「恋も歌も映像も、全てが美しい映画」COLD WAR あの歌、2つの心 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
恋も歌も映像も、全てが美しい映画
これはとても切ない映画だった
冷戦時代のポーランドで出会ったピアニストのヴィクトルと、歌手志望のズーラの愛の物語
この話は、監督のご両親の話が元になっているそう
そのヴィクトルとズーラは恋に落ちるが、その後、彼らには様々な困難が待ち受ける
その2人の姿を通して、冷戦下のポーランドの社会事情が見えてくる
東側の事情は、西側の国からしたら、よく理解できない部分があるけれど、彼らの恋を通して見ることで、より現実的に感じることができた
恋愛は多くの人にとって経験のある感情だからだ
彼らに感情移入して観ていると、ピアニスト志望のヴィクトルが音楽を求めて西側へ行くことも、そのヴィクトルに誘われて戸惑うズーラの気持ちも、愛するズーラのために命をかけるヴィクトルの気持ちも、とても理解できるのだ
民主主義の国に生まれていれば、そのまま一緒にいられた2人の恋も、国が違うだけで、複雑になり、命をかけるまでになってしまうなんて
そして、そんな2人の恋を演出する音楽がとても素晴らしい
その歌声は、過酷な時代に翻弄された恋を見事に表現して、心に突き刺さる
そして、映画を見終わった後も、しばらく耳に残り続けた
冷戦のことがよくわからないという人でも、彼らの恋を観ているだけで、当時のソ連がポーランドにかけていた圧力や、自由に恋愛することすら難しかった時代を感じとることができる
画面はモノクロだけど、色がないことを感じさせないぐらい、イキイキと輝いている
映像も、音楽も、彼らの恋も、その全てが美しい映画だった
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