バハールの涙のレビュー・感想・評価
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複雑な背景を持った民族を題材に普遍的な人類の間違いを描いた
イラク北部のクルド人自治区のヤズディ教徒の女性兵士が描いた作品なのだが、このヤズディ教徒の置かれた政治的立場がまず複雑だ。まずイラク政府とクルド人の対立がある。独自の国家を持たず国境をまたがって自治区を構成しているクルド人は自分たちの国を持つのが悲願だから周辺濃くと常に緊張関係にある。クルド人の大半はムスリムだが、そのクルド人の中の少数民族がヤズディ教徒だ。彼らはしばしばムスリムとは対立関係になるので、少数民族の中のさらなる少数民族のような立ち位置で、中東の民族だがムスリムではない。そのため、イスラム系武装勢力とはしばしばぶつかり合う。
しかし、本作で描かれるのは戦場での性搾取に立ち向かうために武器をとった女性たちだ。性的搾取は、世界のどこでも起きている「普遍的な間違い」である。主人公は家族を奪われた。奪われたら人は戦うしかなくなる。人類史の繰り返すの過ちを強烈なリアリズムで描いた傑作だ。
息子救出のため戦う母。その悲壮な決意に胸を射抜かれる
静かな村がISに襲撃され、夫や親を目の前で殺されて、女性たちは拉致され性奴隷に。さらに奴隷市場で売買される。しかし自暴自棄になることなく、勇気を振り絞って命がけで脱出。だがそこで話は終わらない。やはり拉致され兵士養成施設にいる子供たちを救い出すため、母親たちが自ら兵士となり戦場に向かう。なんという壮絶なストーリー!
端正な顔立ちのゴルシフテ・ファラハニが演じるバハールは架空のキャラクターだが、エバ・ウッソン監督はISに拉致されたクルド人女性たちに取材しバハール像を創り上げた。クルド人の苦難の歴史や、アラブ社会でISが行ったことについて、予備知識があればプラスにはなるが、知らなくても問題ない。子を思う母の強い愛という普遍的なテーマを描いているからだ。
アメコミヒーロー映画でも女性が主人公の作品がぼちぼち作られているが、バハールと「太陽の女たち」こそリアルなスーパーヒロインだ!
男は虐殺され女性は性的暴行に晒される戦争。子供は拉致され戦闘員にされる。
「戦地の情報は1回クリックしてそれきりよ。殆ど無関心なのだから」紛争地を取材する女性は呟く。
シリア戦ではアメリカの尖兵となって活躍したクルドは、トルコから虐待を受ける国のない民族。ISから、男は虐殺され女性は性的暴行に晒され、子供は拉致されて戦闘員にされるのは、相手に大きなダメージを与える内戦の常識。
イランの女優ゴルシフテ・ファラハニが、悲しみを秘めた勇敢なクルド人女性武装部隊のリーダーとしてなかなかの味を出している。
人種なのか、宗教なのか?
毎回この手の作品を見て「何でこんなにややこしいの?」と不思議でならない。
他の人の解説の通り、島国の我が日本では理解できないかもしれないが、片手でスマホをポチポチするこの時代にいくらなんでも拉致したり、奴隷にしたりの思考回路が理解できない。
ただただ不快であるが、それも現実に今も世界で起きている事として認識しなければならないのだろう。
描かれているのは、女としての強さや、優しさ、それは戦士としても記者としても描かれており、非常に素晴らしいと感じた。
しかしながら戦場の緊張感や、戦闘員とは程遠い(訓練されているわけではないから当たり前だが)あたりが逆にリアリティーがあった。
ゴルシフテ・ファラハニの至極の一本
個人評価:4.2
ある日突然アイデンティティを奪われる女性達。女兵士を扱った稀有な作品で心動かされる。誇りを持っていれば死など怖くない。そのメッセージが強烈だ。チカラで奪われた自由と息子をチカラで奪い返す。最後のAKを手にし手を挙げるバハールの仕草に報復の連鎖を想像する。
ゴルシフテ・ファラハニの至極の一本。
KAMIKAZEって…
フランス人記者の視点を交えながらもクルド人女性兵士の視点でクルド人対ISの出来事を描いており、その視点の置き方が非常に効果的だったと思います。
日本でも報道はされていましたが、やはり映画で観るのと新聞で読むのとでは感情への働きかけが全く違う訳で、映画というフォーマットを非常に上手く使っていると感じました。
本編とは全然関係ありませんが、自爆兵の事をKAMIKAZEと呼んでいるシーンがあって、色んな意味でとても印象に残りました。
女性監督ならではの視点と配慮
舞台の背景をよく知らないと本当の意味でこの映画が
理解できたとは言えないかもしれない
けれど、心に響くものがあります
男は殺されるか拉致されて、女は性奴隷
その場にいても抵抗してもどのみち殺されるかもしれない
明日の命の保証がないのは世界のどこでも同じですが
毎日を生死を分ける緊張感の真っただ中で過ごす人々
そんな現実がネットで「ワンクリック」した記事の中にはある
「真実に、意味はない」とバハールは言う
けれど戦場記者マチルドや
TVで逃亡女性たちの保護を約束、促す女性のように
真実を世に伝え、危険を顧みず行動を起こす人もいる
それもまた、痛みをわかる女性たち
先日見た映画「アナイアレーション 全滅領域」も
女性だけの調査隊の話で面白かったけれど、この映画は
監督が女性だけあって、踏まれても踏まれても
ただ蹂躙されるままか、それが嫌なら
戦うことを選択せざるを得ない女性戦士たちの
心理が深く描かれています
印象的だったのは、安全地帯へあと一歩の拠点で
身重の女性戦士に陣痛がきたのに
「産むな」と言い捨てる男性戦士と、
寄り添って支え、
「(安全地帯に)たどり着くまでの30歩が人生で一番大切よ」、と
励ますバハールの違い
彼女は女性部隊のリーダーで、周りから頼られる存在ですがまた
彼女自身も心のよりどころを拉致された息子救出に置いていて
結局のところ、人間はひとりでは生きていけない
という事に気づかされる
女性監督ならではの配慮だと思いますが
目を覆うような残酷なシーンや過激な描写が無いのが良かった
それでもこういうメッセージは伝えられるんだな・・・と思った
役者も好演
フランス映画は物事の本質を捉えようとする傾向が強いと思う
地味だったり重かったりするけれど、フランスやメジャーでない
国の映画が結構良い出来で、面白い
ハリウッド映画のお気楽感もいいですが
時々こういう重厚な映画を観たくなります
映画は普段、プロジェクターを使って大画面で観ています
結構安くても性能良いのもありますし
臨場感抜群で、お薦めです
恐ろしい現実
世界ではこんなことが起きているのか…ニュースでは知っていたけど、確かにワンクリックし、どこか遠い国で起きている大変な事、次の瞬間、忘れている…自分達と同じ様な一般人、元弁護士がある日突然ISに夫を殺され、息子を奪い取られ、性奴隷にされ、転々と売られていく。息子を奪い返す為に女戦士となる。多くの女性が戦士になる。作り話ではなく現実。奴隷屋敷から身重の女性を助けながら、逃げ出すシーンはかなりの緊張感があった。ラスト息子を救出できて良かった、その涙で良かった。しかし、なぜISはこの様な殺戮をするのか、全く理解できない。人間の強欲、憎しみの連鎖、計り知れない。
2014年8月3日イラク、クルド人自治区から始まる
パキっとしたクリアな映像
公式サイトより
本作はイラクのクルド人自治区で2014年8月3日から2015年11月13日に起きた出来事に着想を得ている。8月3日の夜、IS【イスラミックステート】がイラク北西部のシンジャル山岳地帯の村々に侵攻。シンジャル山脈という天然の要塞に守られ、ヤズディ教という独自の宗教への信仰を守り続ける人々が暮らす地域で、彼らの大量虐殺が奇襲攻撃の目的だった。24時間で50万人の市民が脱出。逃げおくれた人々は殺害されるか、拉致された。やがて、ヤズディ教徒、クルド人武装勢力、クルド自治区政府軍は、抵抗部隊を組織し始め、女性の戦闘員だけで構成された武装部隊も前線に立った。【女性に殺されたら天国へ行けない】と信じるイスラムの戦闘員は、彼女たちを恐れていた。
一方、女性ジャーナリストのマチルドは、片眼を失明しPTSDを患いながらも世界各地の紛争を報道し続けたメリー・コルヴィンと、ヘミングウェイの3番目の妻で従軍記者として活動したマーサ・ゲルホーンがモデルになっている。
荒涼とした大地と不穏な音楽のオープニング
民兵のせいか統率がとれていない
おばさんジャーナリストも気合入ってる旦那は死んだみたいリビアで地雷踏んだ
娘おる、娘だけが生きがい
過去に戻る
「腹が減ったら自分の子供を喰え」
小さい息子攫われた
パターソンの奥さんがバハールか
戦闘開始
カミカゼいうた
地雷が敷設された地下道を行く
女性7人隊
女 自由 命
捕に地下道を先導させる
歌うの好きなのね
花柄のスカーフ
自由クルディスタンバンザイ
拉致されて4回売られた
高く売れるのは10歳ぐらいの娘
ダリアサイード
電話と充電器を見つけて
産むなって男は勝手すぎるな、値上げしてるし
ラミア人生で一番大事な30メートルよ
路上出産
何故戦闘に参加を?
何故戦闘に参加しないの?
1回クリックして終わり、真実は必要とされていない
でも真実を伝え続けないと
11月13日
少年兵!
良かった、武器を置いて逃げてくれた
吹っ飛んだ
ファーストシーンに戻った
息子と再会!
バハールに涙が
傷を負い帰路に着く女性記者のエピローグが全てを物語る
女性が戦う話
真実の話
一晩に女子供合わせて7千人が攫われ性奴隷にされる
タイトルなし
ISと戦う女性たち
リーダーとして闘うハバールの姿を
戦場記者マチルドの目を通して映し出す
.
2014年8月3日~2015年11月13日に
実際に起きた出来事から着想を得
監督自らイラクのクルド人自治区に入り
女性戦闘員たちを取材し描いた
.
.
中東…クルド人・IS…
ニュースに流れても全くわかっていない😣
🤔…まずはここから
【クルド人とは】
トルコ・シリア・イラク・イランなどにまたがり暮らしている約3000万人の民族
共通の言語や習慣はあるが一度も自分たちの国を持ったことがなく
「国を持たない最大の民族」と呼ばれ
多くの人々が複数の国境にまたがっていることからしばしば周辺国にゲームの駒として利用されている
.
世界はコロナ禍だけど
今も闘いは続いているのだろうか…
💻️中東問題難しい
闘うおんなたち
私は戦闘員ではない。
私も戦闘員ではなかった。
重い。
あきらめないで。
昼でも夜でも、
電話してきなさい。
重い。
人生で最も重要な30メートル。
遠い。
平時であれば、
軽い言葉、近い距離なのに、
あまりにも重くて遠い。
倒れても後を継ぐ者がいる、
人間のあり様に抗う希望のために、
闘う女たちの姿と歌声に震える。
イスラム国(IS)の恐怖
イスラム国の虐殺によって町の男性は皆殺しにされ、子供たちは兵士養成の為、女性は性奴隷として連れ去られる。
主人公のバハールは弁護士であって、戦闘などとは無縁の生活だったのに、夫を殺され、息子と引き離され、逃走に失敗してリンチを受け、諦めずに逃げ出し、数ヶ月後には女性戦闘員のリーダーに。なんて強い女性なんだろう。
同行したフランス人記者マチルドも、記者の夫を亡くし、自身も片目を潰しても使命を全うするために同行する。この映画に出てくる女性はみんな強い、強くならないと生きていけない過酷な地。
日本人も捕らえられ、オレンジの服を着せられて、という映像がニュースで流れたのもまだ記憶に新しい。クルドの女性戦闘員もニュースで目にした。ISの最後の占領地を奪還して2年程。でもISの別の勢力が今また力を蓄えているらしい。占領地を持たず、イラクのハムリン山地に潜伏しているとのこと。アルカイダのように。いつまたテロを起こすかわからない。中東だけではなく、世界各地が標的になるから本当に恐ろしい。
何千年も抱えてきた宗教の問題は解決することは不可能だろう。解決法はあるだろうか。
女に殺されたら天国に行けない
女性武装部隊を描いた珍しい戦争映画。とにかくISは悪くてアメリカは味方だというメッセージがいまいち気に入らない部分ではあったけど、夫を失い戦い続ける姿には共感できる。一夜にして7000人の女・子供が連れ去られ、半数は逃げ出したものの、残りは性奴隷とされてしまうとか・・・
どこまでが事実に近いのかもわかりませんが、あってもおかしくない設定。中東やアフリカなんてのは子供が銃を訓練する映像もあるんだし、愛する者を奪われたらそうするしか生きる道がないことも理解できる。
バハールと仲間たちは勇ましい姿で銃を放つが、一方フランス人記者のマチルドは絶対に銃を手にしないという記者魂に溢れる姿を描いていた。真実を世に伝えることが使命だとし、同じく戦場カメラマンだった夫も亡くし、自らは被弾によって左目を失っている。それでも戦場に立って、彼女たちを撮り続けるマチルド。どちらかと言うと、このマチルドの信念の方が好きだったりする・・・
戦死するよりも恐ろしいこと
戦って死ぬのは本望、むしろ悲惨な現実を黙って受け入れることのほうが恐ろしいという世界に身を置いた女性戦士バハール隊長。希望とか未来とか将来なんて言葉はこの世界にはなく、彼女たちが望むものは自由のみ・・
恵まれた境遇で将来のことを漠然と考えられる日本に産まれた自分に引け目を感じるような壮絶なバハールの生き様に頭を垂れる。
すべての男たちへ
ISに襲撃され、家族を奪われ、性奴隷にされたヤズディ教徒の女性たちの、尊厳を取り戻すための戦いを描いた作品。女性のためというよりは、むしろ全ての男が目を背けずに見るべき映画だと思う。男達が女性を抑圧して作った世界はこのザマだ。
私たちの死が命を産むだろう
銃を向けながらも、闘志がふっと抜けるときのファラハニの表情が良かった。主眼は人間としてのあり方。アクションエンタメにされかねない題目だが、そうしなかった作り手の良識に拍手。
女に命と自由を!!
ISに立ち向かうクルド人女性武装部隊リーダー「バハール」の物語。彼女が戦場に赴く過去も含めて語られる。
ISに関しては日本人記者も関与し多大な印象を残したテロリスト集団。
しかし、現地の人達がどうしてISに関わり、そして戦ってきたか等は語られる事はほぼ無かった。
どこまで史実に忠実かは不明だが、ISに襲われるまではクルド人自治区の生活は子供も集まって遊べ、皆が飲み食いしてパーティを楽しむ平和な土地だったなんて知る余地も無く、考え深いものが前半から観て取れた。
また、女性部隊は決して強い訳でも無く、バハール以外は何となく戦闘に狩り出されたごく普通の女性陣と言うイメージだが、それも逆に嘘っぽく無く良かった。
女性部隊を鼓舞するかの様な唄は心に強く響き、ラストの女性記者からのメッセージは未来に残すべきもの。
(戦争ものなので気分を害するかも知れませんが、)男性が観るよりは女性の方が考え深いものがあると思いますので、女性の方々にも是非観て頂きたい作品です。
ドキュメンタリー?
イスラム国に立ち向かう女戦士と側で取材するジャーナリストを追った作品。
映画の面白みを際立たせるような技法などはなくただ戦地の状況をリアルに淡々と伝えるドキュメンタリーに近い映画だと思う。
唯一ハラハラドキドキしたのは敵のアジトからの脱出劇のシーン。
映画を楽しむという点では物足りないが情報をリアルに感じることが出来たのは良かった。
全58件中、1~20件目を表示