「引っ越しは戦でござる、勝って錦を飾りたい」引っ越し大名! shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
引っ越しは戦でござる、勝って錦を飾りたい
映画「引っ越し大名!」(犬童一心監督)から。
本当にあり得そうな話を、シリアスに描くのではなく、
コミック調に、軽快に笑い飛ばす展開で面白かった。
戦国時代の参勤交代、国替え、借金、減棒の苦労は、
事実としては知っていても、なかなか現代の社会と重ねて
想像することは難しいので、こういった楽しい作品があると、
歴史の苦手な人たちにとっても、受け入れやすい気がする。
さて「引っ越し奉行」なる奉行が存在したかはどうかは不明でも、
やはりどの時代でも、それを取り仕切るリーダーの存在は、
必要なんだな、と思う。(もちろん、影の力も大切であるが)
そして、引っ越しを効率良くこなすためのマニュアルも。
なぜか、このノウハウを詰め込んだマニュアルの存在は、
デジタルになったとはいえ、今の時代でも、役に立つ。
今回の主人公の前任者 (板倉重蔵)が残した「引越しの指南書」
「道具見切之術會得」「整理整頓之法會得」などと書かれたもの。
作品の中で紹介されているのは、3つの項目。
(1)歌こそ人々の心を1つにするものなり
(2)整理とは捨てることなり
(3)身体を保て、たどり着くまで
もっともっと知りたくなった「引越しのノウハウ」。
今で言う「断捨離のすすめ」とも言える。
成功の秘訣は、引越しをただの作業と捉えるのではなく、
「引っ越しは戦でござる、勝って錦を飾りたい。
共にたどり着こうぞ」と鼓舞したり、
「これは合議の理不尽に対する我らの戦でございます」と
「戰」というのは単語を使ったところにあるなぁ。
P.S
作品中「引越し奉行」という単語は頻繁に出てくるが、
「引越し大名」という単語は、一度も出てこなかった。
どうして、タイトルは「引越し大名!」なんだろうか。(笑)