「切なくて温かくて、でもやっぱり悲しい…」ジュディ 虹の彼方に キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
切なくて温かくて、でもやっぱり悲しい…
虚構の世界しか知らない主人公ジュディ。
そこで彼女は苦しんできた。
だから我が子にはそんな苦労はさせたくない。
でも彼女が輝ける場所はやはり虚構の世界しかなく、皮肉にも舞台の上の彼女は天才なのだ。
そして、彼女は舞台の上ですべてを奪われていく。
家族も、愛する人も、名声も、心も、身体も…。
ラストシーン。
友人や、古くからのファンにステージで温かく迎えられるジュディ。
魂の救済…の様に見えるこの場も、それは一時の慰めでしかない。
素晴らしいパフォーマンスである程に、虚しさが悲痛ですらある。
私は最後の「虹の彼方に」しか曲を知らなかったのは残念。
ただ、歌詞を見るとこの歌は「虹の彼方に幸せがある」という単純に前向きな歌ではない。
「ここには幸せなんてない」「どうして私には手に入らないの?」という嘆きの歌であることを考えるにつけ、最後まで物語の悲しさがより強烈に伝わってくる。
レネー・ぜルウィガーはもちろん、脇を固める役者陣も見事。
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