内容。
中堅電気メーカーを舞台に繰り広げられるジャパニーズ・サラリーマン物語。
野村満載と香川照之、片岡愛之助は、日本の古典芸能の継承者だけあり、演技も深いですが、舞台を感じさせる声色やオーバーな演技に、ちょっと引く場面もありました。
そんなことを差し引いても、面白さはバツグン!池井戸作品は、いつも企業の裏の怖さに迫ります。
ネジは、佃製作所に発注すれば、間違いないのになぁ…と思いました。(笑)
文句なしにおもしろい!のだが!?
テンポよく話が進んでいくので、クライマックスまで興味が途切れることなく映画に没頭してしまう、退屈さとは無縁な映画。
しかし、ついに、というクライマックスでは焦点が二転三転していくさまにちょっとクドさがあったのと、さらにそこから終劇までの流れは必然性の薄い描写も多く演出もやや空振り気味で、謎が明らかになった爽快感の余韻を打ち壊してしまうように感じた。
せっかく筋書きとしてはよく出来ているのに、肝心の心を震わせる演出がもう一歩追い込めていないように感じるのがもったいない。
隠蔽を告発した首謀者がそのまま会社に残る、というのは恐ろしく居心地の悪いもののはずで、実際に我々が会社で不正を暴きたい、という気持ちがあってもなかなかできる人がいないのは、そうすることによって自分がおかれる立場が容易に想像できるからなのだ。
その点、八角は最初から白い目で見られ後ろ指さされるポジションだったし、なにを今さらなんだけど、だからこそ八角は躊躇なく告発できてしまったんだな、ということを再確認するための「おさらい」のカットがひとつほしかった。
期待以上の面白さだったからこそ、もっともっと欲張れた、もう少しで時代を代表する名作になれたかもしれないのに、という惜しさを感じてしまい、ついついダメ出ししてしまう映画なのである。
テンポが良くて、ドーナツが食べたくなります♪
所謂、一連の池井戸作品ですが、やはり鑑賞したくなる要素が多くて、鑑賞意欲をくすぐられたのもあり鑑賞しました。
で、感想はと言うと、面白かった♪
最初は野村萬斎さん演じるダメ社員が自分にとって、理不尽かつ不利益を被る上司・同僚をバッサバッサと切り倒すが如く、左遷・降格に追い込み、その流れから一連の理不尽な無理難題を押し付ける企業体質とリコール隠しを暴く訳ですが、何よりもテンポが良い。サクサクと進んで行きます。
また、野村萬斎さんの些かやり過ぎ感のある台詞回しもコメディな感じもしながらもスカッとする場面が多くて、出てくる人達が皆一癖も二癖もあるので、天誅とばかりに左遷されるのは、時代劇の様な感じでなかなか爽快。
また、企業のドロドロはあっても、色欲金よくの変にドロドロな場面が少ないので観てても安心で、ドーナツが意外なキーポイントになってるのが微笑ましい。
池井戸作品には欠かせない香川照之さんが最後は文字通り、ギャフン!と言わされると思いきやのラストのオチは意外でした。
北大路欣也さんの大物っぷりの安定感は相変わらず。藤森慎吾さんの小物っぷりはなかなかナイスです♪
あえて難点があるとすれば…野村萬斎さん演じる八角のぐうたらっぷりは些かやり過ぎかなと。実はトップとも精通している、特命係長ばりに内部の悪事を裁いていくと言うのは良しとしても、ここまでのぐうたらと見た目のだらしなさは逆にやり過ぎと言うか、なんかあると思わせる所が盛り過ぎなのではと思いますね。
その割に自宅のロイヤルパレスのでの家族の写真を見つめる場面では何かあると思わせといて、意外と何も無かったw
もっと過去に傷のあるダーティーヒーローかと思いきや、正義感が強かっただけは個人的には少しスカされた感があります。
あと大見得を切った様な笑い方は…ちょっとw
野村萬斎さんをキャスティングしている時点でそれも織り込み済みかとは思いますが、コメディ色が多過ぎて、鑑賞中に度々苦笑に近い笑いも起きていたので、ここは好みが分かれるかな。
RPGの様な謎解き感もあって、サクサクッと進むし、時折八角の見せる怖さなんかは半沢直樹や「空飛ぶタイヤ」の長瀬智也さん演じる赤松ほどヒーローヒーローしてないのも結構好きなんですが、行動と過去の経緯が一致してない所が少しあって、終始謎のキャラクターになってしまってます。
池井戸作品の中の企業犯罪小説の中では割とライトな感じで、何処かの事件を元にした信憑性と言うかリアル感やもっとドス黒い複雑怪奇で生々しい感じが薄いのは、多分いろんな事件や事故を元に織り交ぜてる分、リアル感や焦点の絞り方がボヤけてるとも言えなくはないんですが、割と良い様に出ていて、強者の理論をコミカライズした様にまかり通らして、勧善懲悪的な感じにした分、テンポと食い付きを良くしてます。
なので2時間で割と無理なく収まったのは良しなんですが、御前様率いるゼノックスに楯突く所からの結末は付け足し感が多々有り。
あれを最後まで描くと少なくとも2時間30分は掛かるし、テンポが落ちますが描いてない分ちょっと消化不良。
ドラマは未鑑賞ですので、ドラマで描かれていたとしても映画は映画できちんと成立させてまらいたいです。
更なる強大な権力に逆らう場面を観たかったのは、ドラマの半沢直樹が同じく北大路欣也さんに出向を命じられた所で終わって、続編が未だに発表されない鬱憤を晴らして欲しかったなぁw
映画は場内が明るくなるまでキッチリと観るんですが、ピクサー作品の様にエンドロールの横に映像があるのは楽しんで観れますし、八角の最後の台詞は池井戸作品の代表的な本質とメッセージなんですが、ここで盛り込まれると観聴き入ってると分、やっぱりエンドロールの文字は殆ど頭に入ってきませんでしたw
昨年観た「空飛ぶタイヤ」は主題歌も印象的で、巨大企業の理不尽と横暴さと隙の無さをまざまざと見せつけられ、そこに抗う主人公に思い入れを持ちましたが、この作品はまた違う面白さがあります。
池井戸潤作品の綿密な設定考証が薄く感じながらも爽快感とテンポが何より良い作品なので、毛色が違った分、結構オススメな感じです♪
映画「半沢直樹」でした。
観る側の予想をどんどん裏切っていくストーリーは疲れますが結構面白炉かったです。
ただ主人公の生き方を転換させた自殺事件ですが、転換させる動機としては弱いかなぁと思いました。強引な営業をやっていればあちこちに発生する通常の現象ですからね。
むしろ、出世競争で家庭を顧みず、結果幼い子供の生死時に救えなく離婚になった。それを契機に会社内の抗争に敵意を持ち始めた、という設定のほうが説得力ありそうですが。
でも、「半沢」を映画で観ているようで時間はあっというまに過ぎました。
皆さん『爽快な結末』と言うけれど、、、
内容は面白かったです。
今の日本社会の『あるある』を適切に突いていると思います。
でも、八角は正義の味方では無いと思います。
「不正拒否&顧客の死」を理由に、営業の仕事もろくにせずに、その後20年もグウタラ在籍し給与貰えるのは北川等の周りのフォローあってこそ。
顧客の死も、「会社が強いるノルマ」が理由で無く「営業の購入後のフォローミス」が原因だと思います。
「無理して売りたく無い」人ばかりだと会社が成り立たない。
利益を生む人の集団が「会社という組織」であり、「組織である」からこそ、毎月纏まった給与を従業員に支払えるのだと思います。
逃げたくせに在籍続ける八角より、不正を黙認しながらも会社(=会社で働いている全従業員)の為に動く北川部長に最初から最後まで好感が持てました。
もちろん、不正は悪い事です。
社会が利益で回っている以上、不正は無くならないと思います。
ですが、顧客信頼を得る為にも不正にならない着地点を探る必要はあると思います。
フィクションでは有りますが、色々考えさせられる内容でした(^_^)
もう一つ!
会社員の皆様は共感しまくり作品なんですか??最後に親会社の社長がコケないとこが、若干爽快感不足だし、萬斎様が墓参りしていたじーちゃん、田んぼたくさん持っていそうで、自殺するほど貧乏なのが伝わってきませんでした。離婚したのは、お嬢ちゃんになったのかと思ってたので、そこも妻子元気ならいいじゃないかーと思ってしまったし。
萬斎様の狂言ぽい仕草や言い回しがちょっと気になりましたが、俳優さんたちは力入っていて良かったですね!
間違いなく空飛ぶタイヤよりも良かった!
八角役の野村萬斎さん、存在感が凄い!
特に、声の凄みが色々な場面で映える、説得力を産んでいた。半沢直樹シリーズの俳優さんが多かったが、とにかく豪華で休む間がありませんでした。香川さんが善役だとなぜだか頑張れ〜!と応援してしまいますね。
最後のシーン、萬斎さんのセリフは、サラリーマンの私にはとても考えさせられました。なんとなく思っていたことを、彼が口に出すと確かにそうかもと思ったので、すっかり萬斎さんファンになっていたのだと思います笑
池井戸作品拒否症者のボヤキ
ごめんなさい。話としては悪くないし、映画としての出来は間違いなく良いと思うけど、隠蔽内容に白けてしまった時点でアウトでした。技術的な部分も、もう少し真面目に考えて欲しい。
以上
追記
映画で見たことが原作通りだとしたら。社会派を名乗るのであれば、もう少し真面目に取材して欲しい。
航空機には数多くの部品が組みつけられています。座席だけじゃ無い。空調機器、配管、電子・電気機器、隔壁、室内の内張り、床、オーバーヘッドコンソールなどなど。それらの部品は航空機の製造現場で機体に取り付けられ、取り付けに使用されるボルト・ナット・スクリュー等は、おそらく数万点に及ぶ。航空機のメーカーは、これらのボルト等に独自の技術基準を設け、自らが設計し、自らが調達しているはずです。TKDが強度偽装したボルトは「座席の取り付けボルト」でしたが、それ、あり得ません。座席の取り付けボルトは、航空機メーカーが自分でどこかに発注し、直接納品を受けるはず。そもそもこの会社、営業が色んな事やり過ぎです。営業の仕事は物を売ること。部品の調達は購買部門ってのがあるでしょう。また航空機の座席は軽量化のためにアルミのフレームを使います。取り付けボルトがチタンで引っ張り強度が230kNとか、あきらかに、あきらかに、笑っちゃうくらいのオーバースペック。ボルトが強すぎてフレームが、逆に簡単に千切れます。
取材が足りないどころか、ほぼ、やってないでしょ、って思う。
主要登場人物の、役者さんの演技は良かったので★3つってことで。野村萬斎と香川照之の対決は、見ごたえありました。
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追記(2/5)
ちょっと考えてみたんでですが、仮に、「アリー」のガガの歌唱部分だけを、歌唱力ゼロの「俺」が吹き替えたとしたら。その歌に熱狂する聴衆を描くシーンは、コメディにしかならない。へたっぴな歌に熱狂する観客なんて、現実には居ないから。見る人を感動させるには、その対象に相応のリアリティは不可欠だと思います。大人が見る映画には、大人を納得させられるだけの。子供が見る映画には、それなりの。
リアリティの欠如した変てこな会社の中で繰り広げられる、表情筋収縮限界競争(顔芸大会)が、質の悪いコメディに見えてくる後半戦。「会社と社会正義の相反に、サラリーマンはどう向き合い何をすべきか」と言う、池井戸お得意の主題に難癖をつけるつもりは無いけど、飽きつつあるのも事実です。
ねじ六に戻す!!
会社勤めや日曜劇場が苦手な方にはお薦めしづらいですが、昼行灯?が邪魔者を排除していく前半と、大企業の体質を暴いていく後半で無理なくまとまっていて、朝9時から観ても眠くならず存分に楽しむ事ができました。野村さんと香川さんの顔芸対決は予告編以上のものはなかったですが、しつこ過ぎず丁度良かったです。ミッチーの役は暇人だなあという印象でしたが、視聴者側に立ってて良いポジションでした。香川部長のドーナツが地面に落ちるシーンが象徴かつ屈辱的でした。神戸製鋼所や経産省、厚労省の文書改竄が記憶に新しいですが、不正があるのは当然とした上で、押し付けがましくない結び方も好印象でした。ずっと我慢をしたまま20年間も働き続ける事は私には到底無理ですが、日本の慢性病のようなものが2時間でまとまっていて、プロの仕事を満喫でき有意義な時間を過ごす事ができました。
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