「運命と愛を真摯に描いた恋物語」フォルトゥナの瞳 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
運命と愛を真摯に描いた恋物語
観終わって、やはり百田尚樹原作作品は違うと思った。ラブストーリー色が強い作品だと予想していたが、運命と愛の双方に真摯に向きあった作品だった。本作は、死んでいく人が透けて見えるという特殊能力を持つ主人公の物語ではあるが、人を想うこと、運命、とは何かという普遍的なテーマについて考えさせられる作品である。
主人公の木山慎一郎(神木隆之介)は、幼い時に飛行機事故で家族を失い、大人になっても、多くを語らず仕事に没頭する日々を過ごしていた。彼は、偶然、死んでいく人が分かる、人の運命が分かるフォルトゥナの瞳を持っていることを知る。そして、彼は、恋人・桐生葵(有村架純)との愛を育みながら、運命に立向おうとするが、そこには大きな障壁が待ち受けていた・・・。
主人公役の神木隆之介と恋人役の有村架純が、安定した演技をみせている。三月のライオンなど色々な役に挑戦している二人だが、本作の役どころは、二人の原点、本流ともいえる役どころである。そんな二人の自然体の演技が奏功して、特殊設定の作品全体に落ち着きを与えている。
相変わらず有村架純の眼の表情、魅惑的な瞳が素晴らしい。あんな瞳で見つめられたら平常心を保てる男性はいないだろうと思わせるほどだ。慎一郎への包み込むような暖かな眼差しと台詞が印象的である。葵は謎めいた人物だが、慎一郎との会話の中で変化する目の表情で、葵が何者なのかが垣間見える。推察できる。
神木隆之介も、透明感のある演技で、過去を背負いながら、自分の特殊能力に葛藤し苦悩する生真面目な若者を好演している。不器用で一途な葵への強い想いが胸を打つ。
終盤は、そうなるだろうという展開ではあったが、二人のピュアな愛が凝縮されている。本作は、特殊な設定を通して、運命と愛という普遍的なテーマに迫った作品である。神木隆之介、有村架純という演者が紡ぎ出す、人を想うことの大切さが切々と心に沁み渡っていく良作である。
今晩は
みかずきさんのレビューは、以前別サイトに投稿されていた事もある事が起因しているのでしょうが、簡潔明瞭で本質を付いたレビューで、私の様にダラダラと長いレビューを書く者にとっては”かくありたい、けれど、無理・・”と思うのですよ。
尚、私が今作を映画館で観なかった理由は、レビューには書きませんでしたが、それまで好きだった百田尚樹氏の極右の思想が分かったからです。
ですが、今作を観ると”劇場で観れば良かったかな”と思った作品でしたね。では。