「サスペンスをもう少し」誰もがそれを知っている 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンスをもう少し
妹の結婚式に出席するために、娘のイレーネたちと故郷の村に帰ってきたラウラ。父、姉、義兄、その娘、幼なじみのパコなどが、次々に登場し、抱き合い、おしゃべりする様は、いかにもヨーロッパ映画(特に地中海側の)。
しかし、ラウラの娘が誘拐されてからは、親しい者どうしの疑い、詮索、因縁など、互いの心の底を抉るような展開へとぐいぐい進んでいく。まずい方向に行っていると思いつつ、話に引き込まれる。
ただし、誘拐サスペンスとして見ると、ずいぶんのんびりしていると感じられる面も。描きたいのは、あくまで人間の葛藤のドラマなのだろうが、娘の捜索や犯人との接触を試みないことが物足りなかった。
誰もが知っている「それ」が真実であることが明らかになり、パコはある種清々しいようだが、娘のイレーネにとってはどうなのだろうかと、見終わった後にふと思った。
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