「百聞は一見に如かず/2019年に必見」ビリーブ 未来への大逆転 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
百聞は一見に如かず/2019年に必見
ルースベイダーギンズバーグという名さえ聞いたことがなく、邦題が『ビリーブ―未来への大逆転―』と来たからには、だっせーと反射で思って素通りしようとしていた本作。
ですが、予告を何回か見ていて男女差別についての法廷劇か…時期的に必見なのかもと思いなおし見てきました。
これはね、本当に見てよかったです。
あらすじにもあるように、実在人物の映画で、ルースは現役の最高裁判所判事です。ちゃちゃっとググれば概要がゲットできる類の話です。あらすじは予想の範囲であることは間違いありません。ですから、ラストでどんでん返しとかの驚きを求めている人には、「見なくても分かる映画」に分類されると思いますます。が、
百聞は一見に如かずだと思いました。
史実で構成された話なんだからあらすじだけで十分、といわずに見てください。
受ける刺激が違います。体に響く衝撃が違います。
コロンビアのロースクールを首席で卒業した人が採用されない現実、50年代~70年代にあって妻を人間として敬える夫の希少性、ロースクールの偉い人達の男尊女卑のブタ度、経験が乏しいのに四面楚歌で始まった控訴審の流れを勝利へと引き寄せた弁論の論理性と迫力。
悔しかっただろうな、夫素敵すぎるな、こいつらみんな爆発してくれ、怒りが弁論を冴えさせた瞬間の「キターーーーーー」って気分。
割と地味な映画ですが、わたしはすごく興奮したし、憤怒もした。喪失感を噛みしめ、ラストはスタンディングオベーションで拍手を(心の中で)しました。
クソゲーな世界をサバイブし、更に後進のための道を開いてくれた大先輩に敬礼です。
ドキュメンタリーのRBGも絶対見ようと思います。
2019年の日本では、現実は依然クソゲーな世界ですが、性差別を含めた人権保障にまつわる現実が劣悪であることがそこここで話題になるようになり、やっと問題があることの可視化が広がってきたように思います。
そういった時代にあって、よっしゃルース姉さんみたいに、悪手に悪手で報復するのではなく、完璧な好手で、真正面から立ち向かうやり方で、クソゲー世界をサバイブしてやるぜ!という妙なパワーがわきました。
そして、アメリカの憲法には男女平等の文言はないってことを知り、びっくりしました。そうらしいです。
日本の憲法は第14条で「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」って書かれているので、まぁ実現はされてないけれども絶対守る約束として掲げてくれてるので、そこに違反してまっせと言えるんですか、アメリカはそれがないので、1つ1つの判例で積み上げて行かなくてはいけなかったんですね。
先人の戦いの後を、のほほんと享受しているので、こういう激戦の跡に触れるとちょっとだけ背筋がピリッとします。