「長尺と風と匂い」凱里ブルース ヨコヨコさんの映画レビュー(感想・評価)
長尺と風と匂い
何を見せたいのか、何を見せられているのか、はっきり言ってよく分からない。ある人に渡してと老女医に託されたシャツとテープ。シャツは自分で着ちゃうし、テープは人にあげちゃう。飛び入りした歌も上手くないし、バイクタクシーの青年は探しに来た甥と同名。
これは、長い長い夢なのか?
チェンの辿ってきた旅路は、夢と現の間を行き来するものなのか?
スクリーンを通して熱帯地方の湿り気と、濃い緑の匂いを感じる。田舎にしては綺麗に舗装されたアスファルトの霧の道を、ふわふわと走るシーンが好き。
バイクタクシーに乗ってスルスルと登る山道も好き。よく分からない、でも、ひたすら心地いい。鏡を通しての長回しも、オシャレだと思った。複数回あったので、監督は多分好きなんだろうな、この撮り方。もしくは長尺のテクニック?
汽車に描かれた時計によって、時が巻き戻ったのだろうか。過去も現在も未来も、実は曖昧なものなのかもしれない。
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