劇場公開日 2018年8月17日

  • 予告編を見る

「アンフェア上等」タリーと私の秘密の時間 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アンフェア上等

2018年11月11日
iPhoneアプリから投稿

子育てには苦悩も喜びもあるもの。苦悩の断片を繋ぎ合わせるのはフェアか?父親とて仕事での苦労もあるだろうし、子供との交流をカットして負の断片を編集するのはどうか?アンフェアかもしれない。しかし、それでも逃げ場なく育児に精神的に参る母親は多く、その立場からの論を社会に振りかざすことに躊躇うことはない。彼女には彼女の成立ちがある。尊重されるべき。
母性愛と自己犠牲を至上命題として自らに課すのは、我が国において強い風潮でもある。彼女の場合、三人の継母に育てられたことが遠因なのかもしれないし、社会的使命を見つけられなかった結果として母親道に進んだだけかもしれない。であるが、それも道。それを前に進むしか彼女には選択肢を見出せない。子供は社会が育てるべきというのが正論。しかし、社会から最終防衛線に立たされ、しんがりを託されていると信じた者から見える世界観を無視して社会は成り立たない。ブルックリンでのタリーとのやりとりは、既にタリーが何者かが薄々と分かってきた段階だけに、痛々しく刻み込まれた。
この役を演じきったシャーリーズセロンには脱帽というしかない。

Kj