劇場公開日 2018年9月8日

「【近代韓国の政治の実態ー外交的側面より民主的な仮面を被りながら、学生たちの民主化運動を弾圧した事実ーを生々しく抉りだした傑作。】」1987、ある闘いの真実 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【近代韓国の政治の実態ー外交的側面より民主的な仮面を被りながら、学生たちの民主化運動を弾圧した事実ーを生々しく抉りだした傑作。】

2019年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ー韓国の近代政府の政治スタンスの闇を生々しく描いた傑作。ー

 僅か30年前に、民主主義国家であったはずの隣国で起こっていた事。隠蔽されていた事実を明らかにした作品である。(多少の、脚色は加えられているが・・)
 そして、この作品が隣国の多くの民衆に受け入れられたという事実。
 きっと、多くの人にとって、この作品で明かされたことは、決して過去の事件ではなく、現在まで綿々と続く政治風土を良くぞ描いてくれた、という強い思いではなかろうか。

 2018年は更に「タクシー運転手 約束は海を越えて」という同じく政治的テーマの光州事件を描いた作品が大ヒットしたが、今作を含めた自国の政治的闇を明らかにした作品群を観ていると、韓国映画界の政権に媚びることなく、真実を伝えようとする熱量、制作陣の気概を感じる。

 そして、作り出される作品のレベル自体もエンターテインメント作品としても十分すぎるほど面白く、高い。

 日本でも近年、藤井道人監督の「新聞記者」がシネコンで上映され、大ヒットしたことを嬉しく思ったが、クリントイーストウッド監督の一連の作品などがアメリカで高く評価される状況を見ても、
 ーポリティカルメッセージ性の強い作品が日本では好まれないのか、映画会社が何らかの意思で製作に戸惑うのか、興行的に採算が取れないのかイロイロと理由はあるのであろうが、隣国で次々に今作のような作品が発表されることを、切歯扼腕の想いで鑑賞しているのは、私だけであろうか・・。ー

 最近であれば、「君はなぜ総理になれないのか」という現代日本の政治風土に鋭く切り込んだ傑作もあるのだが・・。

<2018年9月15日 劇場にて鑑賞>

<2020年9月7日 大幅に追記>

NOBU