「ライザミネリの活躍は見ずに亡くなったのか。」ジュディ 虹の彼方に ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
ライザミネリの活躍は見ずに亡くなったのか。
ジュディ・ガーランド=「オズの魔法使い」のドロシーという美しいイメージしか持たない者にとって、かなりインパクトのある映画だった。「オズ」以降の活躍を知らないので、ロンドンの公演で歌ったのが、彼女の持ち歌なのかも分からなかった。しかしその圧倒的な歌いっぷりからは、彼女がショーの世界で懸命に生き抜いてきたことを実感させた。短いロンドン公演の時間で少女時代と現在をオーバーラップさせて、現在の彼女の辛さみたいなものをクローズアップさせていたのは非常に効果的だった。それがなければ、ただの破滅的な中年女になってしまう。少女時代はその才能に吸い寄せられた大人たちにすべて管理されて精神のバランスを失ってしまった。それ以降の人生は、その時失った愛や喜びを必死に追いかけたんじゃないかと想像できた。結婚離婚や薬物依存による入退院の繰り返しは、そんな彼女のあがきに思えてくる。アメリカのショービジネスの世界から干されていた彼女が、子供達と一緒に暮らしていくために、熱心なファンの多いロンドンへ子供と離れて稼ぎに行くという設定も泣ける。
思い通りにいかない事が多かったが、最後にステージでファンと共感しあえたことで、ジュディの人生もそんなに悪くなかったと思える。辛い場面が多いが、ゲイカップルのジュディ大好き感やロンドンでの女マネージャーの厳しい優しさが救いになっている作品でした。
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