「【”毎日に夢中だから、息をしている事さえ忘れてるんだ・・” 一人の少女の詩が多くの人に齎した様々な奇跡。どのような状況でも、上を向いて生きる事の大切さを描いた作品。】」愛唄 約束のナクヒト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”毎日に夢中だから、息をしている事さえ忘れてるんだ・・” 一人の少女の詩が多くの人に齎した様々な奇跡。どのような状況でも、上を向いて生きる事の大切さを描いた作品。】
<Caution! 下記、内容に触れています。>
■今作の印象的な点
・余命三カ月を告げられたノミヤトオル(横浜流星)が、ビルから飛び降りようとしたとき、声を掛けてきた男。彼は、・トオルの高校時代の友人でバンドデビューしたが、売れずに燻っていたサカモトタツヤ(飯島寛騎)だった。
タツヤは、トオルの病気を知るが、”お前、まだ生きてるじゃん!”と、敢えて明るく振舞い”余命までの時間を有意義に使うように、余命までの時間を腕時計にセットする。
- この、タツヤが友達想いのとても良い男である。
自らもバンドを続けられなかった屈託感をもちながらも、明るく、タツヤを励ますのである。
更に彼は”ある仕掛け”もする。再後半に効いてくる”仕掛け”である・・。-
・トオルが、相変わらず、俯きながら歩いている時に拾った伊藤凪の詩集『K』。そこには、”生きる喜びの言葉”が詰まっていた・・。思わず、その世界観に取り込まれていくトオル。
この詩集の持ち主で、何度も何度も読んでいた、元女優のアイカワヒロノ(鳴海璃子)。彼女は高校生の時に女優デビューを果たすが、クラスメイトの陰湿ないじめにより、女優を辞めていた・・。トオルは詩集を落としたアイカワヒロノに詩集を返そうとするが・・
- ここまでのシーンで、”この作品の構成”は、類推出来る。ここを良しとするかどうかで、この作品の評価は変わると思う。私は前者である。-
・トオルはタツヤのススメもあり、駄目もとで、ラインでヒロノを食事に誘う。そして、まさかのOKの返事。
ヒロノは、有名な女優(中山美穂)から、芸能界復帰を勧められていた。ヒロノは最初は断る・・。
ー けれど、トオルはヒロノの本当の気持ちが分かっていたのではないかな? それで、身を引いたのではないかな? 余命三カ月の自分の状況も考えて・・。ー
・早逝したと言われていた、伊藤凪(清原果耶:物凄い女優さんになられていく・・)は、生きていた! けれど、重度の血液の病気にかかっている彼女は、高校にも行けなかった・・。
- 凪とトオルが”偶然、出会い・・、”お互いにドンドン惹かれあって行く姿が素敵である。トオルは凪に高校生の服を送り、二人で高校にコッソリ乗り込んだり・・。高校生活を送れなかった凪のために・・。トオルの表情がドンドン明るくなっていく。
凪が高校の黒板に書いた公式。
(I+Y) 2
K(Kimochi)=( ----------- )
(I-Y) -
・凪は、”私、やっぱり朝日が見たい・・”と言い、トオルは凪を連れ出すが・・。
・トオルは病室のベッドに横たわる凪に対し、初めて自分の気持ちを口にする・・。
<『公式の答:可能性は、無限大』
身体は滅びても、凪のトオルへの想いを込めた詩は、美しき曲となって、永遠に人々の中に残る。
病院の屋上で、トオルに向けて”愛唄”を歌う、タツヤの姿にイロイロと考えさせられる。”無償の献身” それは、自分も・・。
そして、ヒロノは、凪とトオルとタツヤの想いを受け、再び上を向いて歩きだした・・。>