劇場公開日 2019年4月12日

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「潜水艦乗りの矜持と誇りの交錯が素晴らしい!」ハンターキラー 潜航せよ krataiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0潜水艦乗りの矜持と誇りの交錯が素晴らしい!

2019年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

「自分の仕事に責任と誇りを持つ」なんて言葉で書くのは簡単だけど、それを行動で裏付ける難しさは、あちこちで頭をぶつけ、本当の意味で“大人”になってから痛感するものではないだろうか。ましてやそれが、国民の命を預かる国家の安全と保障にかかわる任務だとしたら、なおさらだ。

 本作品では海軍所属の潜水艦乗りや特殊部隊、それを指揮する政治家など様々な立場の人が「国家のためによかれ」と思って行動していく。その過程において「何が正しくて、どうありたいのか」を決めていくのは常に自分自身だ。「規律」なのか、「信念」なのか、決断は常にリスクと責任を伴い、だからこそ軍人は命をゆだねる上官を厳しく見つめている。

 米ソの緊張も、そのバックグラウンドも、子供の頃に夢見た理想とはほど遠く、たかだかこんな事で振り回されてたまるか、という思いがする。しかしその一方で、現実とは、生きていくとは、世の中が回るとは、これと似たようなものなのでは、という諦めに似た感情も沸く。

 そうした様々な思惑や敵と味方の範疇を超えて、同じ軍人としてのベースをもとに、自分の行動の規範を決めていく米国、そして敵対するロシアの潜水艦艦長。危険と隣り合わせの潜航。2人の短く、無駄のない、まるで命のやりとりのような言葉の応酬、そして決断は「将の将たる」という言葉以外見つからない。

個人的には今年見る映画のTOP5に間違いなく入る作品。映画が持つ2時間の凄みに圧倒された。

kratai