「Over the rainbow」ジュディ 虹の彼方に U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
Over the rainbow
彼女の事をよく知らない。
だけど、最後の曲は良かった。
あの曲に全てを集約させるために作られた脚本のようだった。ずっと縛られていた呪いを祝福に変えたとでも言おうか…それまでの彼女は散々だった。
周囲からのリスペクトと引き合いもあるものの、常に彼女のプライドが邪魔をする。
そのプライドが生み出す寂しさというか…厄介なスパイラルに陥っているのだ。
それが産み出される過程も原因もそれなりには描いていて、自伝モノとしては良いバランスのようにも思う。
ただ…最後にあの曲が待っていようがなんだろうが物語としては終始、彼女の愚痴を聞くようでもありゲンナリする。
彼女の事を知らないから尚更だし、俺が男だから尚更なのかもしれない。
47歳で亡くなったとの事だったのだけれど、作品中の彼女を60歳くらいかなと思ってた。なので年下の男にほだされる彼女をバカだなぁとも思ってたんだけど、40代ならば納得だ。
主演レニー・ゼルヴィガーは素晴らしかった。歌唱のシーンはよく分からないのだけれど、徹頭徹尾ジュディであったような気がする。
彼女の事をよく知らない俺がそんな風に感じるのは、ステージの上で歌い上げる様だとか、脱力するようにするお辞儀の仕方だとか…彼女はステージで歌う自分を受け入れてないような気がするのだ。
出来る事ならもうやめたい。
でも、これしか出来ない、させてもらえない。そんな葛藤をラストの曲まで引きずってたように思うのだ。
ホントにラストに至るまでの壮大なネタ振りで…かの曲で一気にまとめ上げたような印象だった。
俺がジュディについて思い入れがあったなら、全然違う評価をしたかもしれない。