「未来を勝ち取る」ビリーブ 未来への大逆転 ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
未来を勝ち取る
原題は「ON THE BASED of SEX(性により由来する上での)」で、
裁判の争点を表していますが、邦題の「ビリーブ 未来への
大逆転」の方が映画の内容を伝えていると感じました。
主人公の「男女差別」を解消できると信じる(ビリーブ)背景
が描かれています。
「男女差別」を解消するには、過去に焦点を当てるのではなく、
未来に焦点を当てて、「100%、負ける」という裁判を
大逆転し、勝たなければならないということです。
主人公を通して「男女差別」が描かれ、大逆転するという爽快感
があります。
主人公は、ルース・ベイダー・ギンズバーグで、愛称はキキです。
裁判を題材とした映画なので、裁判制度や裁判用語と大量の
セリフと時代背景を理解して、物語についていくのは大変です。
法科大学院は、法律を扱う専門職とする弁護士、判事などに
なれるように教育する機関です。
ハーバード大学は、マサチューセッツ州ボストンにある大学です。
コロンビア大学は、ニューヨーク州ニューヨークにある大学です。
米国自由人権協会は、自由権の擁護を目的として設立された
非営利団体です。
米国の裁判制度は、地方裁判所、控訴裁判所、最高裁判所に
分かれています。
地方裁判所で敗訴し、不服がある場合、上訴して、上級の控訴
裁判所で、さらに上級の最高裁判所で争うかを決めます。
地方裁判所では、陪審員が有罪か、無罪かを決めます。
控訴裁判所では、3人の判事と、原告と被告の代理人である
弁護士により、上訴を認めるか、認めないかを決めます。
上訴が認められれば、最高裁判所で争うことになります。
この映画で扱われるのは、控訴裁判所です。
依頼人は、弁護士に裁判の弁護を依頼する人です。
裁判所における審理は、原告と被告の弁護人が控訴や上告の
理由を論理的に詳細に説明する「趣意書」を提出することから
始まります。
「趣意書」を読めば、勝てそうな裁判か、負けそうな裁判か
およそ分かるし、裁判を避けて、和解することもあります。
和解すれば、裁判を避けて、敗訴を避けて、裁判を終わらせる
ことができます。
ジェンダーは社会的・心理的な男性、女性という性別のことです。
米国憲法の修正第14条では、市民は法の下で平等であると
定めています。
口頭弁論は、裁判において原告と被告の弁護士が、判事の前で、
争いに対して意見や主張を述べて攻撃し、防御する訴訟行為です。
三権分立とは、権力が以下のように分けられているということです。
法廷は、法律に照らして違法、合法を決めます。
議会が、法律を作ります。
行政が、法律を執行します。
グロリア・スタイネムは、米国の女性政治リーダー会議のメンバーで、
女性行動連盟の創立者で、女性労働者同盟をひとつにまとめた活動家です。
法廷は、法律を変えることはできませんが、違法であるという判決を
出すことで、議会に法律を変えるように働きかけることはできます。
行政が、変えられた法律を執行することで、社会は変わります。
1964年7月2日、黒人の差別を撤廃する公民権法が制定
されました。
1970年代、男女差別は根強く、残っていて、ベトナム戦争
の反戦運動が活発に行われていました。
法廷は天候に左右されませんが、時代の空気には左右されます。
空気とは、男女差別を解消を訴える裁判が多くなるとか、
地方裁判所では敗訴しても、控訴裁判所で上告が認められるとか、
最高裁判所で違法であると認められることです。
裁判では、先例主義が採用され、積み重ねられた過去の先例に
普遍性があるとしています。
先例主義は、前例主義ではありません。
かつて妥当と思われた基準がもはや妥当でないならば、先例を変更
することはできます。
先例を変更するのは、簡単ではなく、困難です。
自身で先例を作ってしまえば、自身で先例を覆すのは困難で
次世代に先送りするような結果を招きます。
ドロシー・ケニオンは、女性の権利拡張を訴えてきた女性弁護士
ですが、敗訴し、先例を作ってしまいました。
パンフレットは、よくできているのいるので、映画を理解したい人には
お勧めできます。