「自分を枠にはめない」こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 鯨さんの映画レビュー(感想・評価)
自分を枠にはめない
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筋ジストロフィーの鹿野と、それをとりまくボランティアのお話。
自分1人では買い物に行けない、寝返りも打てない、カップも持ち上げられない主人公。
夜中にバナナが食べたいとか、ハンバーガーを買ってきてほしいとか、ワガママを言いながら周りを振り回す。
自分では出来ないから、ボランティアに助けてもらわないと生きられない、
でもしてもらっていることに卑下するわけじゃなく、あくまで対等でありたいという気持ちが、口達者にぽんぽんとリズムよく出てきて爽快な気持ちになる。
しょうがいを持つ主人公だと、なかなかここまで主体性というかやりたいことが明確な人は珍しいかもしれない。
大泉洋がユーモアたっぷりに、ワガママだらけの嫌なやつ!ではない、ワガママだけどどこか憎めない、だって鹿野だもんなしょうがないよな、という役を演じてくれた。
しんみりするところも、笑えるところも、真剣なところも、メリハリをつけて見られた。
倒れたふりをしたりするのは、どうかと思うけど、体は不自由だけど心はのびのびした主人公を見ていると、大泉洋以外の役者じゃなくてよかったと思った。
高畑充希と三浦春馬は言わずもがな、振り回されるだけじゃなく、自分の意思を見せてくれたし、特にカップを投げる高畑充希が愛しくて、こころがぎゅっとなった。
出来ないことはたくさんあるけど、世界の範囲を決めるのは自分で、
嘘ついたならそれを本当にしてしまえばいいという言葉は、いろんな人を救うと思う。
公開終わりかけにどうするか迷ったけど、見てよかった。
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