劇場公開日 2018年9月8日

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「国家を揺るがしたタブーを真正面から描くエモーショナルな傑作ドラマ」1987、ある闘いの真実 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0国家を揺るがしたタブーを真正面から描くエモーショナルな傑作ドラマ

2019年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ソウル五輪を翌年に控え、脱北者のパク所長率いる南営洞警察はアカ狩りに血眼になっていた。いつしか容赦ない拷問による取り調べは一線を越えてソウル大学の学生を取り調べ中に死なせてしまう。警察は証拠隠滅のため即座に遺体を火葬をするべく地検に申請を出すが、担当検事のチェは遺族の同意を得ているとも思えない迅速な対応に躊躇する。余りにも露骨な圧力が降りかかってくることに怒りを募らせたチェは申請を却下、遺体の保存命令を出す。

小さな抵抗がやがて韓国全体を揺るがす民主化闘争へ加速していく様を幾重にも重ねられた人間ドラマで丁寧に綴る壮絶な社会派ドラマ。韓国現代史における悪夢そのものである事件をキム・ユンソク、ソル・ギョング、カン・ドンウォン他の豪華スターキャストで映画化、残念ながらわが祖国が100年先にもなし得ないことをものすごい熱量で実現してしまう韓流映画陣に正直足を向けて寝れないです。勧善懲悪という安易な筋にすることなく、登場人物達の抱える心情を時には軽快でコミカルに、時には凄惨に抉り出す演出の巧みさにはもちろんのこと、こんな壮絶にポリティカルなサスペンスにツンデレロマンスまで滲ませられたらこちらの魂が激しく揺さぶられてもう涙が溢れてしょうがないです。国家を揺るがしたタブーを真正面から描きつつもあくまでも血湧き肉躍るエンターテインメントに仕上げられた傑作、グウの音も出ません。

よね