劇場公開日 2019年6月28日

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「映画の完成形」COLD WAR あの歌、2つの心 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画の完成形

2019年7月2日
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鑑賞方法:映画館

15年を88分で描ききってしまう潔さ!モノクロの映像美!そして溢れる音楽...。芸術映画の最高峰といえる出来ではないだろうか。
物語はパヴリコフスキ監督の両親が部分的に基になっているということだが、ヒロイン・ズーラの完全たるファム・ファタールっぷり。もうそこに溺れるしかないという宿命のようなものを登場から纏う女。
男女は一度別れ、パリで一緒になるのだが、そこで映画のタイトル「COLD WAR」が効いてくる。ズーラは単なるファム・ファタールではなく、どうしようもなくポーランドの女性だ。ヴィクトルが西に憧れて西に順応するのとは決定的に異なる何かがふたりを分断する。...と感じるのは穿ち過ぎだろうか?
結局彼らはまたも別れ、結局多大な犠牲を払って再び巡り会い、あっという間にラストに行き着く。あまりに激しい愛。愛のためにそこまでできるのか?考えてしまう。
これだけの物語を88分におさめてしまう無駄のなさ。物語に弛緩がない。無用な語りや背景がほぼ描かれないこと、言葉ではない分は音楽が完璧に補っている。映像、音楽、物語が調和した映画のある種完成形と感じた。

andhyphen