劇場公開日 2018年10月13日

  • 予告編を見る

「狂った世界の世渡り術」アンダー・ザ・シルバーレイク あしたさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5狂った世界の世渡り術

2018年11月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

予備知識もほぼなく、イットフォーローズの監督の映画かーってどんなホラーかなーって感じで座席に座り、一応上映時間調べようって調べたら2時間20分!?大丈夫?!
って始まって観てたらこれ大好物系のやつでした。
クズ系イケメン女好きが世界と自分とのズレを、間違っている(いた)のは自分か、世界か、を勝手に問うていく自分勝手探偵ムービーだった。
インヒアレントヴァイスに近いノリ。

ホラー演出力は前作でもう証明済なわけだけども、直球ホラーでない本作でも光る。
何かが上から落ちてくる恐怖、暗闇から造形だけで恐ろしい何かが見える恐怖、冴える冴える。

主人公のイケメンクズがなぜこの事件にこんなに真剣に取り組んだのか、最後にヒロインにも何故?と言われるくらい意味不明といえば不明なんだけど、明日ファックしようって言ってたのになんでいなくなったの?ってそれだけだったのもとてもいい。
隣の熟女とファックし終って自分の部屋を隣の部屋から眺めてたら家賃の取り立てにきた人が誰もいなくて困っているのを微笑しながら眺めているラストシーンも最高だったな。

総じて、この主人公も終わってるし、かといってこの世界も終わってるっていう話だった。
金持ちは若者の搾取しか考えていない、その若者も先のことは考えない、利便さと快楽がすぐに手に入る代わりに思考までも手放してしまえる現代、ってことなんだろうか。
レトロ文脈のカルチャーたちが何かを示唆しているのだろうかね。
我々は緩やかに穏やかに死ぬことを目的に生きているのだろうか。
わからないけどファックはファックっていうカラッとしてるのもとても肌に合う良い映画でした。
あー、見て良かった!

あした