「両親の身勝手さを息子自らが法廷で訴えた秀作」存在のない子供たち 突貫小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
両親の身勝手さを息子自らが法廷で訴えた秀作
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レバノンを舞台にした作品だけに、息の詰まる作品であった。ゼインが法廷で発する言葉の一つ々々が驚きであった。極貧生活を強いられる家族のいきつく暇のない毎日に、観ている自分も、とてもじゃないが平常心ではいられない。暮らしを楽にしようとサハルを「身売りまでして」自分たちの生活を守ろうとする。戦前の日本も、世界恐慌の煽りを受け、自分の子供を売りに出して生活していた。そんな時代が、未だ平然とおこなわれいるとは、あまりにも酷な時代に生きていることであるし、このような時代に生れてこなけれいけない、逃れられないということには、世間は変わりつつあると思われていたが、それは先進国のことであり、貧富の激しい国においては何ら好転していないことに身につまされる。
ゼインの「僕は今、地獄を生きている」という逃れられない現状を、私たちは、「映画」という媒体で、氷山の一角として知るしかないことに、ただの「虚しさ」と、本当に存在する「カオスの世界」を垣間見ることだけしか出来ない。そして、自分がいかに非力であるかを思い知らされた。
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