「もの作りは楽しい」劇場版 SHIROBAKO ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
もの作りは楽しい
もの作りは楽しい。同時にもの作りで食べていくこと、絶え間なく事業を継続させていくことは大変で苦しい。TVシリーズで上り調子に見えた武蔵野プロダクション(通称ムサニ)は、冒頭いきなりその勢いが見る影もなくなっている。TVシリーズの第一話のように。
たった一度の失敗、それも契約書をかわさずに制作を始めてしまったという業界の慣習から生じる失敗で窮地に立たされたプロダクションを立て直すために、他社が投げ出した映画製作に無謀にも乗り出す。散り散りになったかつてのスタッフを再び集めて、厳しい条件の中で一丸となって完成を目指すその姿は感動的だ。もの作りを仕事にすればいろいろなものに絡め取られる。しかし、この映画の登場人物たちのようにもの作りの衝動という原点を失わずにいればいつか道は開ける、そういう希望を謳った作品だ。
人口減少時代で内需が減少し続ける日本のアニメも、今度どうなってゆくのかわからない。しかし、ここに描かれたもの作りの熱意はきっと消えないのだろうと前向きに気持ちになれた。
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