「テレビシリーズと本作の間の話が欲しかった」劇場版 SHIROBAKO スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
テレビシリーズと本作の間の話が欲しかった
アニメーション制作を題材にした「お仕事もの」アニメ。テレビシリーズの続編で、今度は劇場版アニメを作るって話。テレビシリーズが好きならば是非観て欲しいですが、未視聴だと辛いかも。3.5/5.0満点で。ギリギリ、条件付きでオススメできるレベル。
アニメシリーズで「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」を元請し成功させた後、4年後のお話。で、どうやらムサニのオリジナル作品が失敗し、スタッフが離散し、グロスの元請をやって食いつないでいる、って状態からスタート。訳有りの劇場版アニメを元請することで、昔のスタッフが戻り、またアニメ作りを再起動するってお話。
うーん、その「オリジナル作品の失敗」って部分もやって欲しかったなー。劇場版を2部構成にすれば出来たと思う。
テレビシリーズからの4年間でキャラクターも変化や成長があります。なので「オリジナル作品の失敗でムサニ倒産の危機」だけでなく、キャラのサイドストーリーとしても、絵麻と愛の独立、作監の遠藤、瀬川と遠藤嫁の関係、ゴスロリ先生の再出発、タローと大輔の野望などなど、面白いネタはあります。あと、2クール目からメッキリ登場が減り劇場版で遂に登場が無かった(と思う)落合。あえて色恋モノを入れるなら、みゃーもり&落合、が王道なんだがなぁ〜。
あの挫折の後、みんなが成長しているのに、最後までムサニに残った「みゃーもり」は、自分は成長してないなー、って立ち止まっている訳じゃん、あの仲間の待つ居酒屋の前でのためらいって、そういう描写だったよね。だから「オリジナル作品での挫折」はちゃんとやるべきだったと思います。
だからなのか、今回の「みゃーもり」はプロデューサーという立場なのだが、その立ち位置がよく分からんまま。ナベp(本作では社長)と葛城pのアシスタントって感じ。最後の討ち入りだってリーガルの単純な話で、確かにアシで決着する程度のモノ。
せっかく実質オリジナルなんだから、作品を作る動機やテーマを熱く語って、スタッフを鼓舞したりメーカー側と対峙してこそプロデューサーじゃない?
で、その想いの原点が「前回の挫折したオリジナル作品」であるならば、やっぱ、そこの物語が欲しかった。
深読みすると、明らかに物足りなさを感じるってことは、色々と手掛かりが残っているからで、元々は「失敗したオリジナル作品編」があったのが、何らかの理由で削除されたので、残骸がいっぱい残っているのでは?とも感じます。
ミュージカルシーンは「みゃーもり」の動機付けを短時間で表現しただけ。振袖討ち入りは、アニメシリーズの木下監督と同じ。まあ、みゃーもりのサービスカット、とでも思っておけば良い程度。
好きな作品なので、ツッコミ所も多かったけど、映画としては充分楽しめます。原作アニメを見ていた方は是非。