ビリーブ 未来への大逆転のレビュー・感想・評価
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人を動かす説得力とは?
『説得力』
根拠のない個人的な感覚による偏見かもしれませんが、説得というと日本では、情に訴えて相手方の気持ちや判断を変えてもらう場合が多いと思います。だから話を聞いた側も、「気持ちは分かるが、、、」と話の内容や論拠よりも、やはり情緒的な態度や言葉で返すことになる。
また、論理的で根拠のある説明ができる人を、頭でっかちで理屈っぽい、と決めつける人も決して少なくないような気がします。そしてそういう決めつけをする人に限って妙にプライドが高く、相手を認めることを自分の敗北のように勘違いし、頭からはねつけることすら珍しくありません。
そして、本作に出てくる判事の人たちも男性としての旧弊や慣習に縛られた、いかにも頑固なひとたちのように見えましたが、一方で訴えの論理性や時代の変化を認める度量は持っていたということになります。何が彼らを動かしたのか?
古代ギリシャ・ローマの時代から有名なリーダーや哲学者の言葉を記録、そしてその説得力が時代を作ってきた歴史を学んできた欧米の法曹界の人たちは(たぶん現代でも法科の一般教養で習得してると思います)、それを学んだプライドがあるからこそ、判決の歴史的な意義を認識した時に、変わらないことよりも変わることを選択できたのではないでしょうか。
勿論、訴えを起こしたフェリシティ・ジョーンズ演ずる弁護士自身が、過去100年の判例を誰よりも学習・研究したからこそ、歴史的意義のある判決となることが強い説得力として機能し、男性社会に風穴をあけることが出来たのだと思います。
逆説的なことをいうと、歴史から何も学ばない政治家が国のリーダーになった時、過去の戦争の過ちについて周囲がいかに説得しようと、歴史的な意義を理解できないまま、再び誤った選択をすることも起こり得る、ということになります。
映画館で見る必要はない。
悪い作品と言う意味でなく、家でゆっくりじっくり見たほうが理解できると思います。
女性の権利や地位が弱かった時代で、その時代に抗うギンズバーグ家の物語です。
女性弁護士を目指すも社会が認めてくれずなれないルース。
難病を乗り越えて優秀な弁護士として働くマーティ。
この二人を中心に話を進めていき、のちに母親のルースと喧嘩を繰り返しながら成長していく娘のジェーンが良いアクセントして登場してきます。
序盤でマーティが病気になり生存率は5%と言われ落ち込みながらも強く前を向いて生きていくルース。
この時は「博士と彼女のセオリー」とか「ビューティフルマインド」的な感じで進めていくのかと思ったんですが、あくまで情報の一部として処理されてあっさりと治っちゃう。
実際には大変だったと思うので映画でもこの部分をもう少し取り上げても良かったのでは?
そこを取り上げると映画のテーマの「性差別」を描く余裕が無くなるかもですが。
そして私の中で評価があんまり高くない最大の理由は、議論のテンポがとにかく早いことです。
この映画は会話というよりは議論をするシーンがとても多いですが、聞き慣れない裁判事例や法律の用語が多く出てくるのであんまり頭の良くない私は理解するのに大変でした。
英語も分からないので字幕をしっかりと見てないと何の話をしているのか分からなくなってしまうので演技を楽しむ暇も少なかったです。
なので、最初に言ったように家でDVDを止めたり巻き戻したりしてみた方が理解するのには良いと思います。
最後のご本人登場もキザ過ぎるかと。
性差別を撤廃したかったのか、ただ自分を認めて欲しかったのかよくわかりませんでした。
良い点はアミーハマーがずっとカッコ良いとこでしょうかね。明るくイケメンで難病も治っちゃって弁護士として優秀で家族思いで料理上手とか完璧すぎ。
あと、序盤のルースが家に帰ってきた時の短いカット割りは面白いと思ったし好きでした。
こんな感じですかね、何度も言いますが家でゆっくり見ることをオススメします!
偏見か慣習か
アメリカで、1970年代まで、男女を差別する法律や判例が200近くもあったとは、驚かされた。
グリーンブックは、60年代の話だったはずだから、やむを得ないかと思いつつも、アメリカは、第二次世界大戦後の日本を民主化するにあたって、男女は平等だと強く説いた国だったはずだ。
日本は、後に雇用機会均等法もあって、雰囲気男女平等なのだが、慣習的に男女差別は今でも社会に根強く残っていて、国会議員や地方議員の軽口や馬鹿げた発言を聞いていたら、それは一目瞭然だ。
だが、アメリカのケースを考えると、日本と若干異なって、慣習というより偏見が、昔々に法律にまでなっていて、判例もそれに倣っていたのかなと。
基本的に人種差別が行われていた国だから、そう思ったのだが、そんな状況で、更に女が法廷で闘うだみたいな偏見も加わって、よく挑み続けたものだと、少し胸が熱くなった。
だが、同時に、これを経て、徐々にでも状況を変えていくアメリカにも実は感心した。決して、理想のために闘う人を排除しないというところにだ。
80年代、僕の通っていた法学部法律学科は、80から90%が男性で、ゼミも大学の意向で、女性の割合は学部の男女割合に沿うようにしてと大学側から言われていたそうだ。
しかし、ゼミの先生は、女性の方が真面目で勉強ができるものだから、女性の割合を若干でも多くするようにして、ゼミのクオリティを出来るだけ高く維持し、男性はダメだなと何度も言われていたことを思い出してしまった。
長年働いてきて、僕が一番尊敬するのは、アメリカのある会社の女性のCEOだ。残念ながら、若くして病気で亡くなってしまっているが、合理性とパッションを大事にする人だった。
大きな大きな日本の会社の役員と面談しても実は謙虚で忍耐強い人だった。相手が、あからさまにちぇっ女かみたいな態度でもだ。その大きな大きな日本の会社は、凋落著しい。
LGBTも叫ばれる時代だ。
差別が、なぜ生まれるのか、慣習だろうか、偏見だろうか。実は、僕はどちらでも構わなくて、ただ、人間同士でアイデアを出し、より良い方向へ向かいたいと願っている。
分子生物学者の福岡伸一さんが、生命だけがエントロピーの大原則に抗っていると言っていた。
であれば、僕たちの生きる社会も、合理性に従って整理整理整頓されたルールの下でやっていけるハズじゃないだろうか。
邦題がなかなか
好感の持てる良作。
「スターウォーズ ローグ・ワン」主演のフェリシティ・ジョーンズが主役という事で観たのですが、思いのほか内容に魅せられた。現在連邦最高裁判所の判事である、ルース・ベイダー・ギンズバーグさんの伝記的物語なのだけど、映画としてはドラマティックに、性差別というデリケートな問題に関しては鋭く突いた、両方の塩梅が見事。
MeTooの流れといえばそうなのだろうけど、その源流の物語で、不屈の魂を持つ女性の前半生を丁寧に描いている。女性差別が当然という時代に大学の法科を出て、弁護士事務所も女性というだけで雇ってくれない時代に、葛藤を抱えながらも不屈の精神で前に進む姿が爽快だった。男社会の文化や法律、制度と闘う訳なのだけど、あくまでしなやかに自分を貫く姿がガンジーのように映る。家族との行き違いや、それを超えた支えを軸にしながら、差別の蔓延する社会的な課題を掘り下げて、画面の中で見事にまとめていく。
もちろん、フェリシティ・ジョーンズの魅力もとても活きていた。ローグワンの時もそうだったが、芯の強い、パワフルな女性を演じても、決してスーパーウーマンとはならず、どこか親近感が湧く愛らしさを併せ持つ、不思議な感じを持った女優さんで、これからも期待。
ちょっと古い感じがする邦題だけど、見終わった後に納得するでしょう。
女性とすべての人間へのエンパワメント!
素晴らしかった!現在の日本で裁判官が酷い判決を出す一方で、1970年代のアメリカでこうやって戦う女性が実在して、今も闘っているのかいるかと思うと胸が熱くなる!男女が平等ではないことはおかしいと、男だらけの中で学ぶことを武器として戦う格好良さよ!
主人公のルース・ギンズバーグはフェミニストとして象徴的な人物だけど、女性の権利を拡大して我が物顔したいなんて思っていない。ただ同じ権利を女性にも男性にもあるべきだという訴えをしている。国の補助や特定の職業を誰かの特権ではなく、皆のものにしようというだけ。ここがとても重要だ。勤勉で、情熱と怒りの炎をどちらもずっと心の中で静かに燃やし続けているルースを演じているフェリシティ・ジョーンズ、素晴らしかった。
ルースの夫役であるアーミー・ハマーも凄く良かった。同じく弁護士なんだけど、家族としても弁護士仲間としてもルースと共闘しているのがよく伝わってくる。また、男性だって男性らしさに縛られているから差別は良くない、という視点を持ってこれるのが映画としてうまい。
でも一番いいのは、仕事も子育ても家事も積極的で、ルースのことを愛している夫のマーティでさえ、普段ルースが女性というだけで、どんなに酷い差別に遭っているか、完全には気づいていなかったこと。あんなに素晴らしい人でさえ、分からないことがあることを示していたのが映画として素晴らしかった。彼ださえそうなら、ぼーっと生きてる私はどうだ?あなたはどう?気づいてる?無視してるか、意識にものぼってないんじゃない?そういうことを言われているように思えた。
だからこそ、そこでどうせ当事者のことなんかわからないんだ、と投げ出すのではなく、理解しようと努力し続けることが大事であることを、この映画でアーミー・ハマーの役がそれを伝えている。とても重要な役割を演じている彼の演技、本当に良かった。フェリシティとのバランスも絶妙。
ルースと娘とのやりとりもまたぐっとくる。世代を超えて、やり方は違っても心は同じであること、親子ものとしても女性同士の連帯としても観ることが出来た。
この映画は学ぶこと、理解しようとすること、行動すること、それらはどれも大事であることがきっちり示されている。いわゆる勉強というだけでなく、知ることで生きるために使える武器が増えていくこと、行動することで周りも動くことが明確に見えてくる。私も何かやりたくなるような力をもらった。
女性同士で
試写会にて観賞
リーガル物であるがゆえに、セリフのほとんどが難しかったです。
特にルースは賢いので、討論の際の言い回しや単語自体が難しくて字幕を追うだけで頭が疲れました。
ハーバードの教授には本当ムカつきましたね。
個人的には娘とのからみがグッときました。
「私は無視なんかしない!」と言い切る雨の中のシーン。
部屋で娘に「諦めないで」といわれて思い直すシーンは母と娘の親子の絆や、女性同士の絆が感じられて感動しました。
やはり題材的に女性同士で観に行った方がいい映画かもしれません。
性差別撤回を争った社会派エンタテインメント
1950年代はじめ、ユダヤ人家庭に生まれたルース・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)は晴れてハーバード大学の法科学生となったが、この時点で彼女は既に同じくハーバードに通うマーティン(アーミー・ハマー)と結婚し、子どもも授かっていた。
女性には弁護士への道は閉ざされていた時代。
彼女が得たの職は、黒人差別とのバーターのような黒人教授の代用としての教授職。
それから日は経ち、1970年代、世はベトナム戦争反対の嵐の中。
そんな中、彼女にある裁判を争う機会が訪れる。
それは、母親の介護費用を必要経費と認められなかった男性を原告にしたもの。
当時、介護費用を必要経費として認められるのは、税制上、女性に限定されていた・・・
という物語で、人権問題を扱った社会派映画だけれど、それを米国流のエンタテインメントとして魅せていく作品。
映画は、とにかく、脚本がよく練れている。
そりゃまぁ、ルース・ギンズバーグは実在の人物(それも存命中)だし、争った裁判も実際のものだけれど、それを、そこまでも含めて、どう見せていくか、というのが映画をつくる側の腕の見せ所。
本題の裁判に入るまでに、ルースが置かれた境遇を巧みに、じっくり、かつテンポよく描き、中心となる事案を、女性の問題としていないところがホント巧み。
原題「ON THE BASIS OF SEX」(性に基づく)のとおり、性差は文化であり、両性をどうとらえ、どういうように扱えばいいか(正しくは「都合がいいか」)という考えに基づいている。
そこのところを、有無を言わさぬように、原告が男性、という点で、突破口が開けたとのだと改めて思う。
いつもは、やや硬質な(というか能面のよう)感じで、あまり演技に奥行きを感じさせないフェリシティ・ジョーンズだが、今回は好演。
生来の硬質なところに加え、若干のメイクが今回は功を奏している。
アーミー・ハマーは相変わらず声がいい。
この声で弁が立つとなると、弁護士にうってつけ。
アカデミー賞作品賞を受賞した『グリーンブック』に引き続いてGAGA配給だけれど、同じような路線で観るといいかもしれない。
ただし「未来への大逆転」というサブタイトルは、いただけない。
最後の最後に、ルース本人が威風堂々と登場します。
反トランプ&#MeToo運動を反映した作り
アメリカでは知らぬ人はいない、RBGことルース・ギンズバーグの半生を描いた映画が製作されたのは、トランプ大統領政権が無関係ではないはず。
連邦最高裁判事の中でもリベラル派筆頭とされる彼女ゆえに、反トランプ色が濃すぎな感もなくもない。
それゆえ、良く言えば堅実、悪く言えば面白みがない作りとなっているのは否めず。
ついでに言えば、邦題が抽象的すぎて画竜点睛を欠いているのが残念。
ただ、おそらく製作のきっかけの最大要因は#MeToo運動だろうけど、本作はよくある女性差別のみならず、秘められた男性差別にも踏み込んでいるのがポイント。
つまり、約40年以上前にRBGが訴えた本当の意味での男女・人種平等の時代は、いまだに訪れていない。
『女神の見えざる手』でも主人公の敵対者的役だったサム・ウォーターストンが、ここでも似たような役で笑った。
あと、ACLUのトップ役のジャスティン・セローがイイ味出してる。
アメリカでもそうだったか
アメリカで人種差別的な話は聞いていたが、女性軽視的な風潮がここまでひどいとは思わなかった。弁護士になりたいきっかけは分からなかったが、男尊女卑を変えようとする意気込みは伝わった。法廷で夫を頼りなく見せたのも憎い演出でした。
#billboard japan
正義は必ず勝つ!
法律が国民の自由を制限させているとは、考えもしませんでした…。
法律は自由のためにあるべきではなかったのでしょうか?
法によって社会のルールは作られ、法によって多くの人が救われるべきはずが、多くの人が法律によって苦しめられることになるとは…。
時代は変わって、男女平等社会になっても、何百年も前からある法律は変わることなく今も存在しているようです。
自由を勝ち取るための法律が、人々にとって自由を奪う制限を生む邪魔ものへと変わってしまうという悲劇。
社会の変化に対応できない法律なんて、法律じゃなく、ただの化石だと思います。
その制限を断ち切るべく立ち上がったのが、1人のユダヤ人女性。
小さい頃から様々な制限や差別を経験してきた彼女だからこそ、性差別という問題に勇気を奮って立ち向っていきます。
子育てと夫の看病をこなしながら、弁護士の勉強までするという、エネルギッシュな彼女。
これまで性差別問題は、何度も敗訴となってきただけに、勝訴に持っていくのはかなりの至難の技。
それでも彼女のそのバイタリティさで、自由を守るために、必死に訴え続けるのです。
今回弁護士役を演じた、フェリシティ・ジョーンズさんの演技が本当に素晴らしかった!!
男性優位の世の中、小柄な身長でも、男性に気後れすることなく、夫と二人三脚で差別を訴え続ける正義感溢れる姿に感動しました。
地道にコツコツと女性が訴えることで、いつか本当の平等社会になることを願います。
そして、この映画で仕事や家庭に悩む女性たちに、勇気を与えてくれればいいなと思いました。
アカデミー賞を取った『グリーンブック』といい、差別という社会に敏感になっている昨今。
今こそ、チェンジ=改革の時代が訪れている気がしてなりません。
すべてに疑問をもて
#ビリーブ 未来への大逆転
オンライン試写会にてお家で一足先に鑑賞🎶
男が上、女は下それが当たり前の世の中で、間違っていることに「間違っている」と言うことすら難しい。そんな中でのルースの苦悩、恐怖、強さにのめり込んでいきます。
#すべてに疑問をもて
実話ベースの地味な話ですが、彼女の負けない強さ、家族の愛の強さはとても見応えがある作品です。
次の世代のために
ルースのような賢明なひとたちが、先だって努力して社会を変えてくれたおかげで
今、私たちは普通に
働いたり、クレジットカードを作ったり、自分の意見を主張したり、できるんだなぁと思った。
感謝しかない。
同時に私たちも、未来の子供たちのために何かを残してあげたいと思った。
負の遺産だけは、残したくない…。
娘が、折れかけているルースを再び奮い立たせるシーンが良かった。
ルースは娘から「ママは何のために闘っているのか?」と問われる。ルースは娘の顔をみる。その瞬間に、何かが彼女の中で、カチッと切り替わった。
主題歌がケシャだったので余計感情移入してしまったが、非常に良い歌詞だった。
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