「とてもバランスの良い、良質の作品です♪」こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
とてもバランスの良い、良質の作品です♪
今年の正月映画の目玉作の1つで、題名からコメディかと思いきや、とても重いテーマの作品。でも笑かしてくれる要素が随所に感じられて、公開を楽しみにしてました。
公開が年末の年の瀬ギリギリの忙しい中。
題名にもじってではありませんが、“こんな年末に公開かよ”と思いたくなるぐらいに年の瀬ギリギリの公開に時間を作って観に行きました。
で感想はと言うと…良かった♪
とにかく、硬軟のバランスが良い。
ベースが重いテーマですが開始直後はコメディと思わすぐらいのテンポの良さでここから鑑賞側の肩の力が抜けて観ていられます。
そこから中盤にかけて、重くのしかかってくる現実に“ここから重くなるなぁ…”と思いきや、夢オチと思いたくなるぐらいの主人公鹿野の不死身ぶりにクスッと笑かされながらも泣かす所はグッと来させる緩急が見事です。
ラストの締め方も必要以上に湿っぽくならず、良いです。
主人公の鹿野靖明を演じる大泉洋さんが難しい障がい者役を演じているのにも関わらず安心感があって観ていられます。
実際の鹿野靖明さんもホントにワガママだったと言う事ですが最初の出会いからこれはかなり面食らいますね。互いに分かり合えるまではホントに面倒くさそうw
でも、キャラ立ちは抜群で大泉洋さんでなければ、ここまで愛すべき人物としては成り立たないかと。
萩原聖人さんを始めとするボランティアの方々のテンポも良いんですが特に美咲役の高畑充希さんのテンポが良いです♪
退院パーティーでの鹿野の告白は「どう転んでも美咲には不利」な場面ですが、オイオイとツッコみながらもちょっと笑ってしまいました。
あと、ザ・ブルーハーツの「キスして欲しい」は世代を超えた名曲ですが、小学校の授業で先生の好きな曲としての生徒に歌わせるのは、どうかな?とw
身の周りに障がいを抱える方がいる方だといろんな部分の共感やオーバーラップで感想は変わるかと思いますが、自分も知り合いに障がいを抱える方が居た時に思ったのは、必要以上に介護側が気を使い過ぎると、双方に取って良い結果にはならないと言う事でした。
だからと言って、どうしても最初は互いに気を使ってしまうのでそこを越えるのには一度は修羅場がある訳でその修羅場を超えると楽になりますw
そうしないと障がい者側の赤裸々な部分に踏み込めないし、障がい者側も結局遠慮してしまい、腫れ物に触る様な関係になってしまう。
凄く難しい問題で簡単に片付かないのは分かっていますが、劇中で鹿野が発した“出来ない事を助けてもらう勇気”はなかなか難しいけど、この台詞がこの作品の本質のメッセージかなと感じました。
実在の人物のお話なので、何処までフィクションを取り入れているのかは分かりませんが、フィクションとノンフィクションのバランスがとても良いです。
映画作品としても、一級のエンターテイメント作品になってます。
2018年は良質の邦画作品が多かった豊作年かと思いますが、年末ギリギリですが、これまた良作に出会えました。
泣けるし、笑えるし、テーマとしても確りと考えなければいけない大切な事をとらえたお勧めの良質の作品です♪