「かたつむりでございます星野源」引っ越し大名! みりぽんさんの映画レビュー(感想・評価)
かたつむりでございます星野源
かたつむりでございます星野源
ドタバタ喜劇時代劇
いきなりの衆道…もとい国替えの御触れで大混乱。
いつの時代も嫌な仕事は末端に押し付けられるものである。
大役に抜擢された星野殿、いや片桐殿。
もし何の官職もない穀潰しがいきなり奉行になったら、というドリフのコントのような無茶振り。
その突拍子も無いロケットスタートが時代劇とは思えないテンポ。
時代劇は往々として現代では馴染みのない文化を説明しないといけないのでどうしても退屈になりがちであるが、この作品が伝えたいものは現代との相違ではない。
風呂に入り酒を飲み腹が減ればまんじゅうを頬張る。そこにあるのはまさに現代の日本そのもの。
そして現代でもミニマリストだの断捨離だのが叫ばれる世の中、自分も引っ越しの時は頭を悩ませた経験がよぎる。
覚えていないのですから必要とは言えませんね、見切ります!
なんとも小気味の良いセリフ。
そして自ら断腸の思いで書物を焼く。
当時はブックオフなんてなかっただろうし売るのは難しそうだな。
そしてもう1つ大事なのが予算である。
借りて仕舞えばこちらのものじゃ!とお代官様。
よってどこの商家も首を縦に降らない。
こちらも無責任な現代の政治とよく似ている…
お金にだらしないのは世の常なのか。
結局片桐殿が土下座して情けを誘うのであった。
それでも足りない予算はお役目御免、リストラである。
帰農せざるを得ない武士は辛いもの。
まるでプロ野球の自由契約に通じるものがある。
まさにこの作品は時代を超えたドラマと言える。
そしていざ出発の日。
待ってましたとばかりに悪党出現。
お約束の展開に高鳴る期待。
家宝をここぞとばかりにふりかざし敵をバッタバッタと薙ぎ払う鷹村殿。
傷一つ付けてはいけないものを惜しみなく使えるのは何だか得した気分だなあ。
取っておいたお気に入りの高い酒を一気飲みするかのようだ。
それにしても美味しいところを全部持っていくのはズルい。
そして大団円。
星野さんは下手なタレントより演技が光りまさにハマり役だった。
全体的に無理な配役がなくまとまった作品でオススメ。