「世界の矛盾が子どもに集約される」存在のない子供たち マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)
世界の矛盾が子どもに集約される
是枝監督『誰も知らない』へのオマージュ作品と受け止めました。
子どもの演技と、その子どものリアルが重なると
どんな名優の演技をも超える何かが生み出されるような。
ドキュメンタリーでは描き切れない、
フィクションでは届かない
リアリティーがそこに立ち現れる。
それは、奇跡的な、という言葉で形容したくなるものではあるのですが、
そうではなく
その映画を生み出すスタッフの
為せる技なのだと、
素人ながらに、解釈します。
シリア難民
不法就労移民
レバノンの家族の貧困
届かない救済
そんな社会・政治状況をにじませながらも
その中で生き抜く少年ゼインに
監督の目は向けられています。
ゼインから見える世界の不正義の象徴は
子を育てる責任を果たさないのに子を産む親。
自分を産んだ親。
でも、その親も弱々しく言います。
私たちは被害者だ。
遠いレバノンの現在に
思いを馳せながら
この国の現実にも
思いは至りました。
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